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今日はロンとデートの約束をしている。
ネズミのネックレスをつけてきた。
ロンが乗った馬車が到着し、町に向かった。
お昼ご飯はステーキをご馳走になった。
今日は王都から少し離れた場所にある湖に行くらしい。
今はロンと馬車に揺られている。
「久しぶりに湖に行くので楽しみです」
「俺も久しぶりだな。マードック領の方は昨年行ったが」
「マードック領にもあるのですね」
「ああ。かなり小さいがな」
馬車が止まった。馬車から降りると湖が視界に入った。
「青くて綺麗ですね」
「うん、そうだな。少し歩こう」
ロンが手を差し出してきたので、私はその手を握った。
「風が気持ちいいですね」
「そうだな」
そう言えばアリスがロイアン様はシャイなのね。と言っていたがどうなのだろうか。
ネズミの頃のロンはペラペラ話していたが、人間の姿になったロンは口数が少ないような……。
「アネモネ、ボートに乗ろう」
「えっ、ボート? わーい」
「はは、子どもみたいにはしゃいで」
私を見て笑ったロンを少しだげカッコいいと思ってしまった。
ロンと二人でボートに乗った。
メイドのアリサはロンが連れて来た護衛の方と一緒のボートに乗って楽しそうだ。
「ロン、上手ね」
「まあな」
ロンの口角が一瞬上がっていた。ふふ。かわいいわね。
「……あのさ、渡したいものがあるんだ」
そう言うとロンはボードを漕ぐ手を止めて、もぞもぞと何かを出した。
ロンの手の中には、赤いリボンがついた、小さな箱がある。
「開けてみて」
ロンは箱を私に差しだした。
私はそっとリボンをほどき、箱を開ける。
中には赤いお花のネックレスが入っていた。
花びらの部分は薄いガラスで、花の中心はダイヤモンドがついていた。
「ロンありがとう」
私は笑顔で伝える。
「おお。……あの、それはアネモネの花で……赤にしたのは、その……えっとだな」
ロンは急にどもってしまった。
花言葉は詳しくないけれど……さすがに自分の名前は覚えているわ。赤いお花は……
君を愛す
だったわね。
ふふ。それでどもっていたのね。ロンったらかわいいわね。
「ふふ。ありがとうございます。私もロイアン様の事を愛しています」
ロンは驚いた顔してから、顔を少し赤くした。
「お、俺も。ネックレスをつけるから、後ろを向いて」
ロンは、私にアネモネの花のネックレスをつけてくれた。
私の胸元では、ネズミとアネモネの花が重なっている。
「ロンと私のネックレスですね」
「ああ、二つとも似合っている」
私達は見つめあいキスをした。
(おわり)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ネズミのネックレスをつけてきた。
ロンが乗った馬車が到着し、町に向かった。
お昼ご飯はステーキをご馳走になった。
今日は王都から少し離れた場所にある湖に行くらしい。
今はロンと馬車に揺られている。
「久しぶりに湖に行くので楽しみです」
「俺も久しぶりだな。マードック領の方は昨年行ったが」
「マードック領にもあるのですね」
「ああ。かなり小さいがな」
馬車が止まった。馬車から降りると湖が視界に入った。
「青くて綺麗ですね」
「うん、そうだな。少し歩こう」
ロンが手を差し出してきたので、私はその手を握った。
「風が気持ちいいですね」
「そうだな」
そう言えばアリスがロイアン様はシャイなのね。と言っていたがどうなのだろうか。
ネズミの頃のロンはペラペラ話していたが、人間の姿になったロンは口数が少ないような……。
「アネモネ、ボートに乗ろう」
「えっ、ボート? わーい」
「はは、子どもみたいにはしゃいで」
私を見て笑ったロンを少しだげカッコいいと思ってしまった。
ロンと二人でボートに乗った。
メイドのアリサはロンが連れて来た護衛の方と一緒のボートに乗って楽しそうだ。
「ロン、上手ね」
「まあな」
ロンの口角が一瞬上がっていた。ふふ。かわいいわね。
「……あのさ、渡したいものがあるんだ」
そう言うとロンはボードを漕ぐ手を止めて、もぞもぞと何かを出した。
ロンの手の中には、赤いリボンがついた、小さな箱がある。
「開けてみて」
ロンは箱を私に差しだした。
私はそっとリボンをほどき、箱を開ける。
中には赤いお花のネックレスが入っていた。
花びらの部分は薄いガラスで、花の中心はダイヤモンドがついていた。
「ロンありがとう」
私は笑顔で伝える。
「おお。……あの、それはアネモネの花で……赤にしたのは、その……えっとだな」
ロンは急にどもってしまった。
花言葉は詳しくないけれど……さすがに自分の名前は覚えているわ。赤いお花は……
君を愛す
だったわね。
ふふ。それでどもっていたのね。ロンったらかわいいわね。
「ふふ。ありがとうございます。私もロイアン様の事を愛しています」
ロンは驚いた顔してから、顔を少し赤くした。
「お、俺も。ネックレスをつけるから、後ろを向いて」
ロンは、私にアネモネの花のネックレスをつけてくれた。
私の胸元では、ネズミとアネモネの花が重なっている。
「ロンと私のネックレスですね」
「ああ、二つとも似合っている」
私達は見つめあいキスをした。
(おわり)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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