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第一章
50.バーミリア終焉
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数日後、バーミリアで圧政を敷いていた王族や貴族たちの処刑が決まった。
ただ、処刑前に俺は聞かねばならないことがある。
そのために尋問を担当していた第一騎士団のレオン団長と俺の副官のレインを連れて、罪人が捕らわれている奥深い地下牢へ足を運んだ。
簡素な囚人服を着させられ、下品すぎた宝石類は取り上げられ、伸び放題となった髭や髪は手入れされず、顔には生気が全く感じられない姿で収監されていた。
「おい、元王様。一つ聞く。バーミリアの誰もいない辺境に祀られた一体のミイラがあった。あれはなんだ?」
「・・・・・・・・・???」
「聞こえているのだろう?それとも話せなくなったか?」
「・・・・・・いや、ミイラとはなんだ?」
「???知らないのか?異国の人間とおぼしき人物が祀られていたぞ?」
「異国??『コクレン』という人物が、約3年ほど前に東の国からやってきて、わしらに金儲けの話を落としていった。今思えばその後から国がおかしくなりだしたのだ」
???????????
ん、ちょっと待て。この王、今『正常』じゃないか?
「その男は国の名を言わなかったのだな?」
「・・・ああ。ただ、東の国とだけ」
3年前。
奴はもっと前には俺たちの前から姿を消していたはず。俺が二十歳の頃にはいなかった記憶がある。
「バーミリアが召喚(・・)した(・・)事実はないのだな?」
「っ!!あの者は異世界人なのか!?」
「そうだ。あれは、数年前から行方を眩ませていた異世界での罪人で、そして俺の父親だ」
「「「っ!!!!!!」」」
その場にいた皆が驚きを隠せず、固まってしまった。
「あいつはな、妾とその息子と手を組み、俺を殺そうとした。しかし、失敗し、俺を当主から引きずり下ろし、義弟を就かせた。俺が当主をしていた家は元々母の家なのだがな。そして、俺を支持していた者どもを排除し、俺をただの手駒として飼い殺そうとしていた矢先に、あいつはいなくなった。どこに行ったのかと思ったら、こっちで死んでいたわけだ」
ただ、不思議だ。
何の力も持たないただの『人間』がこちらに召喚されるなど、意味がわからない。
「そうであったか。其方も苦労をしたのだな・・・・・・・。今となっては何故我々がその者の口車に乗せられたかはわからぬ。だが、実際この様な事態を招いた。国の責任者として責任を取るのは当然のこと」
「あれは口だけは達者だったからな~~~。ただ、お前たちの罪は消せない。その命、国民に捧げ、堕ちてゆけ」
「・・・・・・・・わかっておる・・・一つ聞かせてくれぬか?」
「何だ?」
「王妃たちはどうしておる?」
「元気だよ。彼女たちの行く末を心配する必要はない。こちらで対処はする。お前たちが逝く世界で彼女たちの未来を見守ってやれ」
「・・・・・・感謝する」
2日後、バーミリア国民の前で処刑が執行された。
そして、バーミリア第二王子が国王となる準備が取り計らわれている間に、なんと第二王子、否、王太子になるのか、トリス・バーミリアはフィルハート第二王女殿下との婚約が決まってしまったのだ。
ヘルミア様の献身的な世話に惚れ込み、口説いて口説いて口説きまくったらしい。
王女殿下も満更ではなくて、初々しいカップルが誕生したのだった。
正式な属国となった今、国の体制が整い次第、輿入れとなる予定だ。
ま、こちらの国の王族が属国に嫁いだりするのが、一番良い形ではあるし、それに愛し合っている二人だ。
良い国へと発展を遂げるだろ。
ただ、処刑前に俺は聞かねばならないことがある。
そのために尋問を担当していた第一騎士団のレオン団長と俺の副官のレインを連れて、罪人が捕らわれている奥深い地下牢へ足を運んだ。
簡素な囚人服を着させられ、下品すぎた宝石類は取り上げられ、伸び放題となった髭や髪は手入れされず、顔には生気が全く感じられない姿で収監されていた。
「おい、元王様。一つ聞く。バーミリアの誰もいない辺境に祀られた一体のミイラがあった。あれはなんだ?」
「・・・・・・・・・???」
「聞こえているのだろう?それとも話せなくなったか?」
「・・・・・・いや、ミイラとはなんだ?」
「???知らないのか?異国の人間とおぼしき人物が祀られていたぞ?」
「異国??『コクレン』という人物が、約3年ほど前に東の国からやってきて、わしらに金儲けの話を落としていった。今思えばその後から国がおかしくなりだしたのだ」
???????????
ん、ちょっと待て。この王、今『正常』じゃないか?
「その男は国の名を言わなかったのだな?」
「・・・ああ。ただ、東の国とだけ」
3年前。
奴はもっと前には俺たちの前から姿を消していたはず。俺が二十歳の頃にはいなかった記憶がある。
「バーミリアが召喚(・・)した(・・)事実はないのだな?」
「っ!!あの者は異世界人なのか!?」
「そうだ。あれは、数年前から行方を眩ませていた異世界での罪人で、そして俺の父親だ」
「「「っ!!!!!!」」」
その場にいた皆が驚きを隠せず、固まってしまった。
「あいつはな、妾とその息子と手を組み、俺を殺そうとした。しかし、失敗し、俺を当主から引きずり下ろし、義弟を就かせた。俺が当主をしていた家は元々母の家なのだがな。そして、俺を支持していた者どもを排除し、俺をただの手駒として飼い殺そうとしていた矢先に、あいつはいなくなった。どこに行ったのかと思ったら、こっちで死んでいたわけだ」
ただ、不思議だ。
何の力も持たないただの『人間』がこちらに召喚されるなど、意味がわからない。
「そうであったか。其方も苦労をしたのだな・・・・・・・。今となっては何故我々がその者の口車に乗せられたかはわからぬ。だが、実際この様な事態を招いた。国の責任者として責任を取るのは当然のこと」
「あれは口だけは達者だったからな~~~。ただ、お前たちの罪は消せない。その命、国民に捧げ、堕ちてゆけ」
「・・・・・・・・わかっておる・・・一つ聞かせてくれぬか?」
「何だ?」
「王妃たちはどうしておる?」
「元気だよ。彼女たちの行く末を心配する必要はない。こちらで対処はする。お前たちが逝く世界で彼女たちの未来を見守ってやれ」
「・・・・・・感謝する」
2日後、バーミリア国民の前で処刑が執行された。
そして、バーミリア第二王子が国王となる準備が取り計らわれている間に、なんと第二王子、否、王太子になるのか、トリス・バーミリアはフィルハート第二王女殿下との婚約が決まってしまったのだ。
ヘルミア様の献身的な世話に惚れ込み、口説いて口説いて口説きまくったらしい。
王女殿下も満更ではなくて、初々しいカップルが誕生したのだった。
正式な属国となった今、国の体制が整い次第、輿入れとなる予定だ。
ま、こちらの国の王族が属国に嫁いだりするのが、一番良い形ではあるし、それに愛し合っている二人だ。
良い国へと発展を遂げるだろ。
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