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23. 美味しい水

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 森の中にはちらほらと人が居た。
 私は妖精を探す人達を横目にカロリーナさんの家を目指した。

 カロリーナさんの家に着くと、カロリーナさんは直ぐに顔を出してくれた。

「アイリーンちゃんいらっしゃい。呼び出してしまってごめんなさい。どうぞこちらに掛けて」

 私は勧められたいつもの椅子に座る。

「森の中が賑やかになりましたね」

「本当に。静かな所が気に入ってここに住んでいるんだけど…………どうぞ」

 カロリーナさんは透き通った水が入った硝子のコップを私の目の前に置いた。

「ありがとうございます」

 私は一口水を口に含む。

「お味はどう?」

「美味しいです」

 水の感想を聞くなんて…………もしかして、これは高級な水とか?
 よし、次はもっと味わって飲もう。

「美味しいのね。良かった。普通の水と変わらないでしょう?」

 なんだ。普通の水だったのね。

「えっと。美味しかったですよ?」

「ふふ。この水はミルフィーが出したのよ」

「へぇー。ミルフィーが…………えっ、ミルフィーが?」

 私が驚いた顔をするとカロリーナさんはくすくすと笑った。

「そうなの。昨日いきなり水の魔法を使ってね。部屋の中が水浸しで困っちゃったわ。今日はこの事を伝えたくて呼んだの」

「妖精は魔法を使えないのでは?」

「うーん。一昨日まではそうだったんだけどね。それに、エーファとアンリエッタは使えないのよ。何がなんだか私にもさっぱり分からないの」

 カロリーナさんは困った顔をした。

「では、ミミも魔法を使えますか?」

「どうでしょう。試してみる?」

 私達はカロリーナさんの家の裏庭に移動した。
 カロリーナさんは花壇に穴を掘ると種をまいた。

「それは、ひまわりの種ですね」

「そうそう。アンリエッタの好物で唯一我が家にある種なの」

 火の妖精のアンリエッタはひまわりの種を好んで食べるらしい。
 カロリーナさんは種に土を被せるとミルフィーに頼み、水の魔法で土に水を与えた。

「さあ。アイリーンちゃん、ミミ。ここからは二人の出番よ」

 カロリーナさんはにっこりと笑った。
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