アンバランス 〜ビビりですが最強チートを得たのでなんとか異世界生き抜きます〜

とやっき

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3章 魔法学園と暗雲

40 妹とダンジョンのパーティー

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「ミラシャさん、殿方の部屋に入るときは、しっかりノックして返事を待ってから入るのですよ。殿方は何をしているか分かりませんから」

「ねぇホネット、何ってとこ詳しく知りたいですわね」

 ミラシャが蜂娘ホネット蜘蛛娘ラクネアに何か言われているようだ。

 ミラシャにはいきなりドアは開けちゃダメだと、俺からも言っておかないといけない。

 しかし大変なことになったな。

 寝室に幼女を連れ込んだこと(正確には違う)が、みんなに広まってしまった。

 家族会議でメイドたち以外皆が召集され、俺は裁判を受ける被告人の気分だ。

「ご主人様、部屋に連れ込むには幼過ぎると思うんだけどなぁー」

 マシュがジト目で見つめてくる。
 こんなときにも録画は忘れない。

「シンヤさんが幼い女の子が好きなら、私に手を出して下さい! 頑張りますから!」

 料理長のノコラちゃんがやばいことを言い始めた。
 確かにノコラちゃんはまだ小さいが、意味を分かってて言ってるのだろうか?

「マゴタンもいるぞ!」
「あたしも幼女かな~?」
「あたいも!」

 モンスター娘の幼女組、茸娘マゴタン羽妖精娘シルフィー小鬼娘ゴナリンも、俺が小さい子好きだと思ったのか喜び始めた。

 まずいな、このままだと全員からロリコン認定されかねない。
 俺もまだ見た目11歳なんだがな。

「皆、シンヤ様の発言を聞かずして騒ぎ立てるのは不敬だ」
「そうですよ。ご主人様のお考えを聞くべきです」

 良識人なエクルとアリアから助けが入った。
 ようやく弁明の機会が与えられ、みんなの注目が俺に集まる。

 しかし言い訳を考えていないな。
 どう説明すれば良いものか。

「のう、シンヤ様よ。ちょいと耳を貸すんじゃ」

「なんだ?」

 ナルムが手招きしていたので耳をナルムの顔に寄せた。内緒話をしたいようだ。

「設定を考えたんじゃが、わしとシンヤ様は兄妹というのでどうじゃ? 生き別れていたが学園で再会したということにせんか?」

 ナイスアイデアだナルム。

 いきなり神だと言っても信じてもらいづらいだろうし、妹設定でいこう。

「みんな、実は彼女は俺の妹なんだ。数年前生き別れてしまったが、学園で偶然再会してな。今日は皆に紹介するために連れて来たんだが、妹は人見知りで心の準備が出来てなかったんだ。みんな、妹に優しくしてくれな」

「妹のナルムじゃ。よろしく頼む」

 口調に子供っぽさは無いが、見た目だけは幼いから信じてもらえるはず。

 俺の後ろに隠れながら、ひょこっと顔を出しつつナルムが挨拶した。

 どうやら俺が言った人見知り設定に合わせてくれているようだ。優秀だな。

「ご主人様の妹君でしたか。皆さん、一人ずつ挨拶しましょう」

 アリアの一言で、グランたちやモンスター娘たちの自己紹介が始まった。
 ナルムもみんなと一言ひとこと二言ふたこと会話していて、少しは打ち解けたようだ。

「そうなんじゃ、兄様は優しくて素敵なひとなんじゃ」

 会話をちょっと聞いてみたら、サラッと兄様呼びになっていた。

 学園でも一緒の家で住むことになるだろうから、妹設定は正解だったな。


「じゃあまた休みの日に帰って来るよ。アリアの件はそのときにな」

「「「 行ってらっしゃいませ~ 」」」

 皆との別れの挨拶も済ませ、学園に戻り、今日は寮に帰った。

 寮から出る手続きと学園内のナルムの家に引っ越しする準備もこれからしないとな。

 あとナルムが転移魔法陣をもっと効率化してくれて、魔石4分の1程度の魔素で往復できるようにしてくれた。
 流石は魔法神、専門家は違うなぁ。


「ボクはヴィオレ、お義姉ねえちゃんって呼んでも良いからね」

わたくしはルミリーです。お義姉ねえさんでも大丈夫ですよ」

「ユノアです。よろしくね」

「アダデンだ。我が友シンヤの妹君が、ナルメライア様の依代と噂される天才魔法使い、ナルム殿であったとはな。我が友同様、仲良くしようではないか」

 次の日同級生のヴィオレ、ルミリー、ユノア、アダデンにナルムを妹と紹介しておいた。

 ナルムは学園では結構有名人らしい。
 一緒に行動してあまり目立ちたくないのだが、こればっかりは仕方ない。

 ちなみにルミリーはいつも休み時間や授業前にBクラスに来て、俺たちに混ざって談笑している。
 もうすっかり馴染んでしまったな。

「そろそろ朝礼始めっから違うクラスの奴は帰った帰った」

 ピャニラ先生が入室し、ルミリーはAクラスに戻り、みんなは席に座った。
 ナルムは俺の隣にちゃっかり座っている。

 Sクラスは毎日の朝礼とかも無いみたいだ。
 たまに決まった日には集まらないといけないが、後は授業に出るも出ないも自由らしい。

 ピャニラ先生がチラッとナルムを見るが、Bクラスにいても怒ったり何か言ったりすることは無い。
 Sクラス、やはり優遇されてるんだな。

 ちなみに席は結構余っているし自由席なので問題ない。

「よし、連絡は一つだ。来週から一年のダンジョン実習が始まる。パーティー人数は4~6人。オレのクラスはAクラスと合同でやっから、規定人数集めとけ。パーティーを組めなかった奴はダンジョン実習の参加資格がないから気を付けろ。まあSクラスは一人でも入れっけどな」

 チラッとピャニラ先生がナルムを見ていた。

 そう、実はこの学園内にダンジョンが存在している。

 ダンジョンというのは、モンスターの住処だ。

 階層で分かれ、奥に行くたびに敵が強くなる性質を持ち、冒険者たちが素材を集めたり鍛錬したりするためによく潜るところ。

 この学園アカデメイアは、ダンジョンがある場所を囲みながら作られている特殊な学園だ。

 学園ではダンジョン攻略の成績を、試験の成績に上乗せする制度がある。

 つまりダンジョンに深く潜れたら、それだけ上のクラスになれる可能性が高くなる。

 しかしダンジョンは上層ならマシだが、深く潜るだけ危険度が増す。
 そう、死ぬ可能性だってあるのだ。

 ゆえに自分の実力やパーティーのバランスをしっかり考えつつ、ダンジョンアタックしなければならない。

 一応危なくなった時用に救難信号を出せる魔道具が貰えるみたいだが、それでも毎年調子に乗った学生が帰らぬ人となっているらしい。

 そもそもダンジョン攻略はやらなくても良い。
 成績に上乗せされるだけだし、死ぬのが怖ければ入らなければ良いのだ。

 だから俺は、ダンジョンに入らず試験でBクラスをキープしようと考えている。


「シンヤ君、一緒にパーティー組もう!」
「あの、私もお願いして良いかな?」
「我が友シンヤよ。共に力を合わせてダンジョンを踏破しようではないか!」
「兄様がダンジョンに潜るなら、わしも手伝うのじゃ」

 しまった、こんなところで友人を作った弊害が出た。

 みんなダンジョンに興味津々で、目をキラキラと輝かせている。
 実に断りづらい空気だ。

「シンヤ様、ダンジョンの話耳にされましたか? 是非私もパーティーに加えて頂きたく存じます!」

 Aクラスからルミリーまでやってきた。

 パーティーはギリギリ6人まで大丈夫らしいし、ルミリーも合わせてちょうど6人。

 何かご都合主義が過ぎるぞ。
 まるで用意されていたかのようだ。

「分かった、みんなでパーティーを組もう。ただし絶対に無理はしないし、ちょっとでも怪我したら帰るくらいの安全マージンで行くぞ」

 断れなさそうだったので、ダンジョンに潜ることが決まってしまった。

 確かにダンジョン自体に興味はあるが、あんまり良い成績は出したくないんだよな。

 ナルムに手加減するよう言っておかないといけない。

 後のみんなはそれほど強く無いだろうし、ナルムと俺さえ本気を出さなければ何とかなるだろう。

 こうしてダンジョンに潜る為の6人パーティーが結成され、後からパーティーリーダーを押し付けられてしまうシンヤであった。



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