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第二章

18.聖女

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「団長っ!!!この冷たい箱は何ですか!?」
リビングに行くと、レインが俺に詰め寄ってきた。レイはその箱の中身に釘付けだ。
「レイ、お前は水を『冷やし固める』イメージを手のひらに集めてみろ。レインはレイの手の周りの気温を下げるイメージを作れ」
「「っ!はいっ!!」」
ワクワク顔のレイは早速手のひらに集中をしている。
水がフワフワと手のひらの上を覆い丸い球体となる。そして水温を下げようと試みるが『温度』が理解出来ないため、自分一人ではできないが、レインが気温を下げることで少しずつ固まりだし、それで漸く『水温を下げる』を理解したレイがキンキンに固めあげたのだ。
「うん、出来たじゃん。訓練すれば、レイ一人で出来るようになるし、レインと組み合わせたら『雹』や『霰』『雪』なども作れると思うぞ」
「「すごいっ!!!」」
「ちなみに俺は出来る!」
「「あ、そこは不思議にも思いません」」
皆がうんうんと普通に頷く。
規格外な人間だとわかってくれているようだ。
「ちなみにその箱の中で俺が作った晩飯、傷まないように保存していたんだよ。ちょっと温めるからレイン出してくれ」
「???はい」
レインが取り出した皿たちを俺の力で囲い、炎と風、水の力で温める。
「「すごいっ!!」」
「スイ、これも出来るようになるのか?」
「ああ、相性もあるだろうけど、できるだろうな」
アルバートとエリアスも自分の力の別の使い道を見つけたようで、何よりです。
温めた食事を皆で突きながら、
「で、今日はどうする?昨日は結局休暇とはならなかったから、ゆっくりとしたいけど」
「そうだね、私たちは普通に働いたね・・・・・・ま、アルたちもだけど」
「することないし、今日こそ休みにしようか。俺はスイと街をぶらつきたい」
昨日はランチの前から制圧のために動き、仕事から解放されたのが夕食前だから、結局エッチ以外仕事をしただけだった。
「では、今日こそ各夫婦でゆっくりしましょう!」

「その前に団長、帝都に戻ってもたまに料理してください。美味しくて、食堂のでは満足できなくなりそうです!」
「「「「「同感」」」」」
「素直に『ありがとう』と言っておくわ」

そして、その日は何事もなく、ゆっくりと過ぎ、旅行最終日の今日。
ホルシオで海の感謝祭が行われている。


「すげ~~~!!!すげ~~~~~~~!!」
「スイっ!離れるな!子供かっ!?」
「いや、だって、すげ~~もん!」
縁日などで見かける露店と変わりはしないが、それでも凄い!
「あっ!イカ焼き!この世界にもあるんだな!」
店の人に食いつくと、
「い、いえっ!大昔の聖女様がお広めになられた物なのです!」
そうなのっ!
観察してみると、『たこ焼き』を売っている露店もある。
「ええ、あちらもそちらもそうですよ?」
俺は帝都に戻り次第、鋳造してくれる店を探して、たこ焼き器を依頼しようと思っていたら、このホルシオには存在していた!
そして、タイ焼きも!
「あんこも聖女様がお教えくださった甘味で、様々な国で食されています。ある国では『薬』としても使われているとか?」
「は?そうなん?あんこが?つか、聖女、ありがとぉぉぉ!!!」と、思いきや、見慣れた刻印が。
「ん?これ、風磨の・・・」
「ええ、聖女様のお名前は『トウカ・フウマ』様でございます」
「っ!!!はぁっ!それ俺のご先祖様じゃん!つか、俺のばあちゃんだよっ!大昔って!?はっ!?」
混乱してきた。
ばあちゃんが亡くなったのは俺が18の時だから。8年前だ。
だけど、この世界では
「え、おばあさま?しかしトウカ様は200年も前の方でございますよ?」
「?????????」
まーーーーーーたくわからん!
つまり、時間軸がかなり異なるということだ。
計算はしたくないし、できない。誰かに頼んでみてもよいが、それだと俺が生きていた世界では『今は何時??』となるので、考えない!というか、わからん!
ん?その前に、
「ばあちゃんの死に目に俺会ったんだけど?」
確かに俺は葬式に出た。
というか、入院していたばあちゃんに会いに行っていたのは、俺くらいだ。母はその前に亡くなっていたから。
あのボケナス親父は居ないことをいいことに、金を散財。
それでばあちゃんは隠していた財産を俺に全てくれたのだ。
その財産は誰にも譲らん!決して!!
ああ、あっちの世界に戻って、あれをどうにかしないとっ!!!
って!戻る術ないしっ!再びこっちに戻ってこれるかもわからんし!
「うん、自分の人生を楽しむ!」
ということで、ソレはソレ!放置決定!
俺はこの祭りめっちゃ楽しめた!
日本の味を二度と楽しめないと思っていただけに、この感動は凄まじい!!
「うんま~~~~~~!!」
殿下たちが呆れて俺を見ておりました。
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