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第二章
5.団長’s
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目立つマントは取って、騎士服だけを着て港に行くと、先ほどは気付かなかったけど、
「ゴミが多いな」
「ああ、それが瘴気の原因の一つだな」
「一つ?まだあるのか?」
「多分、アルバート、この街で『祭り』が行われたのはいつか調べてくれないか?それも『海』に関係ある祭りだ」
「了解だ。じゃあ、エリアスはこのホルシオを統括する領主に、謁見する手はずを整えてくれ。俺は辺境伯の人間でもそういうことは全て兄上に頼ってるから手順を知らないんだよ」
「わかった。すぐにする。スイはどうするんだ?」
「俺は、ここを片付けられる範囲で掃除するから。終わったら手伝ってくれ」
「「了解。無理だけはするなよ?」」
砂浜に降りると、砂は綺麗なのに、その中に小さなゴミが混じっているのがわかる。
大きいゴミで木屑はわかるが、靴や瓶、空き缶などが流れ着いている。ちなみにこの世界にも缶詰は存在する。前の世界とは異なる製法だけど、味は保証する。
結局前の世界と変わらないゴミの種類。ないのはプラスチックゴミだろうか。
俺は集められる範囲でゴミを一箇所に纏めていく。
その姿を漁港の人たちが見ているが、誰も手伝おうとはしない。
騎士服を着ている俺がしていてもだ。
ゴミ拾いを蔑んだ目で見ている。
この偏見意識こそ変えなければならない。
ホルシオの役所で、最後の祭りがいつ行われたか受付嬢に確認する。
暫く待っていると、番号を呼ばれたため俺は席を立つ。
そこで告げられたのが、
「かれこれ3年は海に関する祭りだけではなく、全ての行事が行われていません」
とのこと。
この答えは「正しい」のか「間違っている」のか。
真実はスイしかわからないが、俺の考えでは「間違っている」。
ホルシオの領主の館で、手続きを行う。
「明日、時間をもらえるか?」
「旦那様に確認をいたしますので、暫くこちらでお待ちください」
応接室に通された俺は、不躾に室内を見渡す。
品がいいのか悪いのか、正直言って俺にはよくわからないが、ただ違和感を感じる。
しかし、これだけの贅沢品。
何か隠していることでもあるのか?
調べる必要性がありそうだ。
暫く待っていると、先ほどの執事が入ってきて、
「旦那様より明日の午前中でしたら時間が取れるとのことですが、いかがいたしましょうか」
「そうか。ならば、明日9時に第三・第四王子殿下、並びに私と第三か第四の団長が共に訪れる。そう伝えよ」
「っ!!!殿下方もですかっ!?し、失礼いたしました!畏まりました。旦那様にお伝えいたします」
「ああ、頼んだぞ」
執事のあの狼狽ぶりは、いささか不自然すぎる。
確実に何かを隠しているな。
「あ、アルバート。そっちは調べがついたのか?」
「エリアス!ああ、少しきな臭いぞ?」
「俺の方もだ。ま、ホテルに帰ってから報告としよう。さて、スイを手伝うかっ!」
見えてきた浜辺でスイを見つけると、子供たちと楽しそうに掃除をしていた。
その子供たちの衣服はボロボロで、髪も手入れされていない。
どこの子たちなのか?
「あっ!アルっ!エリアスっ!早くっ!あ、こらそれは危ないから駄目だよ!!」
子供に振り回されているスイが、可愛らしい。
殿下たちが『可愛い可愛い』と口癖のように言うのも納得だ。
「スイ、この子たちは?」
「そうそう!この子たち・・・・・・親がいないんだって」
「孤児か?」
「うん、そうみたい・・・・・・」
おかしい、と思う。
このホルシオは港町として栄え、貧富の差が少ない都市だと把握している。
だが、現実に『孤児』がいるのだ。
館で見たあの違和感とアルバートが持って帰った情報を照らし合わせると、何かがわかるはずだ。
とりあえず、俺たちは粗方片付けが済んでいることを確認して、ホテルに戻ろうとしたのだが。
「スイ?」
「ん、レインを連れてきてくれないか?」
「レインを?」
「ああ、そうだ。レインならば綺麗にしてくれるから」
「?????わかった。すぐ呼んでくるから、ホテルの近くで待っていろ」
スイに言われたとおり、俺はレインを起こしに行くが、既に皆がノロノロと起きていて、事情を話すと、サッと自分の立場を切り替えた。
「スイ団長!お待たせしました!」
「悪いな、体調悪いときに」
「いえっ!団長が私が必要だとおっしゃるのならば、この身引きずってでも参上いたします」
「・・・・・あのな、レイン。自分の身体を第一に考えてくれ。そこまで言ってくれるのは有り難いし、嬉しいけども」
スイ団長は顔を赤らめて、そっと顔を伏せられた。
ふふふ、耳まで真っ赤。
本当に愛らしい方だ。
「それで、私に用とは?」
「あ、ああ。ジオルドとレイもいるから丁度いいや。ついてきてくれ」
「私たちは『ついで』なのか?」
と、ジオルド殿下から若干不満げな声が聞こえたが、無視することに決めた。
「ゴミが多いな」
「ああ、それが瘴気の原因の一つだな」
「一つ?まだあるのか?」
「多分、アルバート、この街で『祭り』が行われたのはいつか調べてくれないか?それも『海』に関係ある祭りだ」
「了解だ。じゃあ、エリアスはこのホルシオを統括する領主に、謁見する手はずを整えてくれ。俺は辺境伯の人間でもそういうことは全て兄上に頼ってるから手順を知らないんだよ」
「わかった。すぐにする。スイはどうするんだ?」
「俺は、ここを片付けられる範囲で掃除するから。終わったら手伝ってくれ」
「「了解。無理だけはするなよ?」」
砂浜に降りると、砂は綺麗なのに、その中に小さなゴミが混じっているのがわかる。
大きいゴミで木屑はわかるが、靴や瓶、空き缶などが流れ着いている。ちなみにこの世界にも缶詰は存在する。前の世界とは異なる製法だけど、味は保証する。
結局前の世界と変わらないゴミの種類。ないのはプラスチックゴミだろうか。
俺は集められる範囲でゴミを一箇所に纏めていく。
その姿を漁港の人たちが見ているが、誰も手伝おうとはしない。
騎士服を着ている俺がしていてもだ。
ゴミ拾いを蔑んだ目で見ている。
この偏見意識こそ変えなければならない。
ホルシオの役所で、最後の祭りがいつ行われたか受付嬢に確認する。
暫く待っていると、番号を呼ばれたため俺は席を立つ。
そこで告げられたのが、
「かれこれ3年は海に関する祭りだけではなく、全ての行事が行われていません」
とのこと。
この答えは「正しい」のか「間違っている」のか。
真実はスイしかわからないが、俺の考えでは「間違っている」。
ホルシオの領主の館で、手続きを行う。
「明日、時間をもらえるか?」
「旦那様に確認をいたしますので、暫くこちらでお待ちください」
応接室に通された俺は、不躾に室内を見渡す。
品がいいのか悪いのか、正直言って俺にはよくわからないが、ただ違和感を感じる。
しかし、これだけの贅沢品。
何か隠していることでもあるのか?
調べる必要性がありそうだ。
暫く待っていると、先ほどの執事が入ってきて、
「旦那様より明日の午前中でしたら時間が取れるとのことですが、いかがいたしましょうか」
「そうか。ならば、明日9時に第三・第四王子殿下、並びに私と第三か第四の団長が共に訪れる。そう伝えよ」
「っ!!!殿下方もですかっ!?し、失礼いたしました!畏まりました。旦那様にお伝えいたします」
「ああ、頼んだぞ」
執事のあの狼狽ぶりは、いささか不自然すぎる。
確実に何かを隠しているな。
「あ、アルバート。そっちは調べがついたのか?」
「エリアス!ああ、少しきな臭いぞ?」
「俺の方もだ。ま、ホテルに帰ってから報告としよう。さて、スイを手伝うかっ!」
見えてきた浜辺でスイを見つけると、子供たちと楽しそうに掃除をしていた。
その子供たちの衣服はボロボロで、髪も手入れされていない。
どこの子たちなのか?
「あっ!アルっ!エリアスっ!早くっ!あ、こらそれは危ないから駄目だよ!!」
子供に振り回されているスイが、可愛らしい。
殿下たちが『可愛い可愛い』と口癖のように言うのも納得だ。
「スイ、この子たちは?」
「そうそう!この子たち・・・・・・親がいないんだって」
「孤児か?」
「うん、そうみたい・・・・・・」
おかしい、と思う。
このホルシオは港町として栄え、貧富の差が少ない都市だと把握している。
だが、現実に『孤児』がいるのだ。
館で見たあの違和感とアルバートが持って帰った情報を照らし合わせると、何かがわかるはずだ。
とりあえず、俺たちは粗方片付けが済んでいることを確認して、ホテルに戻ろうとしたのだが。
「スイ?」
「ん、レインを連れてきてくれないか?」
「レインを?」
「ああ、そうだ。レインならば綺麗にしてくれるから」
「?????わかった。すぐ呼んでくるから、ホテルの近くで待っていろ」
スイに言われたとおり、俺はレインを起こしに行くが、既に皆がノロノロと起きていて、事情を話すと、サッと自分の立場を切り替えた。
「スイ団長!お待たせしました!」
「悪いな、体調悪いときに」
「いえっ!団長が私が必要だとおっしゃるのならば、この身引きずってでも参上いたします」
「・・・・・あのな、レイン。自分の身体を第一に考えてくれ。そこまで言ってくれるのは有り難いし、嬉しいけども」
スイ団長は顔を赤らめて、そっと顔を伏せられた。
ふふふ、耳まで真っ赤。
本当に愛らしい方だ。
「それで、私に用とは?」
「あ、ああ。ジオルドとレイもいるから丁度いいや。ついてきてくれ」
「私たちは『ついで』なのか?」
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