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  エルーシアに貸した物は、ドレスや靴、ネックレスなど様々。どれも、私が気に入っている物だった。

「もうお姉様には、着れないわね。だって私のサイズにピッタリだもの。ネックレスは失くしてしまったわ」

  貸した物は、ほとんどリリアーナの手のなかに戻って来なかった。

  私がお母様に伝えても、「ドレスや靴は、たくさんあるじゃない。少しくらいエルーシアに貸してあげてね」と言われ、お父様は仕事で忙しく、話をあまり聞いてもらえなかった。

  こんなに何度もされると、さすがに私も気づき始めた。

  エルーシアは、私の気に入っている物をわざと壊したり失くしたりしている。でも、どうして。

  私の大切な物は、全てエルーシアに盗られていく。大切な物を作らなければ誰にも盗られないわ。

  そうして、感情を顔に出さないように過ごすようにしていった。

  私もエルーシアもお母様に似た同じミルクティー色の髪。瞳の色は私は、お父様から受け継いだ濃い緑。エルーシアは、お母様と一緒の水色。

  エルーシアのストレートの髪も薄く透き通った水色の瞳もうらやましかった。

  私の髪は、どんなに櫛でとかしても真っ直ぐはならない。

  エルーシアは、私に無いものを持っているのに、さらに私のものを奪っていく。

  日に日に無表情になっていく私に、家族はあまり感心を示さず、お父様もお母様も兄お兄様もエルーシアだけを可愛がるようになっていった。

  私は基本部屋で本を読んで過ごし、家庭教師が来た時は勉強をする。

  子どもが参加出来るお茶会にも出たが、特に親しい友達を作ることもなく静かに過ごす。

  エルーシアの周りには、いつも何人かの令息や令嬢がいて華やかだった。
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