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第二章
22.動き出す
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「で、報告の途中だったけど、結局行方不明の人たちはどうなっている?」
「ああ、それは『ホルシオ』でも過酷と言われる労働に当たらされていることを掴んだ。すぐに第一から第三の合同騎士団を派遣した。あと、前領主の仕事の評価は「0」だ」
「『0』???」
調べれば調べるほど、襤褸が出てくるとのこと。
税の引き上げをホルシオの民に要求できず、近隣の村々に「援助」を約束し、税を徴収していたが、それを反故し、支払いを拒めば村を盗賊などに襲わせるような人物だったらしい。
徴収した税は自分の贅にあてがっていたらしい。
また、『孤児』については、相談すら教会にしていないとのこと。
人畜無害そうな息子が知らないはずはない。ということは、グルだったのだ。
という、見解になった。
殿下たちを欺くとは、大した演技力で詐欺師だ。
その見解を陛下や兄殿下たちにジオルド殿下たちが伝え、急遽ホルシオ調査隊の派遣が決まった。
「これで、ホルシオの件から俺たちは一旦手を引けるな。次は・・・・・・・ちょっとレイン付いてこい」
「え、あ、はい!」
ジオルド殿下たち第三とジルフォード殿下が、ホルシオの後処理をしてくれている間に、レインを連れ出す。
「団長、訓練場にご用ですか?」
「ん、ああ。前に聞いたんだが、隅の方で訓練をしているのが団に所属していない騎士だな?」
「え、はい・・・・・・・」
「お前もそうだったな。差別があると聞いている」
「ええ、当然のようにあります。ご覧の通り、中央で悠々と訓練ができないので、身体を思いっきり動かすことができず、能力が下がる一方で」
「だが、それでもいい動きをしているぞ、皆」
「え、どういうこと・・・・・・・・」
レインが言い終わる前に、隅で訓練をしている連中に足を向け、
「貴殿ら全員、第四騎士団の騎士になってもらう!異論がある者はそのまま訓練を続けよっ!」
「ということです、殿下」
は~~~~と、第四騎士団の執務室に大きな溜息が数個漏れる。
「スイ、通常女性の騎士は王子である私たちの団には入れないのだが?」
「そうなん?知らんし~~~。実力があるなら、それでいい。もったいない、あんなところで腐らすの」
「それはそうだが・・・・・・・」
「騎士として向かない者が数名いたけど、書類整理などが得意らしいので、執務室缶詰要員確保したし。うんうん、よしっ!」
これで第四騎士団は、漸く団として成り立ったというのに、皆一様に暗い。
俺が勝手に決めていいって言っていたじゃないかっ!
「あのな~皆鍛えれば、凄い強くなる人材ばかりだったんだぞ!女性には隠密に特化した人材もいたんだぞっ!腐らせるなんてもってのほかだ!」
「はいはい、スイの言い分はわかったから。鍛えるのはスイが自ら指導しろよ」
「当然。だけど、数名は違う部署への配置になるけどな」
「ん?どういうことだい?」
「まだ、内緒。というか、近々発表があると思うけどな」
「失礼致します、スイレン団長!明日朝10時より開催するとお達しがありました!」
「そう、ご苦労様。ここにいる全員はもう知ったも同然だから、他の伝令たちに伝えなくていい旨をよろしく」
「はっ!!」
衛兵は一礼をし、去って行った。
部屋には静寂が広がっている。
「ということで、明日の議題に大注目!」
「スイレン団長がバーミリアを属国化した後に提案された『学園』についてだが、昨日正式に承認された。続きをナルミア頼めるか?」
「はい、陛下。スイレン団長から提案を受け、私は『学園創設』のため準備をしてまいりました。その学園の内容は、『孤児を無料で通わせる総合学校』でございます。皆が知っての通り、貴族社会では皆女子であろうと勉学に励んでおります。しかし、金銭に余裕があるからできること。とても優秀なのに学ぶ機会がない子供たちに私たちが手を差し伸べ、彼らの将来の手助けをすべきだと以前から私は考えておりましたが、行動に移すことを躊躇っておりました。しかし、スイレン団長が私に一筋の光を当ててくださいました。私は帝都の端にある元貴族の屋敷が放置されている現状を知り、そこを学園とすることに致しました」
ナルミア王女の話はかなり長くなるので、掻い摘まんで言うとこうだ。
1.孤児や金銭的に学校に通えない子供たちへの無料学園の創設
2.学校は帝都の端にある元貴族の屋敷とする。
3.教師陣はバッチェリー宰相が数人探してくれたこと。
4.全寮制
5.学園の清掃や食事などは、バーミリアの貧民街に住んでいた人たちの希望者で行う。
6.勉学は、一定の基準に達しない場合は、怠惰とし、退学処分とすること
7.9年生で6歳から入学可能。
8.学科は、騎士科、執事科、侍女科、服飾科、料理科、文官科、建築科、医療科、経営科の9科。
「そして、学園長にはスイレン団長の推薦で、グランドル・フルバスター殿となりました」
そう、彼は訓練場の端で若い騎士たちに指導をしていた人物で、ただ、彼は力を使えない。
理由は、『枯渇』。使いすぎて、動力機関が作動しなくなり、枯渇に追い込まれたのだった。二度と使えることはない。俺の力でも治すことの出来ない、『枯渇』。
だから、騎士団に所属できず、隅で若い騎士たちを扱いていたのだ。
だが、体術はずば抜けている。俺が感心するほどに。
「そして、第四騎士団から学園付きの教師となる騎士数名も確保してくださいました。あとは、学園の体裁を整えるだけでございます」
ナルミア王女はここで話を区切り、そして、
「どうか皆様のお力を私にお貸しくださいませ。未来ある子供たちの育成にご助力を!」
議場に拍手が木霊する。
『ご助力を』と言いながら、絶対的オーラを出して「助力せーやっ!」と威嚇されております。
これぞ、『王族パワー』なり!!
「もう一点。フィルハートからバーミリアまで、徒歩で10日ほどかかるが、道中休憩箇所がない。そのため、交易を行い辛いとバーミリア王から意見があった。よって、バーミリア貧民街の人たちで希望者を募り、道中2箇所村を作ることに決めた。村といっても小さくはない。宿場はもちろん、田畑を耕したり、繊維を紡いだりと交易品を生産してもらう。税についての詳細はまだ決めておらぬが、村を作るため、ヘルミアの騎士団及び第一騎士団が既に建築などに当たっている。皆の者、この件にも助力を頼むぞ」
「「「「はっ!」」」」
「ああ、それは『ホルシオ』でも過酷と言われる労働に当たらされていることを掴んだ。すぐに第一から第三の合同騎士団を派遣した。あと、前領主の仕事の評価は「0」だ」
「『0』???」
調べれば調べるほど、襤褸が出てくるとのこと。
税の引き上げをホルシオの民に要求できず、近隣の村々に「援助」を約束し、税を徴収していたが、それを反故し、支払いを拒めば村を盗賊などに襲わせるような人物だったらしい。
徴収した税は自分の贅にあてがっていたらしい。
また、『孤児』については、相談すら教会にしていないとのこと。
人畜無害そうな息子が知らないはずはない。ということは、グルだったのだ。
という、見解になった。
殿下たちを欺くとは、大した演技力で詐欺師だ。
その見解を陛下や兄殿下たちにジオルド殿下たちが伝え、急遽ホルシオ調査隊の派遣が決まった。
「これで、ホルシオの件から俺たちは一旦手を引けるな。次は・・・・・・・ちょっとレイン付いてこい」
「え、あ、はい!」
ジオルド殿下たち第三とジルフォード殿下が、ホルシオの後処理をしてくれている間に、レインを連れ出す。
「団長、訓練場にご用ですか?」
「ん、ああ。前に聞いたんだが、隅の方で訓練をしているのが団に所属していない騎士だな?」
「え、はい・・・・・・・」
「お前もそうだったな。差別があると聞いている」
「ええ、当然のようにあります。ご覧の通り、中央で悠々と訓練ができないので、身体を思いっきり動かすことができず、能力が下がる一方で」
「だが、それでもいい動きをしているぞ、皆」
「え、どういうこと・・・・・・・・」
レインが言い終わる前に、隅で訓練をしている連中に足を向け、
「貴殿ら全員、第四騎士団の騎士になってもらう!異論がある者はそのまま訓練を続けよっ!」
「ということです、殿下」
は~~~~と、第四騎士団の執務室に大きな溜息が数個漏れる。
「スイ、通常女性の騎士は王子である私たちの団には入れないのだが?」
「そうなん?知らんし~~~。実力があるなら、それでいい。もったいない、あんなところで腐らすの」
「それはそうだが・・・・・・・」
「騎士として向かない者が数名いたけど、書類整理などが得意らしいので、執務室缶詰要員確保したし。うんうん、よしっ!」
これで第四騎士団は、漸く団として成り立ったというのに、皆一様に暗い。
俺が勝手に決めていいって言っていたじゃないかっ!
「あのな~皆鍛えれば、凄い強くなる人材ばかりだったんだぞ!女性には隠密に特化した人材もいたんだぞっ!腐らせるなんてもってのほかだ!」
「はいはい、スイの言い分はわかったから。鍛えるのはスイが自ら指導しろよ」
「当然。だけど、数名は違う部署への配置になるけどな」
「ん?どういうことだい?」
「まだ、内緒。というか、近々発表があると思うけどな」
「失礼致します、スイレン団長!明日朝10時より開催するとお達しがありました!」
「そう、ご苦労様。ここにいる全員はもう知ったも同然だから、他の伝令たちに伝えなくていい旨をよろしく」
「はっ!!」
衛兵は一礼をし、去って行った。
部屋には静寂が広がっている。
「ということで、明日の議題に大注目!」
「スイレン団長がバーミリアを属国化した後に提案された『学園』についてだが、昨日正式に承認された。続きをナルミア頼めるか?」
「はい、陛下。スイレン団長から提案を受け、私は『学園創設』のため準備をしてまいりました。その学園の内容は、『孤児を無料で通わせる総合学校』でございます。皆が知っての通り、貴族社会では皆女子であろうと勉学に励んでおります。しかし、金銭に余裕があるからできること。とても優秀なのに学ぶ機会がない子供たちに私たちが手を差し伸べ、彼らの将来の手助けをすべきだと以前から私は考えておりましたが、行動に移すことを躊躇っておりました。しかし、スイレン団長が私に一筋の光を当ててくださいました。私は帝都の端にある元貴族の屋敷が放置されている現状を知り、そこを学園とすることに致しました」
ナルミア王女の話はかなり長くなるので、掻い摘まんで言うとこうだ。
1.孤児や金銭的に学校に通えない子供たちへの無料学園の創設
2.学校は帝都の端にある元貴族の屋敷とする。
3.教師陣はバッチェリー宰相が数人探してくれたこと。
4.全寮制
5.学園の清掃や食事などは、バーミリアの貧民街に住んでいた人たちの希望者で行う。
6.勉学は、一定の基準に達しない場合は、怠惰とし、退学処分とすること
7.9年生で6歳から入学可能。
8.学科は、騎士科、執事科、侍女科、服飾科、料理科、文官科、建築科、医療科、経営科の9科。
「そして、学園長にはスイレン団長の推薦で、グランドル・フルバスター殿となりました」
そう、彼は訓練場の端で若い騎士たちに指導をしていた人物で、ただ、彼は力を使えない。
理由は、『枯渇』。使いすぎて、動力機関が作動しなくなり、枯渇に追い込まれたのだった。二度と使えることはない。俺の力でも治すことの出来ない、『枯渇』。
だから、騎士団に所属できず、隅で若い騎士たちを扱いていたのだ。
だが、体術はずば抜けている。俺が感心するほどに。
「そして、第四騎士団から学園付きの教師となる騎士数名も確保してくださいました。あとは、学園の体裁を整えるだけでございます」
ナルミア王女はここで話を区切り、そして、
「どうか皆様のお力を私にお貸しくださいませ。未来ある子供たちの育成にご助力を!」
議場に拍手が木霊する。
『ご助力を』と言いながら、絶対的オーラを出して「助力せーやっ!」と威嚇されております。
これぞ、『王族パワー』なり!!
「もう一点。フィルハートからバーミリアまで、徒歩で10日ほどかかるが、道中休憩箇所がない。そのため、交易を行い辛いとバーミリア王から意見があった。よって、バーミリア貧民街の人たちで希望者を募り、道中2箇所村を作ることに決めた。村といっても小さくはない。宿場はもちろん、田畑を耕したり、繊維を紡いだりと交易品を生産してもらう。税についての詳細はまだ決めておらぬが、村を作るため、ヘルミアの騎士団及び第一騎士団が既に建築などに当たっている。皆の者、この件にも助力を頼むぞ」
「「「「はっ!」」」」
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