不運が招く人間兵器の異世界生活

紫苑

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第二章

27.夜空※

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「ん・・・・・・・」
目が覚めると、まだ夜中のようで、部屋の中が暗い。
身体を起こそうにもだるくて、そして、重い。
俺の身体は二人に抱きしめられるように腹の上に腕を置かれていたのだ。
「全く、無茶しやがって」
二人の額にかかる髪の毛を優しく払いのけ、「ちゅっ」と小さくキスを落とす。
少し夜風に当たりたくて、俺は二人を起こさないよう細心の注意を払いながら、痛みの残る身体を叱咤し、グラスと冷やされたスパークリングワインを手にバルコニーに出る。
バルコニーは、この部屋の住人のジオルド専用の場所なので、許された者以外は入ることの出来ないプライベートゾーンなのだ。もちろんジルの部屋にもある。そして、防音完備で声も外に漏れることはない。
今更だが、俺の身体には生々しい精の痕は残っていない。あるのは、赤く腫れた乳首と痛む後肛、そして、鏤められた吸い痕と腰の痛みだけ。それらを隠しきれない先ほどとは異なる尻が隠れる程のシンプルな白のスリップが薄く肌を覆い、ピンクと白のレースで作られた紐パンが今の俺の状況だ。
羽織る物を着れば良いのかもしれないが、どうせ誰も見ていないのだ。
なら、火照った身体には不要だし、外の少し冷たい空気がこの薄生地の上をサラリと撫でる感覚が心地よい。
柵に腕を置き、ワインを嗜みながら空を見上げると、俺が住んでいた都会では見ることの出来ない満天の星がキラキラと輝き、俺を照らす。
「ジオルドたち『孕ませるローション』と言ってたよな?」
俺は無意識に下腹部をそっと撫でる。
「育てられるのか、俺に?」
『まだ、お前は孕んでいないよ、スイレン』
突如俺の前に精霊女王であろうキラキラと光る姿を現したのだ。
まだ、多くの瘴気がこの世界に渦巻いているため、力が戻らず『形』を取ることができないのだ。だから、『光』という形で俺の前に姿を現してくれたのだ。
『スイレンはこちらの世界の人間とは身体の作りが異なるし、加護も異なるからローション如きで妊娠はしないよ』
「っ!そういうもんなのか?」
『本当に子供を望むとき、私を呼びなさい。私直々に加護を与えてあげるから。君に返せる恩の一つだよ』
「ん、わかった。正直子育て、自信なかった・・・・・・」
『君が弱気なのは新鮮だな。辛い時や悲しい時、二人には聞かれたくない話がある時は気軽に私を呼びなさい。私は精霊女王『フローラ』。人間に初めて名を明かす。誰にも教えてはならないよ?これはスイだけ特別なのだから』
「ありがとう、フローラ様」
『『様』はいらぬよ。私の可愛い子を産んでくれた君には、特別に敬称を付けずに呼ばせたい』
「了解、フローラ。また、俺の話聞いてよ。そして、子供たちの話も聞かせてよ」
『あい、わかった。では、また』
夜空に鱗粉の様な光を鏤めながら、姿を消したフローラ。
その姿は本当に美しく、とても夜に映えていた。
名残惜しげに俺は夜空を見上げていると、この俺としたことが、背後の気配に気づくことなく、端から見たら突き出しているような格好の俺の尻をジルがムンズと掴み、紐パンを後肛が見えるように横にずらして、尻ふたをパカリと拡げたのだった。
「ちょっ!何すっ!」
「ん、腫れちゃったね、ごめん」
と、言いつつそこをペロリと舐めて、腫れているそれを口に含んで「ちゅっちゅっ」と音を鳴らしながら、舐め回している。
「やぁっ!もうっ!したくないっ!」
「大丈夫。腫れを治しているだけだから」
そう言って再び吸い付かれる。
確かに痛みは薄らいでいるが、甘い感覚が下腹部を襲い出す。
「良い光景だね、スイ」
「ジオルドっ!見てないで止めてよっ!」
俺は桟にしがみつきながら、抗議をするも、
「ええ、嫌だよ。私は前を慰めてあげるね」
と、言って、俺の性器を吸い出す。
「ああ・・・・・ん・・・・・・はぁ・・・・」
「口の中でイっていいよ?」
「やぁぁぁぁっ!」
ドビュと言われたとおりに吐き出してしまったのだった。
崩れ落ちる身体を二人に支えられて、再びベッドに連れて行かれる。
そして、太陽が昇り始める時刻まで俺は寝かせて貰えなかったのだ。
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