6 / 42
6
しおりを挟む
今日はたくさん走って疲れたのか、夕食を食べるとロンはすぐに眠ってしまった。
私は眠くなかったので読書をしていた。
「チュー」
ロンが起きたようだ。寝起きのロンは、寝床から出て窓際に走って行った。
「ロンは元気ねー」
窓際に行ったロンは私の方を向いた。
「チュー、チュー!」
「外が見たいの?」
「チュー」
私がカーテンを開けると、ロンが月明かりに照らされた。
「チュー!」
すると、ロンの身体がうっすら輝き、ロンの身体がどんどん大きくなっていく。
「えっ……」
私は目を見開いた。目の前に立っていたのはロイアン殿下だったからだ。
「えっ、どういう事?」
「あー、やっと戻れた。けれどすぐにネズミに戻ってしまうから、頼むキスをしてくれ」
「はっ?」
「だから、真実の愛のキスだよ。俺にしてくれ」
「えっ、嫌です。無理です」
「なんでだ?」
「説明してもらえませんか?」
ロイアン殿下は少し考えた様子をしてから返事をした。
「すまない。久しぶりに人間の姿になったから慌ててしまったみたいだ」
「最初から話そう。まず俺は数ヶ月前に興味本位で森の魔女に会いに行ったんだ」
「はい」
「そして、森で迷子になり一人森をさ迷った。何故か近くに居た側近達が急に見えなくなったんだ。しかし、俺は魔女に会う事が出来た」
「おお!」
「そして魔女は俺の願いを叶えてくれると言った。けれど、特に叶えて欲しい願いも無かったので、俺は言ったんだ」
王子様ならなんでも手に入りそうですものね。
「特にない。それより、魔女と言うからもっと美人なのかと思った。っと……」
「はっ?」
「そうしたら、魔女が怒り出してなー。ははは。ネズミにされてしまったよ」
ロイアン殿下はあほうなのだろうか?
全然笑えないから!
「大変でしたね……」
「そうなんだよ。それでな。魔女が言うには、真実の愛のキスで人間に戻れると言っていた」
「そんな、おとぎ話じゃないんですから」
「けど、魔法を掛けた本人が言っていたんだぞ。あと、満月の日の月明かりを浴びると、日の出までの間は人間の姿に戻れると言っていた」
「ああ、それで今は人間の姿なのですね」
「分かってくれたか」
「ええ、まあ」
「よし、キスをしよう!」
「いやいや、ちょっと待って下さい」
私がそう言うとロイアン殿下は不満そうな顔をした。
ファーストキスなのよ。好きな人としたいわ。
何でもいいから理由をつけて断りましょう。
「なんでだ」
「私がロイアン殿下にキスをしても戻れないと思います」
「何故だ」
「私はロイアン殿下を愛していないからです」
「あんなに可愛がってくれていたではないか!」
「それは、ペットとしてです。私が好きなのは、ロンでしてロイアン殿下ではありません」
「では、俺を愛せ。今から愛を語り合おう」
この人気持ち悪いなー。
あっ、人間に戻りたくて必死なのか。
「愛せと言われましても……」
私は眠くなかったので読書をしていた。
「チュー」
ロンが起きたようだ。寝起きのロンは、寝床から出て窓際に走って行った。
「ロンは元気ねー」
窓際に行ったロンは私の方を向いた。
「チュー、チュー!」
「外が見たいの?」
「チュー」
私がカーテンを開けると、ロンが月明かりに照らされた。
「チュー!」
すると、ロンの身体がうっすら輝き、ロンの身体がどんどん大きくなっていく。
「えっ……」
私は目を見開いた。目の前に立っていたのはロイアン殿下だったからだ。
「えっ、どういう事?」
「あー、やっと戻れた。けれどすぐにネズミに戻ってしまうから、頼むキスをしてくれ」
「はっ?」
「だから、真実の愛のキスだよ。俺にしてくれ」
「えっ、嫌です。無理です」
「なんでだ?」
「説明してもらえませんか?」
ロイアン殿下は少し考えた様子をしてから返事をした。
「すまない。久しぶりに人間の姿になったから慌ててしまったみたいだ」
「最初から話そう。まず俺は数ヶ月前に興味本位で森の魔女に会いに行ったんだ」
「はい」
「そして、森で迷子になり一人森をさ迷った。何故か近くに居た側近達が急に見えなくなったんだ。しかし、俺は魔女に会う事が出来た」
「おお!」
「そして魔女は俺の願いを叶えてくれると言った。けれど、特に叶えて欲しい願いも無かったので、俺は言ったんだ」
王子様ならなんでも手に入りそうですものね。
「特にない。それより、魔女と言うからもっと美人なのかと思った。っと……」
「はっ?」
「そうしたら、魔女が怒り出してなー。ははは。ネズミにされてしまったよ」
ロイアン殿下はあほうなのだろうか?
全然笑えないから!
「大変でしたね……」
「そうなんだよ。それでな。魔女が言うには、真実の愛のキスで人間に戻れると言っていた」
「そんな、おとぎ話じゃないんですから」
「けど、魔法を掛けた本人が言っていたんだぞ。あと、満月の日の月明かりを浴びると、日の出までの間は人間の姿に戻れると言っていた」
「ああ、それで今は人間の姿なのですね」
「分かってくれたか」
「ええ、まあ」
「よし、キスをしよう!」
「いやいや、ちょっと待って下さい」
私がそう言うとロイアン殿下は不満そうな顔をした。
ファーストキスなのよ。好きな人としたいわ。
何でもいいから理由をつけて断りましょう。
「なんでだ」
「私がロイアン殿下にキスをしても戻れないと思います」
「何故だ」
「私はロイアン殿下を愛していないからです」
「あんなに可愛がってくれていたではないか!」
「それは、ペットとしてです。私が好きなのは、ロンでしてロイアン殿下ではありません」
「では、俺を愛せ。今から愛を語り合おう」
この人気持ち悪いなー。
あっ、人間に戻りたくて必死なのか。
「愛せと言われましても……」
0
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
【1/21取り下げ予定】悲しみは続いても、また明日会えるから
gacchi
恋愛
愛人が身ごもったからと伯爵家を追い出されたお母様と私マリエル。お母様が幼馴染の辺境伯と再婚することになり、同じ年の弟ギルバードができた。それなりに仲良く暮らしていたけれど、倒れたお母様のために薬草を取りに行き、魔狼に襲われて死んでしまった。目を開けたら、なぜか五歳の侯爵令嬢リディアーヌになっていた。あの時、ギルバードは無事だったのだろうか。心配しながら連絡することもできず、時は流れ十五歳になったリディアーヌは学園に入学することに。そこには変わってしまったギルバードがいた。電子書籍化のため1/21取り下げ予定です。
殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね
さこの
恋愛
恋がしたい。
ウィルフレッド殿下が言った…
それではどうぞ、美しい恋をしてください。
婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました!
話の視点が回毎に変わることがあります。
緩い設定です。二十話程です。
本編+番外編の別視点
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる