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2章 モンスターテイムと奴隷たち

間話3 モンスターと育成係 (ミュマ視点)

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(犬人族の赤髪の奴隷、ミュマ視点)


 私はミュマ。

 主様あるじさまから大切なお仕事をいただいた、運の良い獣人奴隷だ。


 私の主様あるじさまは変てこなお方だ。

 とっても強いのに、その強さを隠そうとする。
 目立ちたく無いと言って、よく影が薄くなるスキルを使っていて、周りの人に気付かれないように過ごしている。

 私は犬人族なので、嗅覚きゅうかくが優れているから主様が分かる。
 主様の匂いはなんだか落ち着く。

 とっても強いなら、力で何でもねじ伏せてしまえば良いと思うけど、主様はそうはしない。

 優しくて、きっと人を傷つけることができない人なんだろう。

 奴隷である私たちにも、あり得ない扱いをしてくる。

 あっ、違うんです。
 酷い意味ではなくて、良い意味なんです。

 私は奴隷になったからには覚悟ができていた。

 私はあんまり胸も大きくないし、お尻も小さい。
 他の人には「顔だけはまだ可愛い方だけど、獣人だし他もねぇ」と言われてきた。

 でも女性奴隷が買われたら、されることは大体分かっていた。

 一部には獣人が好きという人族もいるみたいだから、買われないことも無いだろうと言われていた。

 でも結局、アリアさんと私は売れ残ってしまった。
 売れなかったときに「王都ならすぐにでも売れたんだが」と奴隷商の方も言っていた。

 私の場合は、中途半端に高いレベルと顔だけは良かったから、つけられた値段の高さと獣人という種族のせいで売れなかった。

 強い人が欲しいならちゃん高レベルの奴隷を買えば良い。
 愛玩用ならもっとスタイルが良くて獣人でもなく、可愛い子を買えば良い。

 結局、私は中途半端な子だった。

 アリアさんは私みたいにレベルが中途半端なのもあるけど、とても気が強い性格のせいで売れなかったみたいだ。

 アリアさんは主様の前では、かなり猫を被っている。
 商会ではキビキビ働いていたし、凄く仕事もできるしっかり者だ。

 そんなアリアさんだが何故か主様の前では、借りてきた猫のように大人しくなる。

 主様がお強い人だから、尊敬しているんだろうか?
 それとも主様に特別な感情を抱いているんだろうか?

 アリアさんのことは分からないが、私はもちろん尊敬している。
 好きとかは、まだ分からないけど。

 ただ、売れ残ったおかげで主様に出会えたのだから私は運が良い。

 主様は奴隷に酷い扱いはせず、まだ主様自身が幼いこともあり、体を要求してくることもなかった。

 だけに収まらず、なんと奴隷に休みやお給料まで用意する。

 本当に変てこな主様。
 でも、世界に一人だけの最高の主様だ。


 私の仕事は、そんな主様が大切にしているモンスターたちのお世話と育成。

 私一人では力不足だから、主様とっておきのモンスターたちがお手伝いしてくれている。

 この仕事にも慣れてきて、自分なりのルーティンができてきた。

 まずは預かっている子たちを庭に集合させる。
 おはようの挨拶と、みんなの健康チェックだ。

 パピヨンのシルフィー。
 蝶の魔物で、とっても羽が綺麗な子だ。
 主様の周りを飛ぶのが好きで、よくヒラヒラ舞っている。

 エビルプラントのユグルン。
 植物の魔物で、蔦を自在に操ることができ、かなり強い。
 光もしっかり浴びて元気いっぱい。水をあげると喜んでくれているように思えた。

 ポイズンマッシュのチェルン。
 毒茸の魔物で、麻痺胞子だけでなく毒の胞子も使える。
 先輩モンスターのマゴタン曰く「マゴタンの弟子だぞ!」と語っていた。

 アントのマリアンナ。
 蟻の魔物で、主様に懐いている。
 働き者で主戦力だ。酸攻撃と顎の強さが凄い。

 スパイダーのラクネア。
 蜘蛛の魔物で、主様に懐きすぎている。
 糸で縛り上げることが得意で、サポートが上手だ。

 メスゴブリンのゴナリン。
 ゴブリンの雌個体で、武器や道具を扱うのが得意。
 主様から武器を貰ったときは、飛び跳ねて喜んでいた。

 ゾンビーナのトワイナ。
 ゾンビの雌個体で、不死者の森で主様がテイムした。
 ゾンビだけどちゃんとお風呂に入れさせているので臭くはない。

 スケルトンのデモリス。
 骨の魔物で、あまり力は無いが再生力が高い。
 剣と盾の戦士スタイルで戦う特攻隊だ。

 チキンのハピュア。
 鳥の魔物で、戦闘能力はほぼ無いが逃げ足は速い。
 主様は逃げるからテイムに苦労したと言っていた。

 モンスネークのピュネー。
 蛇の魔物で、毒や胃酸が強い。
 よく主様の首に巻き付いていて、マフラーになっている。

 モンスタービーのホネット。
 蜂の魔物で、毒針やスピードでの翻弄が強力。
 主様の魔素で甘くて美味しい蜂蜜を作ってくれていて、奴隷たちのご馳走だ。


 よし、みんなの体調も良さそうだ。

 主様から、なるべく弱い魔物から優先的にレベル上げをして進化させたい、という意見を聞いている。
 上手く調整しながら頑張ろう。

「みんな、行きますよ」

 主様の大切なモンスターたちを守りながら、みんなで経験値を稼いでいく。

 今の仕事にやりがいと生きがいを感じながら、私は今日も主様の為に働くのだった。



◇後書き
 モンスターたちがどんどん増えていきますね。
 ミュマが紹介している中で、説明文に「主様」という単語が出てくるモンスターは進化すると……。これ以上はご想像にお任せ致します。
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