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僕のご馳走
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物心着いた時から、みんながご飯を美味しいと食べているのがよく分からなかった。食べ物は、ただの栄養補給のための無味無臭のものだと思っていた。
美味しい?と問う母や父に対して、美味しくない、と答えているのがおかしいと気づいたのは小学校に上がった頃だった。
小学生になった僕は、周りに合わせることを覚えた。
生まれてきてからずっと味のないものだ、と思っていたものを美味しいね、と笑って話せるようになった。
父と母にも美味しいと言ったら泣いて喜んでいた。
嘘をつくだけで喜んで貰えるなんて。
そんな些細なことで人が笑顔になるなんて。
僕はとてもつまらなかった。
中学に上がった頃、僕は告白されることが増えてきた。
つまらなかった僕の世界に何かしらの刺激が欲しかった。もちろんセックスもした。何も快感もない。ただ生理的に射精をして、それで終わり。毎回毎回、それだけで終わった。街を歩いていると年上からも声をかけられるようになった。自分は顔がいいほうなんだ、とその頃に自覚した。
何かが足りない、何かが、何かが欲しい。
わけも分からず僕は何かを求めていた。
高校にあがり、何をするにも億劫になった。
年齢問わず迫ってきたやつらは追い払わずに肉体だけの関係を持つようになった。
純粋そうだった女も、僕と体の関係を繋げたかった女。そうでもしないと僕は一人ぼっちにでもなってしまったようだった。
両親が喜んでくれるように家ではイイコを演じていた。勉強もやれるだけやった。女とも沢山寝た。
両親が褒めても、認めても、女が僕に媚びを売ってすり寄って来ても、だけどそれでも僕は孤独だった。
ただ、ある1人を除いては。
高校3年生になった時に、高1の男に告白をされた。男に告白されたのは初めての事だった。
何か面白いことが起こるのだろう、そう確信してこいつと付き合った。
こいつの名前は咲原 蛍都、体験入学の時に一目惚れをしたんだとか。
普段男なんて見てもなんも感じない僕が、珍しくこいつは可愛いと思ってしまった。
だから付き合った、早々に捨てればいいや、と思っていた。これが僕の1番、後悔しているポイントだと思う。
なんだかんだ言って、けいは男だ。僕も手が出せずに1ヶ月経った。付き合って直ぐに体の関係を持っていた僕が、何故だろう。こいつだけは、けいだけは気軽に手を出してはいけないんだ、と思っていた。
痺れを切らしたけいが、デートに行きましょうと誘ってきた。いかにも定番なテーマパークだった。
初めてきた訳でもないが小さい頃に数回来ただけで僕自身、絶叫が苦手なのを知らなかったからしょうがない。けいの前でかっこ悪い自分を見せてしまったのを後悔した時に、僕はちゃんとこいつに好意を寄せている確信が持てた。
デート終盤、ほんとにあいつは定番が好きなのか分からないが、観覧車に乗りたいと言ってきた。
好きだと自覚した直ぐに2人っきりの空間は何故か恥ずかしいもので、少し気まずい空気が流れた。
「先輩が、俺の事好きじゃないの分かってます。1ヶ月も夢を見せてくれて、本当にありがとうございました。」
突然、けいが喋ったと思ったら意味のわからないことを言い始めた。
「先輩が1ヶ月、俺に手を出してこなかったのって別に俺のことが好きじゃなかったからですよね、、?先輩の付き合ってた元カノさん達は全員顔もスタイルも良くて、やっぱり男なんてヤるき起きないのわかります。」
違う、違うよ、けい。
「だから、俺今日をずっと覚えてようって、記念にしようって思って誘ったんです。本当に先輩ありがとうございました、どうぞ、どうぞこっぴどく振ってください。」
そう言って、あいつは泣きながら笑った。眉毛を八の字にして、これでもう終わりだと言わんばかりの笑顔で。
ポロポロと頬を伝う綺麗な涙。
僕はお前にそんな顔させたくなかったんだ。何人も抱いたやつが今更清純気取りなんておかしいけど
「僕は、僕はねけい。けいが、咲原蛍都が好きなんだよ。ねぇけい、君気づいてた?僕が今日途中でお前への態度が変わってたのもほとんど照れ隠しなんだよ、言葉足らずでごめん。けいのことを大事にしたかったんだ…。」
黙って話を聞きながらどんどん目を真ん丸にして、さっき以上にぼろぼろぼろぼろ涙をこぼす。それがなぜかもったいなく思えてしまって、思わず舐めとってしまった。舐めなきゃ良かった、と思うくらい、けいの涙はとても甘く完熟したくだものの果汁のような味がした。
この世界に生まれて初めて、味を感じたのだ。
「けい、もう時間も遅い。観覧車も周り切る。ぼくの家近いから、今日は泊まりな。」
「…はい。」
まだ考えがまとまっていないのか、けいは顔を真っ赤にして俯きながら相槌を打った。
家に着いて我慢が出来なくてけいにキスをする。いつもするような別れ際の軽いキスなんかじゃなく、もっと深く、お互いの口内を犯し合うようなキス。
ただただに甘かった
甘さに頭が壊れそうだった。これ以上踏み込めば戻れなくなる。それは分かっていた。
初めての味覚に、嗅覚に、感覚に、溺れてしまったのだ。何も感じれなかった僕が、ようやく感じれた。僕だけの味覚。
そのまま2人でベットに倒れ込む。
倒れ込んだあともキスが辞められなかった。
お互いに縺れ合いながら服を脱いでいく。
この服を脱がす時間ももったいないくらいに貪っていく。
けいの名前を呼ぶと、先輩と言ってくるこいつが愛おしくて、美味しくてたまらない。味ってこういうことを言うんだ。これから僕は無味無臭に耐えられるのだろうか、多分無理だろう。
こいつの口の中を通せば大抵のものが美味くなることを知った。唾液、水、今まで味のなかった全ての食べ物の味をする方法が分かった。
けいの体液も僕からしたらご馳走にしかならない。
なら、、けいのどこも美味しいのなら、、、
僕は迷わずフェラをする。
「うあっ、、ちょっと先輩…っ」
時々声をもらすけいが可愛くてたまらない。
裏筋から亀頭にかけて舐めていく。ゆっくりゆっくりけいのそれを味わうように。なんでこいつはこんなにも甘いのだ。出てきたカウパーは生クリームのような甘さを感じた。
こいつの全てが甘い。汗も、涙も、精液も、そして匂いまでもが甘い。くだもののような、生クリームのような、でも爽やかな酸味もあり、いくら食べても飽きない。
はやく、はやくけいのそれを喰いたい。はやく、ここに、いつの間にかけいに解されていたアナルをあいつにわざと見せつける。
「ほら、見えるかけい。僕はお前が欲しくて欲しくて堪らないよ。はやく、早くけいを食べさせて?」
「そんなに、煽らないでください…よっ」
「うあっ、、くっ…ぁっ」
今までに感じたことのない快感が襲ってきた。頭がチカチカする。なんだこれは。怖い。自然とそう思った。
声まで意識してないのにでてしまう。
「けっ…けい、、激しっ」
「そこまで激しくしてないです、まだ俺の全部食べてもらってないですよ先輩…」
「くっ…あっあっ…ひぐっ」
どんどん激しくなる中で音だけが響く。
それがまた羞恥を誘う。美味しい、美味しい、気持ちいい、美味しい。
キスをされ、中を突かれ、頭がおかしくなっていく。けいがどんどんと理性を無くして獣のように腰を振り、口を貪り、ただ、先輩先輩と独り言のように呟いていく。
背中に傷跡を沢山つけて
赤い花を沢山散らされて
しがみついてる時に目に入った肩に。思わずかぶりつく。結構深く噛んでしまったようで痛みに顔を歪ませるけい。そんなことも気にとめず、流れ落ちる血が美味しくて、止まるまで血を吸っていた。
それからどれくらい時間が経っただろう。
気づいたら着替えて寝ていた。
けいが着替えさせてくれたのだろうか。
「おはようございます先輩。勝手に服借りちゃいました…大丈夫でした?」
「うん、大丈夫。着替えとかありがとう」
「いえ!ただ、、、、」
言いにくそうに何故か、モジモジしている。普通なら気持ち悪いと思うだろうが、可愛いと思って不覚にも笑ってしまった…
「ははっ、朝勃ちか。じゃあ、僕のご飯をいただこうかな。」
早々に捨てればいいや、なんて思っていたことを後悔した。こいつは、咲原蛍都は、僕だけの相手だ。そんな軽い気持ちで付き合ってしまってほんとに後悔しているが、その分愛せばいい。手を出せなかったのも特別なのが自分の中のどこかで分かっていたからだろう。
こうやって僕を見つけてくれたけいもどこかで何かを感じていたからなんだろう。
ありがとう、出会ってくれて。
絶対に離してやらないから。
僕の、僕の大事なケーキ。
美味しい?と問う母や父に対して、美味しくない、と答えているのがおかしいと気づいたのは小学校に上がった頃だった。
小学生になった僕は、周りに合わせることを覚えた。
生まれてきてからずっと味のないものだ、と思っていたものを美味しいね、と笑って話せるようになった。
父と母にも美味しいと言ったら泣いて喜んでいた。
嘘をつくだけで喜んで貰えるなんて。
そんな些細なことで人が笑顔になるなんて。
僕はとてもつまらなかった。
中学に上がった頃、僕は告白されることが増えてきた。
つまらなかった僕の世界に何かしらの刺激が欲しかった。もちろんセックスもした。何も快感もない。ただ生理的に射精をして、それで終わり。毎回毎回、それだけで終わった。街を歩いていると年上からも声をかけられるようになった。自分は顔がいいほうなんだ、とその頃に自覚した。
何かが足りない、何かが、何かが欲しい。
わけも分からず僕は何かを求めていた。
高校にあがり、何をするにも億劫になった。
年齢問わず迫ってきたやつらは追い払わずに肉体だけの関係を持つようになった。
純粋そうだった女も、僕と体の関係を繋げたかった女。そうでもしないと僕は一人ぼっちにでもなってしまったようだった。
両親が喜んでくれるように家ではイイコを演じていた。勉強もやれるだけやった。女とも沢山寝た。
両親が褒めても、認めても、女が僕に媚びを売ってすり寄って来ても、だけどそれでも僕は孤独だった。
ただ、ある1人を除いては。
高校3年生になった時に、高1の男に告白をされた。男に告白されたのは初めての事だった。
何か面白いことが起こるのだろう、そう確信してこいつと付き合った。
こいつの名前は咲原 蛍都、体験入学の時に一目惚れをしたんだとか。
普段男なんて見てもなんも感じない僕が、珍しくこいつは可愛いと思ってしまった。
だから付き合った、早々に捨てればいいや、と思っていた。これが僕の1番、後悔しているポイントだと思う。
なんだかんだ言って、けいは男だ。僕も手が出せずに1ヶ月経った。付き合って直ぐに体の関係を持っていた僕が、何故だろう。こいつだけは、けいだけは気軽に手を出してはいけないんだ、と思っていた。
痺れを切らしたけいが、デートに行きましょうと誘ってきた。いかにも定番なテーマパークだった。
初めてきた訳でもないが小さい頃に数回来ただけで僕自身、絶叫が苦手なのを知らなかったからしょうがない。けいの前でかっこ悪い自分を見せてしまったのを後悔した時に、僕はちゃんとこいつに好意を寄せている確信が持てた。
デート終盤、ほんとにあいつは定番が好きなのか分からないが、観覧車に乗りたいと言ってきた。
好きだと自覚した直ぐに2人っきりの空間は何故か恥ずかしいもので、少し気まずい空気が流れた。
「先輩が、俺の事好きじゃないの分かってます。1ヶ月も夢を見せてくれて、本当にありがとうございました。」
突然、けいが喋ったと思ったら意味のわからないことを言い始めた。
「先輩が1ヶ月、俺に手を出してこなかったのって別に俺のことが好きじゃなかったからですよね、、?先輩の付き合ってた元カノさん達は全員顔もスタイルも良くて、やっぱり男なんてヤるき起きないのわかります。」
違う、違うよ、けい。
「だから、俺今日をずっと覚えてようって、記念にしようって思って誘ったんです。本当に先輩ありがとうございました、どうぞ、どうぞこっぴどく振ってください。」
そう言って、あいつは泣きながら笑った。眉毛を八の字にして、これでもう終わりだと言わんばかりの笑顔で。
ポロポロと頬を伝う綺麗な涙。
僕はお前にそんな顔させたくなかったんだ。何人も抱いたやつが今更清純気取りなんておかしいけど
「僕は、僕はねけい。けいが、咲原蛍都が好きなんだよ。ねぇけい、君気づいてた?僕が今日途中でお前への態度が変わってたのもほとんど照れ隠しなんだよ、言葉足らずでごめん。けいのことを大事にしたかったんだ…。」
黙って話を聞きながらどんどん目を真ん丸にして、さっき以上にぼろぼろぼろぼろ涙をこぼす。それがなぜかもったいなく思えてしまって、思わず舐めとってしまった。舐めなきゃ良かった、と思うくらい、けいの涙はとても甘く完熟したくだものの果汁のような味がした。
この世界に生まれて初めて、味を感じたのだ。
「けい、もう時間も遅い。観覧車も周り切る。ぼくの家近いから、今日は泊まりな。」
「…はい。」
まだ考えがまとまっていないのか、けいは顔を真っ赤にして俯きながら相槌を打った。
家に着いて我慢が出来なくてけいにキスをする。いつもするような別れ際の軽いキスなんかじゃなく、もっと深く、お互いの口内を犯し合うようなキス。
ただただに甘かった
甘さに頭が壊れそうだった。これ以上踏み込めば戻れなくなる。それは分かっていた。
初めての味覚に、嗅覚に、感覚に、溺れてしまったのだ。何も感じれなかった僕が、ようやく感じれた。僕だけの味覚。
そのまま2人でベットに倒れ込む。
倒れ込んだあともキスが辞められなかった。
お互いに縺れ合いながら服を脱いでいく。
この服を脱がす時間ももったいないくらいに貪っていく。
けいの名前を呼ぶと、先輩と言ってくるこいつが愛おしくて、美味しくてたまらない。味ってこういうことを言うんだ。これから僕は無味無臭に耐えられるのだろうか、多分無理だろう。
こいつの口の中を通せば大抵のものが美味くなることを知った。唾液、水、今まで味のなかった全ての食べ物の味をする方法が分かった。
けいの体液も僕からしたらご馳走にしかならない。
なら、、けいのどこも美味しいのなら、、、
僕は迷わずフェラをする。
「うあっ、、ちょっと先輩…っ」
時々声をもらすけいが可愛くてたまらない。
裏筋から亀頭にかけて舐めていく。ゆっくりゆっくりけいのそれを味わうように。なんでこいつはこんなにも甘いのだ。出てきたカウパーは生クリームのような甘さを感じた。
こいつの全てが甘い。汗も、涙も、精液も、そして匂いまでもが甘い。くだもののような、生クリームのような、でも爽やかな酸味もあり、いくら食べても飽きない。
はやく、はやくけいのそれを喰いたい。はやく、ここに、いつの間にかけいに解されていたアナルをあいつにわざと見せつける。
「ほら、見えるかけい。僕はお前が欲しくて欲しくて堪らないよ。はやく、早くけいを食べさせて?」
「そんなに、煽らないでください…よっ」
「うあっ、、くっ…ぁっ」
今までに感じたことのない快感が襲ってきた。頭がチカチカする。なんだこれは。怖い。自然とそう思った。
声まで意識してないのにでてしまう。
「けっ…けい、、激しっ」
「そこまで激しくしてないです、まだ俺の全部食べてもらってないですよ先輩…」
「くっ…あっあっ…ひぐっ」
どんどん激しくなる中で音だけが響く。
それがまた羞恥を誘う。美味しい、美味しい、気持ちいい、美味しい。
キスをされ、中を突かれ、頭がおかしくなっていく。けいがどんどんと理性を無くして獣のように腰を振り、口を貪り、ただ、先輩先輩と独り言のように呟いていく。
背中に傷跡を沢山つけて
赤い花を沢山散らされて
しがみついてる時に目に入った肩に。思わずかぶりつく。結構深く噛んでしまったようで痛みに顔を歪ませるけい。そんなことも気にとめず、流れ落ちる血が美味しくて、止まるまで血を吸っていた。
それからどれくらい時間が経っただろう。
気づいたら着替えて寝ていた。
けいが着替えさせてくれたのだろうか。
「おはようございます先輩。勝手に服借りちゃいました…大丈夫でした?」
「うん、大丈夫。着替えとかありがとう」
「いえ!ただ、、、、」
言いにくそうに何故か、モジモジしている。普通なら気持ち悪いと思うだろうが、可愛いと思って不覚にも笑ってしまった…
「ははっ、朝勃ちか。じゃあ、僕のご飯をいただこうかな。」
早々に捨てればいいや、なんて思っていたことを後悔した。こいつは、咲原蛍都は、僕だけの相手だ。そんな軽い気持ちで付き合ってしまってほんとに後悔しているが、その分愛せばいい。手を出せなかったのも特別なのが自分の中のどこかで分かっていたからだろう。
こうやって僕を見つけてくれたけいもどこかで何かを感じていたからなんだろう。
ありがとう、出会ってくれて。
絶対に離してやらないから。
僕の、僕の大事なケーキ。
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BL短編まとめ(甘い話多め)
白井由貴
BL
BLの短編詰め合わせです。
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【不定期更新】
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