不運が招く人間兵器の異世界生活

紫苑

文字の大きさ
上 下
69 / 227
第二章

15.報告

しおりを挟む
で、皆がスイートに集まったのは夕方に差し迫る頃だった。
まだ、2組の為に予約していたレストランの時刻まで余裕があるため、報告会と相成った。が、俺は夕飯の支度をしながら。
アクアパッツァ、アヒージョにパエリア、ボンゴレにモッツァレラチーズたっぷりの彩りサラダ。魚介類ばかりなので、鶏肉の香草焼きとローストビーフ。アヒージョにディップするフランスパンもどき。さすがにここでパンは焼けないので、これは買ってきてもらった。あとは、コンソメのスープ。デザートはなし!そこまで作る時間はないっ!!!
「あ、カルパッチョ忘れてた!!」
「まだ作るのかい?」
「ん?もう終わる~~~。ごめん話続けて~~~」
「その前に、団長~私たちの分少し残しておいてくださいよ。食べてみたいです、魚介類料理」
「ん?大丈夫。レインはそう言うだろうと思って多めに作ったから」
「さすが団長です!!!で、話を戻しますが、結局ならず者たちは『ホルシオで祭りが開催される』と聞き、富裕層が訪れていると思い、強盗になったそうです」
「兄様とは別に聞いたのが、『この街の税金に搾取され続け、困窮してしまった』とのことです」
『この街』というフレーズが気になる。
「ええ、団長が思っておられるとおりです。彼らは『この街』の者ではないそうです」
「???では、何故税金を支払う必要がある?」
「ジオルド、もう一度明日領主に聞きに行った方がいいかもな」
「だよな。アルバート、明日もう一度付き合え」
「もちろんですよ、ただ俺たちだと見抜けない点があるかもしれないので、ここはレインを連れて行きましょう。レイより人の裏を見る目はありますから」
「アル、それって私がレイより心が汚れているってこと?」
「あ、いや、そうではなくてだな・・・・・・・」
慌てふためくアルバートが面白い。
「わかっているって。レイは人を疑うことに長けていないから、この中で団長の次に私が適任でしょうし」
「わかってくれて嬉しい」
いや、レインある意味で俺もディスられてるからね、君に。とは、言わないでおこう。
面倒だから。
「『孤児』の件だが、ホルシオの子ではないらしい」
「だろうと思った」
「え、スイ?」
大体予想はしていたのだ。
「俺の想像では、嘗て栄えたこのホルシオに子供を捨てていったんだろう。ここなら誰かしらが食事を恵んでくれるだろうと踏んで。しかし、3年ほど前からの『瘴気』で民はそれどころではなくなり、孤児たちは生きるために盗みなどをして必死に暮らしていたんじゃないのか?それをよく思わない領民は領主に泣きついた、と」
「ああ、それで合っている。前領主が教会に掛け合ったところ『孤児が一杯でもう無理だ』と言って、引き取って貰えなかったらしい」
「だがな、そこで教会の話を鵜呑みにしてしまったら駄目だろう。駄目なら王に書状でも書けばいい話だ」
「ああ、全くだ。それさえしていないのだろう。とりあえず、あの司祭は身分を剥奪し、過酷な労働に就かせることになるだろう」
「な~俺、前領主って本当に仕事してたのか疑問なんだけど?」
「それは戻り次第調べよう。あとは孤児たちの言葉と照らし合わせないとな」
俺たちの話はあまり身が無かった。というのも、ホテルとしては「ならず者」は時々来るらしい。ただ、今回みたいな大人数はないそうだ。
「じゃ、もう予約時間が近づいているから、行ってこい。俺たちの晩飯ももうできるし」
と、いうことで今日はここで解散。
今日はもしかしたら、もう逢えないかもしれないから

「楽しい一時を。おやすみ」
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

神は眷属からの溺愛に気付かない

グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】 「聖女様が降臨されたぞ!!」  から始まる異世界生活。  夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母であり聖女である母から不要な存在として捨てられる。  ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。  彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。    そして、必死に生き残って3年。  人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。  今更ながら、人肌が恋しくなってきた。  よし!眷属を作ろう!!    この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。    神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。ラントの立ち位置は、作者がこの小説を書いている時にハマっている漫画や小説に左右されます。  ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。    のんびりとした物語です。    現在二章更新中。 現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

異世界転生してハーレム作れる能力を手に入れたのに男しかいない世界だった

藤いろ
BL
好きなキャラが男の娘でショック死した主人公。転生の時に貰った能力は皆が自分を愛し何でも言う事を喜んで聞く「ハーレム」。しかし転生した異世界は男しかいない世界だった。 毎週水曜に更新予定です。 宜しければご感想など頂けたら参考にも励みにもなりますのでよろしくお願いいたします。

【連載】異世界でのんびり食堂経営

茜カナコ
BL
異世界に飛ばされた健(たける)と大翔(ひろと)の、食堂経営スローライフ。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

アズ同盟

未瑠
BL
 事故のため入学が遅れた榊漣が見たのは、透き通る美貌の水瀬和珠だった。  一目惚れした漣はさっそくアタックを開始するが、アズに惚れているのは漣だけではなかった。  アズの側にいるためにはアズ同盟に入らないといけないと連れて行かれたカラオケBOXには、アズが居て  ……いや、お前は誰だ?  やはりアズに一目惚れした同級生の藤原朔に、幼馴染の水野奨まで留学から帰ってきて、アズの周りはスパダリの大渋滞。一方アズは自分への好意へは無頓着で、それにはある理由が……。  アズ同盟を結んだ彼らの恋の行方は?

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

平凡くんの学園奮闘記

nana
BL
平凡男子の真城 紡(ましろ つむぎ)が、頑張って王道学園で生活するお話。

処理中です...