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クラウスにプレゼントを渡してから、数日が経った。
今日は、勉強をしたり本を読んだりして過ごす。お昼過ぎには、屋敷の敷地内を散歩した。
庭園の方に歩いて行くと、花が見える位置に座っているエルーシアがいた。
そういえば、あまりルシアン様を見掛けなくなったわね……。
なんだか最近のエルーシアは、静かになったわね。
「あらお姉様。こんにちは」
「こんにちはエルーシア。」
エルーシアの表情は少し暗かった。
「お姉様は、クラウス様とお付き合いをしていて幸せ?」
「幸せよ」
「そう……。クラウス様が太ったままだったとしても?」
私は、エルーシアの質問に迷わず答えた。
「例え、クラウス様が太ったままだったとしても、一緒にいることが出来て幸せよ」
「それは、クラウス様が公爵家の人だから?」
「違うわ。クラウス様を愛しているからよ」
私の答えを聞いたエルーシアは、ひどく悲しそうな顔をして、視線を前に戻した。
私はこれ以上話をしたくなかったので、屋敷の中に戻って行った。
ここ最近、あの子全然出掛けなくなったわね。ルシアン様もプラメル家で見掛ける事が少なくなったわ。あの様子だと、お友達にも会っていなさそうね。
そういえば、お兄様はエルーシアと真逆ね。お父様の仕事の手伝いや付き合いで出掛けない日は、ハーヴェス領に遊びに行ってるわね。昼間は、あまり屋敷の中で見掛けないわ。まあ、私もリーベル領に行ってることが多いから、人のことは言えないけれどね。
それから、私はエレーナに手紙を書いた。あと一月ちょっとでイチゴが食べ頃になる為、プラメル領に招待をしようと思っていた。
「サラ、この手紙を後で外に出る予定の使用人に渡してね」
「かしこまりました」
手紙を書き終わって暇になってしまったので、もう一度屋敷の周りを散歩した。
今度は庭園にエルーシアがいなかったので、のんびり花を見て歩く。
もうすぐ、クラウスに出会って一年か。もう、あの頃の私は居ないのね。クラウスも私もたくましくなったわ。
私は一年前には考えられないくらいに、幸せな気持ちで庭園を歩いて行った。
夕方にお兄様に会った。
「お兄様、お帰りなさい」
「ただいま、リリアーナ」
「今日エレーナお姉様に手紙を出しましたわ」
「エレーナと会うのかい?」
「そうよ! イチゴをご馳走する約束をしていたのよ。だから、プラメル領に一月後くらいに、来て貰おうと思って」
お兄様は、嬉しそうな顔をした。
「いいね、それ。僕も参加したいな」
「ふふ。そう言うと思って、お兄様がお仕事の手伝いが入っていそうな日を、いくつか記入して送ったわ」
お兄様の顔が不機嫌になった。
「どうして、そんな意地悪をするの?」
「女性同士の楽しいおしゃべりに、男性のお兄様はお邪魔ですの」
お兄様は、肩を落としてから返事をした。
「分かったよ。エレーナと楽しんでね。それから、町に行くなら必ず護衛を付けるんだよ」
「分かっているわ。それから、ありがとうお兄様。エレーナお姉様をお借りしますね」
お兄様が去って行ったので、私も自室に戻った。
その後に、夕食を食べてから眠りについた。
今日は、勉強をしたり本を読んだりして過ごす。お昼過ぎには、屋敷の敷地内を散歩した。
庭園の方に歩いて行くと、花が見える位置に座っているエルーシアがいた。
そういえば、あまりルシアン様を見掛けなくなったわね……。
なんだか最近のエルーシアは、静かになったわね。
「あらお姉様。こんにちは」
「こんにちはエルーシア。」
エルーシアの表情は少し暗かった。
「お姉様は、クラウス様とお付き合いをしていて幸せ?」
「幸せよ」
「そう……。クラウス様が太ったままだったとしても?」
私は、エルーシアの質問に迷わず答えた。
「例え、クラウス様が太ったままだったとしても、一緒にいることが出来て幸せよ」
「それは、クラウス様が公爵家の人だから?」
「違うわ。クラウス様を愛しているからよ」
私の答えを聞いたエルーシアは、ひどく悲しそうな顔をして、視線を前に戻した。
私はこれ以上話をしたくなかったので、屋敷の中に戻って行った。
ここ最近、あの子全然出掛けなくなったわね。ルシアン様もプラメル家で見掛ける事が少なくなったわ。あの様子だと、お友達にも会っていなさそうね。
そういえば、お兄様はエルーシアと真逆ね。お父様の仕事の手伝いや付き合いで出掛けない日は、ハーヴェス領に遊びに行ってるわね。昼間は、あまり屋敷の中で見掛けないわ。まあ、私もリーベル領に行ってることが多いから、人のことは言えないけれどね。
それから、私はエレーナに手紙を書いた。あと一月ちょっとでイチゴが食べ頃になる為、プラメル領に招待をしようと思っていた。
「サラ、この手紙を後で外に出る予定の使用人に渡してね」
「かしこまりました」
手紙を書き終わって暇になってしまったので、もう一度屋敷の周りを散歩した。
今度は庭園にエルーシアがいなかったので、のんびり花を見て歩く。
もうすぐ、クラウスに出会って一年か。もう、あの頃の私は居ないのね。クラウスも私もたくましくなったわ。
私は一年前には考えられないくらいに、幸せな気持ちで庭園を歩いて行った。
夕方にお兄様に会った。
「お兄様、お帰りなさい」
「ただいま、リリアーナ」
「今日エレーナお姉様に手紙を出しましたわ」
「エレーナと会うのかい?」
「そうよ! イチゴをご馳走する約束をしていたのよ。だから、プラメル領に一月後くらいに、来て貰おうと思って」
お兄様は、嬉しそうな顔をした。
「いいね、それ。僕も参加したいな」
「ふふ。そう言うと思って、お兄様がお仕事の手伝いが入っていそうな日を、いくつか記入して送ったわ」
お兄様の顔が不機嫌になった。
「どうして、そんな意地悪をするの?」
「女性同士の楽しいおしゃべりに、男性のお兄様はお邪魔ですの」
お兄様は、肩を落としてから返事をした。
「分かったよ。エレーナと楽しんでね。それから、町に行くなら必ず護衛を付けるんだよ」
「分かっているわ。それから、ありがとうお兄様。エレーナお姉様をお借りしますね」
お兄様が去って行ったので、私も自室に戻った。
その後に、夕食を食べてから眠りについた。
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