上 下
4 / 14
デイミオン卿の浮気調査

デイミオン卿の浮気調査 1

しおりを挟む
(※第二部 3-4話あたりのタイムライン上にありますが、ギャグなので整合性は微妙です)

 早朝の練兵場にて。
 
「なに?」
 デイミオンは、はっとして声を低めた。「タナスタス卿から返事が来た?」
「はあ」ハダルクは防具の手入れに気を取られていたが、いちおう上官である男に返答した。
「ですが、繁殖期シーズンの申し込みはお断りするようにと、先日言っておられましたでしょう? それで……」
「ば……馬鹿! タナスタス卿のお誘いをお断りする男があるか!」デイミオンは怒鳴った。

「急いで謝罪と取り消しの手紙を――いや、直接行ってきたほうが」
 目に見えてそわそわする上官に、ハダルクはあきれたまなざしを送った。
「よろしいですけど、陛下にバレるとまずいのでは? それでなくても、繁殖期シーズンのことであまり心証がよくないようですし」
 黒竜大公の目に動揺が走った。
「……私の〈ばい〉対策は完璧だ、おまえが黙っていれば済むことだ」
繁殖期外恋愛うわきは感心しませんな」
「人聞きの悪いことを言うな。これは……視察だ」



 こちらは、王の謁見えっけん室。
「なるほどね」
 ふつふつと怒りを沸きたたせながら、リアナはひざまずく密告者を見下ろした。「デイミオンが。タナスタス卿と。デートと」

 密告者、つまりテオは、いちおう善意の忠告をした。
「あんま追い詰めちゃダメっすよ陛下、そゆことすると、男は逃げたくなっちゃうもんスから……」
 が、そんな男の都合に耳を傾けるリアナではない。午後の謁見予定を無理くりに午前に振り分け、さっそくデートを尾行する算段を立てはじめた。隣では、護衛(としか言いようのない役職)のフィルバートが、にこにこと事務作業を手伝っている。

 不毛な調査はやめておいたほうがいいのでは、と言おうとしたテオだが、かつての上官の視線に凍りついた。戦場ではその目ひとつが突撃の合図ともなった、言葉よりも多くを語る目が、「よけいなことを口に出したらおまえの然るべき関節をはずすが、雨の日がわかるようになりたいか?」と言っていた。

 いいえ、なりたくありません。ふるふる(首を振る音)。


 そんな男の本性など知らないオンブリアの王は、 
「言っておくけど。別に気になるからとかじゃないから」
 と捨て台詞を残して自室に引きあげていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

恋人の水着は想像以上に刺激的だった

ヘロディア
恋愛
プールにデートに行くことになった主人公と恋人。 恋人の水着が刺激的すぎた主人公は…

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

君の浮気にはエロいお仕置きで済ませてあげるよ

サドラ
恋愛
浮気された主人公。主人公の彼女は学校の先輩と浮気したのだ。許せない主人公は、彼女にお仕置きすることを思いつく。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

夜の公園、誰かが喘いでる

ヘロディア
恋愛
塾の居残りに引っかかった主人公。 しかし、帰り道に近道をしたところ、夜の公園から喘ぎ声が聞こえてきて…

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

処理中です...