不運が招く人間兵器の異世界生活

紫苑

文字の大きさ
上 下
42 / 227
第一章

41.どの世界も同じ

しおりを挟む
俺の指示したとおりに、『瘴気』を祓い、清浄化を着々とあちら組も行っているようだ。
空が蒼く澄んでいく・・・・・・・・。
朱雀も飛びやすそうだ。
その朱雀の周りには、小鳥が増えている。
はは、友達を作れたみたいだな。
それより俺が気になったのは、否、吐き気がするほど悍(おぞ)ましいのが、遺体の多さだった。
スラムも多かった。だが、こちらも比ではなかった。路地に隠し、水路に隠し、地下に隠し・・・・・・。
『瘴気』が溢れかえる原因の一つだ。
でも、これを民が放置するはずがない!訴えていたはずなのだ、王城にっ!
それでもこの悲惨な光景を産み出したのだ。
どうせ、首謀者は、「聞いてない」「見ていない」「言っていない」の三要素に追加で「知らない」を付け加えるのだろう。
これは俺の元の世界では有り触れたことだった。
上司や先輩がよく使う言葉。そして、自分の非を認めず、謝りもせず、そして、全責任を人に押しつける。
挙げ句の果てには、自分が行った失敗を上司に「あいつがやりました」という虚偽の報告をあげ、こちらが『悪者』になっていたりする。
だから、「あの子は仕事ができない」などの悪口が閉鎖的な空間では隙間なく蔓延する。
こういうことは、どこの世界でも同じなのだと思わされた。
ただ、ただ、全面的に卑怯で、人間としてあるまじき行為で、そして、正直「今までよく後ろから刺されなかったね?」と言ってやりたい行動であるのだ。
そんな奴こそ自分の事は棚に上げ、自分が行っている諸行を他人に怒るのだ。「五月蠅いって言ってるでしょ!」とか「ここ、埃が溜まってるけど?」とか「足音五月蠅い」とか、まじで小姑かと思うやつ当たり。
まじ、最低・・・・・・。それ、あんたが全てしていることですけどねっ!と、言ってやりたい文句の数々。
ま、それが理解出来ないからこそ、絶対的に自分が正しく、間違いを修正されれば謝りもせず、責任を押しつける。ほんと、腐った世界だったわ、元の世界。
それが今の世界でもあるんだな~~と、反吐が出そうなくらいに咳き込んでやる。
ただな、一つ言いたいのが、そして、機会があるなら復讐したいのだが、俺は元の世界では


頭領

だったんだぞ!!!
会うことがあれば、必ず「殺す!」。
もう、容赦はしない。
あいつらは


皆殺しだ!!!


そんな考えの俺が「神」だぞ?笑えるな。
ほんと、まじ、ありえねーー・・・・・・・・。
「スイ団長??どうされましたか?」
付いてきてくれた騎士の中でも順位が高い者が俺に話しかけてきた。
「え?何が?」
「っ!申し訳ございません。スイ団長の頬に水滴が見えたものですから」
彼が言う水滴とは?
俺はそっと自分の顔を撫でると、冷たい水が指先に付いていた。
「ふふ、気遣ってくれてありがとう。俺は大丈夫だ。君、名前は?」
「はっ!私は第一騎士団所属、ケーリニヒ・マスカルゴと申します!」
「うん、覚えておく。ありがとう。そして、君の力は俺を癒やしてくれた。俺を言葉で癒すなんて、凄い加護を持っている証拠だ!精進を!」
「はっ!嬉しきお言葉っ!!」
彼は俺より年上だろう。俺に恐れを成さず、話をしてくれる度胸。そして、優しさ。
欲しい人材だけど、言ってくれるような第一殿下ではないよな~~~。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

BlueRose

雨衣
BL
学園の人気者が集まる生徒会 しかし、その会計である直紘は前髪が長くメガネをかけており、あまり目立つとは言えない容姿をしていた。 その直紘には色々なウワサがあり…? アンチ王道気味です。 加筆&修正しました。 話思いついたら追加します。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

スキルも魔力もないけど異世界転移しました

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
なんとかなれ!!!!!!!!! 入社四日目の新卒である菅原悠斗は通勤途中、車に轢かれそうになる。 死を覚悟したその次の瞬間、目の前には草原が広がっていた。これが俗に言う異世界転移なのだ——そう悟った悠斗は絶望を感じながらも、これから待ち受けるチートやハーレムを期待に掲げ、近くの村へと辿り着く。 そこで知らされたのは、彼には魔力はおろかスキルも全く無い──物語の主人公には程遠い存在ということだった。 「異世界転生……いや、転移って言うんですっけ。よくあるチーレムってやつにはならなかったけど、良い友だちが沢山できたからほんっと恵まれてるんですよ、俺!」 「友人のわりに全員お前に向けてる目おかしくないか?」 チートは無いけどなんやかんや人柄とかで、知り合った異世界人からいい感じに重めの友情とか愛を向けられる主人公の話が書けたらと思っています。冒険よりは、心を繋いでいく話が書きたいです。 「何って……友だちになりたいだけだが?」な受けが好きです。 6/30 一度完結しました。続きが書け次第、番外編として更新していけたらと思います。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

【連載】異世界でのんびり食堂経営

茜カナコ
BL
異世界に飛ばされた健(たける)と大翔(ひろと)の、食堂経営スローライフ。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

神は眷属からの溺愛に気付かない

グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】 「聖女様が降臨されたぞ!!」  から始まる異世界生活。  夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母であり聖女である母から不要な存在として捨てられる。  ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。  彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。    そして、必死に生き残って3年。  人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。  今更ながら、人肌が恋しくなってきた。  よし!眷属を作ろう!!    この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。    神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。ラントの立ち位置は、作者がこの小説を書いている時にハマっている漫画や小説に左右されます。  ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。    のんびりとした物語です。    現在二章更新中。 現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)

処理中です...