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  クラウスが帰った後、私はエルーシアに捕まっていた……

「あら?  お姉様!  クラウス様は、帰られたの?」

  エルーシアに聞かれた。

「ええ。先程帰られましたよ。」

「ふーん。金髪の子豚さん帰ったのね」

  エルーシアの言葉に私は驚き目を見開く。

「あら?  お姉様知らないの?  クラウス様って裏では、金髪の子豚って呼ばれているのよ。まあ、今は身長が伸びてしまって子豚って感じではないわよね」

  そう言うとエルーシアは、可笑しそうに笑う。

「エルーシア!  それは、外では絶対に言ってはいけないわ」

  私の言葉にエルーシアは可笑しそうに言った。

「なにー?  お姉様、クラウス様のこと好きなの?  あんなにプクプクに膨らんだ方がタイプなのー?  趣味悪ーい!  あはは」

  エルーシアは、笑いながら私の横を通り過ぎて行った。

  私は悲しくなった。クラウスが裏でそんな風に呼ばれていることに……

  そんなこと言われたら……私でも結婚を諦めてしまうわ。
  エルーシアをクラウスに近づけないようにしなくてわ。
  伯爵家では、あまり会わないようにしよう。
  クラウスのお祖父様は、先代の王の弟だったわよね。エルーシア……分かっているのかしら、そんな不敬な言葉、公爵家の方々はもちろん、王家の方に聞かれたら……

  私は、お兄様に相談することにした。

「おや?  リリアーナが僕の部屋に来るのは珍しいね。どうしたんだい?」

  私は少しうつむき答えた。

「お兄様。クラウス様は、金髪の子豚って呼ばれているの?  エルーシアが言っていたわ」

  お兄様は、眉間にシワを寄せて言った。

「確かに、クラウス様のことを裏でそう呼ぶ人達がいるが……一部の人達だよ。それよりエルーシアがその言葉を使っている方が問題だね」

  お兄様は、頭を片手で抱えてしまった。

「私からは、外では絶対に使わないように言いましたが……守ってくれるかどうか……お兄様からも言ってくれますか?」

  私の言葉にお兄様が答えた。

「分かった。僕からも言っておくよ。あと、リリアーナとあいつの婚約解消のうわさが広まっている。エルーシアが友人の令嬢に話してまわったらしい……。しばらく、お茶会には出ない方がいい」

  お兄様は言いづらそうにしながらも、話してくれた。

「お兄様、心配ありがとうございます。今はクラウス様とのダイエットに忙しいのでお茶会は、全て断っていますわ」

  明るく答えた私に、お兄様は安心したようだった。

  次の日、屋敷の中で何度かエルーシアに睨まれが、何も言って来なかった。
  お兄様に告げ口したことを根に持っているのだろう……

  サラがエルーシアからの視線を遮るように移動し、盾となって庇ってくれた。

  頼もしい侍女である。
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