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第二章
19.税金泥棒
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「うん、本当にスイが魚介類好きだと言うのは判った。帝都でも新鮮な魚を手に入れられるよう考案する」
「よっしゃーーーーーーーーーーっ!」
俺は両手を挙げて大喜び。その様は
「本当に子供だな」と呆れられるくらいでした。
「スイのおばあ様の話に戻るが、彼女はこちらに召喚され、こちらで寿命を閉じた。しかし、亡骸は埋葬途中に消えてしまった、という言い伝えだ」
「・・・・・??ん、ということは、新たに俺たちの世界で『生』を受けたということか?そういや、こっちの世界の話、一度も聞いたことなかったな」
おばあちゃん子の俺が聞いたことないのだから、ばあちゃんはこちらの世界で亡くなった『記憶』が無く、新しい命を貰い、生をやり直したのだろうか。だが、召喚された時代のばあちゃんはどうなったんだろう?
そして、『風磨一族』はこの世界に縁があるのだろうか。
ただ、ばあちゃんは二度とこちらの世界もあっちの世界でも「トウカ・フウマ」として生きることはない。こちらの世界で亡骸が消え、俺が生きた世界で新たな『生』を受け、俺が最期を看取りちゃんと『骨上げ』をしたのだから。
「ばあちゃんが生きた世界で俺生きてるから、心配しなくていいよ。ばあちゃんのおかげでたこ焼きとか食べられるから、ありがとうね!」
空に向かって微笑むと、ばあちゃんの満面の笑みに会った気がした。
その綺麗な思い出をかき消す怒声が噴水広場の方から聞こえてくる。
「余所の村の税金を巻き上げて開催する祭りに、何の意味があるっ!」
「税金泥棒っ!返してよっ!」
「俺たちの村の金、返せっ!」
と、「返せ」コールの中に不平不満が混じる。
『税金泥棒』とは?ならず者が言っていた内容と似ている。
「すみません、第四騎士団の者ですが」と、近くにいた不平を漏らす民に声をかける。
「ああっ!き、騎士様!!助けてください!!!」
「騎士様だっ!」
「助けてください!!!」
俺に群がってくる人々をレインが押しとどめ、
「お話はお伺い致しますので、落ち着いてください」
レイは、
「殿下、どこかゆっくりできる場所に転移いたしましょう」
「そうだな。じゃ、『精霊の住まう森』に行くか。簡易テントもあることだし」
・・・・・そういえば、初めて会った時のあの建物、回収し忘れてるわ。
あんな大きい建物を簡易テントで済ませられる神経が理解はできないが。
ま、あんな建物が四角いキューブからできたなんて驚きだったけど。
「じゃ、行こっか」
というので、
「待って!!!たこ焼き、鯛焼き、イカ焼き、海鮮焼き、全て50人分買ってくる!」
「「「「「「うおぉぉぉおぉぉぉいっ!!」」」」」」
「スイ、買いすぎだ・・・・・・・・」
精霊の住まう森に着いた途端、アルに文句を言われたけど、連れてきた民は皆襤褸の服を纏い、顔もすす汚れ、体はやせ細っている。
あそこの場に立っていられたのも『返して欲しい』という気力からだろう。
だから、少しでも力を付けて欲しくて買い込んだのだ。
「私たちはホルシオの街から少し離れた村々で暮らしています。前の領主が村の保証をしてやるから税金を払えと言ってきました。疑う者はおらず、払い続けても全く援助もなにもありません。詳しく調べてみると、我々の税金がホルシオを栄えさせるために使われていたようで」
「挙げ句、働き手まで取られ・・・・・今、息子たちがどこにいるのかもわからないのです!」
「酷いな、それは・・・・・・・。スイ、私たちはこの方たちからご子息たちの名前を伺い、捜索の手はずを整える。君はレイと共にこの方たちを回復してあげてくれ。栄養を充分に摂れていないせいなのか、脈拍が些か早く感じる」
「了解しました、ジオルド殿下。それにしてもよくわかりましたね」
「ああ、精霊たちが私に『耳をすませて』と語りかけてくれたんだ」
「ふふふ、大層気に入られたようで。では、荒事の際は俺が引き受けます。それまで、しっかりとお勤めしてください」
「荒事って。スイが言うと本当に起きそうで怖いよ」
レインたちが既に調査を始めており、俺とレイは、呼吸不全などを抱えている人たちの介抱に手を尽くした。
「と、いうことだ、スイ」
「何がだよ・・・・・・・・ホルシオって結構『クソ』じゃねーか」
「だな。まさかここまでとは思いもしなかったよ」
民をとりあえず自分の村まで送り届け、ホテルに戻ってきたのだ。
ただ、第三騎士団連中は一旦帝都に戻ってからだけど。
「私の団員に所在を調べるよう、通達してきたから、早ければ2,3日には結果が出るだろう」
「碌な新婚旅行じゃなかったな・・・・・・・」
今日が最終日なのに、結局仕事で、明日朝一で帝都に戻らないといけない。
新婚旅行はとりあえず、『尻をよく使いました』!花丸!!
で、締めくくられるわ。
「よっしゃーーーーーーーーーーっ!」
俺は両手を挙げて大喜び。その様は
「本当に子供だな」と呆れられるくらいでした。
「スイのおばあ様の話に戻るが、彼女はこちらに召喚され、こちらで寿命を閉じた。しかし、亡骸は埋葬途中に消えてしまった、という言い伝えだ」
「・・・・・??ん、ということは、新たに俺たちの世界で『生』を受けたということか?そういや、こっちの世界の話、一度も聞いたことなかったな」
おばあちゃん子の俺が聞いたことないのだから、ばあちゃんはこちらの世界で亡くなった『記憶』が無く、新しい命を貰い、生をやり直したのだろうか。だが、召喚された時代のばあちゃんはどうなったんだろう?
そして、『風磨一族』はこの世界に縁があるのだろうか。
ただ、ばあちゃんは二度とこちらの世界もあっちの世界でも「トウカ・フウマ」として生きることはない。こちらの世界で亡骸が消え、俺が生きた世界で新たな『生』を受け、俺が最期を看取りちゃんと『骨上げ』をしたのだから。
「ばあちゃんが生きた世界で俺生きてるから、心配しなくていいよ。ばあちゃんのおかげでたこ焼きとか食べられるから、ありがとうね!」
空に向かって微笑むと、ばあちゃんの満面の笑みに会った気がした。
その綺麗な思い出をかき消す怒声が噴水広場の方から聞こえてくる。
「余所の村の税金を巻き上げて開催する祭りに、何の意味があるっ!」
「税金泥棒っ!返してよっ!」
「俺たちの村の金、返せっ!」
と、「返せ」コールの中に不平不満が混じる。
『税金泥棒』とは?ならず者が言っていた内容と似ている。
「すみません、第四騎士団の者ですが」と、近くにいた不平を漏らす民に声をかける。
「ああっ!き、騎士様!!助けてください!!!」
「騎士様だっ!」
「助けてください!!!」
俺に群がってくる人々をレインが押しとどめ、
「お話はお伺い致しますので、落ち着いてください」
レイは、
「殿下、どこかゆっくりできる場所に転移いたしましょう」
「そうだな。じゃ、『精霊の住まう森』に行くか。簡易テントもあることだし」
・・・・・そういえば、初めて会った時のあの建物、回収し忘れてるわ。
あんな大きい建物を簡易テントで済ませられる神経が理解はできないが。
ま、あんな建物が四角いキューブからできたなんて驚きだったけど。
「じゃ、行こっか」
というので、
「待って!!!たこ焼き、鯛焼き、イカ焼き、海鮮焼き、全て50人分買ってくる!」
「「「「「「うおぉぉぉおぉぉぉいっ!!」」」」」」
「スイ、買いすぎだ・・・・・・・・」
精霊の住まう森に着いた途端、アルに文句を言われたけど、連れてきた民は皆襤褸の服を纏い、顔もすす汚れ、体はやせ細っている。
あそこの場に立っていられたのも『返して欲しい』という気力からだろう。
だから、少しでも力を付けて欲しくて買い込んだのだ。
「私たちはホルシオの街から少し離れた村々で暮らしています。前の領主が村の保証をしてやるから税金を払えと言ってきました。疑う者はおらず、払い続けても全く援助もなにもありません。詳しく調べてみると、我々の税金がホルシオを栄えさせるために使われていたようで」
「挙げ句、働き手まで取られ・・・・・今、息子たちがどこにいるのかもわからないのです!」
「酷いな、それは・・・・・・・。スイ、私たちはこの方たちからご子息たちの名前を伺い、捜索の手はずを整える。君はレイと共にこの方たちを回復してあげてくれ。栄養を充分に摂れていないせいなのか、脈拍が些か早く感じる」
「了解しました、ジオルド殿下。それにしてもよくわかりましたね」
「ああ、精霊たちが私に『耳をすませて』と語りかけてくれたんだ」
「ふふふ、大層気に入られたようで。では、荒事の際は俺が引き受けます。それまで、しっかりとお勤めしてください」
「荒事って。スイが言うと本当に起きそうで怖いよ」
レインたちが既に調査を始めており、俺とレイは、呼吸不全などを抱えている人たちの介抱に手を尽くした。
「と、いうことだ、スイ」
「何がだよ・・・・・・・・ホルシオって結構『クソ』じゃねーか」
「だな。まさかここまでとは思いもしなかったよ」
民をとりあえず自分の村まで送り届け、ホテルに戻ってきたのだ。
ただ、第三騎士団連中は一旦帝都に戻ってからだけど。
「私の団員に所在を調べるよう、通達してきたから、早ければ2,3日には結果が出るだろう」
「碌な新婚旅行じゃなかったな・・・・・・・」
今日が最終日なのに、結局仕事で、明日朝一で帝都に戻らないといけない。
新婚旅行はとりあえず、『尻をよく使いました』!花丸!!
で、締めくくられるわ。
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