かわいがっているネズミが王子様だと知ったとたんに可愛くなくなりました

ねむ太朗

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  今日はお父様とお母様と王宮に来た。
  私達の前には、陛下と側室のエリーアンヌ様とロイアン殿下が座っている。

  横にはマードック侯爵様と侯爵夫人が座っている。
  今挨拶が終わった所だ。

「この度は息子を助けて下さり誠にありがとうございます」

「いえ、陛下頭を下げないで下さい」

  お父様は緊張しているようだ。
  そんなやり取りがしばらく続き、お礼に今レイラール領で力を入れている事業を王都で宣伝して下さる事となった。

「ありがとうございます」

「よいよい。それで、アネモネ嬢と息子なのだがのお。是非とも婚約をと思っているのだが」

「いえ、娘はロイアン殿下と釣り合うように育っていませんので、ご迷惑をお掛けすると思います」

「いや、そんな事はない。ロイアンもアネモネ嬢の事を気に入っておってのお」

「ですが、娘には……」

  陛下とお父様の話し合いは、しばらく続いた……。

「レイラール伯爵。アネモネ嬢と結婚させて下さい」

「ですが、娘はまだ子どもでして……ついこの間歩いたと思ったら、木登りをしたり……私にとってはかわいい娘なのです」

  お父様はとうとう泣き出した。
  お母様はお父様を白い目で見ていた。

「レイラール伯爵。分かるぞ。私もマドンナリリーの時に泣いたからのお。カサブランカの婚約が決まった時にも泣きそうになったわ」

  カサブランカ様はロイアン殿下のお姉様で第二王女殿下だ。

「陛下……ありがとうございます」

「よいよい。ロイアンにアネモネ嬢を預けてはくれないだろうか?」

「はい。ふつつかな娘ですが、よろしくお願いいたします」

「こちらこそよろしくお願いいたします」

  私の意見は全く聞かれる事が無く。このまま話しが進み。
  ロイアン殿下が侯爵家と養子縁組をしてから、私達の婚約を整える事となった。
  何故かお父様は、帰り際に陛下とお酒を飲む約束をしていた。

  王宮ではロイアン殿下と言葉を交わす事は無く、本当にロイアン殿下と結婚をするのか不安になった。

  それからしばらくロイアン殿下は、マードック領に行きほうれん草祭の準備など忙しく過ごしていたようだ。

  マードック領のほうれん草祭も終わり、養子縁組も済ませ、ロイアン殿下はロイアン・マードックとなった。
  そして……私と婚約をした。

  ロイアン様との婚約に私の意思は全く無く……もんもんとした日々を過ごしていた。

  数日おきにやり取りをしている手紙は、婚約者同士の甘いやり取りは無く、日記のようにロイアン様が忙しく過ごしている事が書かれていた。

  私達は一年後には結婚をするらしい。もはや、自分の事なのに他人事ね。
  侯爵夫人は優しい方で、侯爵家の事は結婚をしてから、少しずつでいいと言われた。
  マードック侯爵家のお茶会などに参加をし、侯爵夫人とは良い関係が続いている。

  私のモヤモヤは日に日に膨らんでいったので、私はアリスに相談をする事にした。

  そう言えば、アリスは王都のほうれん草祭の後にオーウェン様と婚約をした。
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