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結婚生活はじめます①
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ふうーと息を吐いてエアリスはベッドの端に座って脱力した。
魔界に来てからの日々は嵐のように目まぐるしいものだった。
(ほんっとに死ぬかと思った)
ライオネスから話を聞いたところ、彼とキスをすれば一日は人間界に留まることができるらしく、これからも今まで通りに仕事は続けることにした。
そしてライオネスと結婚することになった翌日には、ライオネスがエアリスの屋敷に来て求婚し、父親にすぐにでも結婚させてほしいと頼んだ。
エアリスの父親は戸惑いつつも、先日の婚約破棄のことでエアリスの行く末を案じていたため快諾してくれた。
「愛するアイリスと1秒も離れたくはないのです」と切羽詰まったように言うライオネスの姿は迫真の演技だったと思う。
それ故エアリスは直ぐに実家を出て魔界で暮らすことが出来た。
こうして婚約をしたわけだが、突然の2人の婚約に周囲は度肝を抜かれた。
それはそうだ。
先日まで自分を嫌厭していたライオネスと、それが嫌で苦手意識丸出しのエアリスがどうして結婚すると思うだろうか。
一方で、魔界では人間界よりも先んじて結婚と言うことになり、結婚披露宴の準備に追われた。人間界での仕事(残業込み)+結婚準備と魔界での慣れない生活でエアリスは過労死するのではと本気で思ったものだ。
そんなこんなで慌ただしく準備を行い、魔界においては本日結婚と相なったのだった。
ただここで問題が起きた。
(本気で初夜をするのかしら?)
現在エアリスは使用人である吸血鬼のマリーナによって念入りに洗われた挙句にスケスケのシュミーズを着させられてベッドの端に座っている。
事情があって結婚することになったが結婚は結婚だ。
だから初夜をするのは当然ではあるが、果たして責任を取って結婚しているに過ぎないエアリスをライオネスが抱くのかは不明ではある。
(まぁ流れに身を任せるしかないわよねぇ)
そう思っているとドアがガチャリと開き、ガウンを羽織ったライオネスが部屋へと入って来た。
お風呂上りのせいで少し濡れた前髪に開けた胸元から見える引き締まった体から壮絶な色気を感じて、思わずエアリスの心臓が跳ねた。
「待たせたか」
「い、いいえ」
「今日は疲れたのではないか?」
「まぁ、色々ありましたから。でも無事に結婚式が済んで良かったです」
「次は人間界の方だな」
「ですね」
また同じ慌ただしさを繰り返すかと思うと少しばかりげんなりしてしまう。
そんな何気ない会話をしていると、ふと会話が途切れた。
蝋燭の炎が揺らめくと共に、2人の影も揺れる。
「エアリス」
「は、はい」
ライオネスを見れば熱を帯びた瞳がエアリスの唇へと注がれ、その柔らかな唇をライオネスの長い指が撫でた。
ゆっくりと角度を変えながらライオネスの顔が迫る。
視線の先にライオネスの長い睫毛があり、その吐息さえ感じるほど近づいた。
エアリスの心臓は高速で動き、体中に血液と緊張を掛け巡らせた。
だが、ピタリとライオネスが動きを止めた。
「すまん、無理だ」
「え?」
ライオネスはそのまま逃げるように部屋を出て行ってしまった。
一人部屋に残されたエアリスは深いため息をついた。
「まぁ当然よね。ライオネス様は私のことを嫌ってらっしゃったものね…」
やはり自分を嫌いなライオネスがエアリスを抱くには無理があったのだ。
土壇場で無理と言われたことは少々ショックではあるが、恋愛感情の無い相手に抱かれることにエアリスも抵抗があるのでお互い様だろう。
「ふわぁ…眠い。もう寝ましょ」
今日まで色々あって疲れたし、初夜も無くなったのだ。
エアリスはベッドに横たわるとすぐに眠りに落ちて行った。
魔界に来てからの日々は嵐のように目まぐるしいものだった。
(ほんっとに死ぬかと思った)
ライオネスから話を聞いたところ、彼とキスをすれば一日は人間界に留まることができるらしく、これからも今まで通りに仕事は続けることにした。
そしてライオネスと結婚することになった翌日には、ライオネスがエアリスの屋敷に来て求婚し、父親にすぐにでも結婚させてほしいと頼んだ。
エアリスの父親は戸惑いつつも、先日の婚約破棄のことでエアリスの行く末を案じていたため快諾してくれた。
「愛するアイリスと1秒も離れたくはないのです」と切羽詰まったように言うライオネスの姿は迫真の演技だったと思う。
それ故エアリスは直ぐに実家を出て魔界で暮らすことが出来た。
こうして婚約をしたわけだが、突然の2人の婚約に周囲は度肝を抜かれた。
それはそうだ。
先日まで自分を嫌厭していたライオネスと、それが嫌で苦手意識丸出しのエアリスがどうして結婚すると思うだろうか。
一方で、魔界では人間界よりも先んじて結婚と言うことになり、結婚披露宴の準備に追われた。人間界での仕事(残業込み)+結婚準備と魔界での慣れない生活でエアリスは過労死するのではと本気で思ったものだ。
そんなこんなで慌ただしく準備を行い、魔界においては本日結婚と相なったのだった。
ただここで問題が起きた。
(本気で初夜をするのかしら?)
現在エアリスは使用人である吸血鬼のマリーナによって念入りに洗われた挙句にスケスケのシュミーズを着させられてベッドの端に座っている。
事情があって結婚することになったが結婚は結婚だ。
だから初夜をするのは当然ではあるが、果たして責任を取って結婚しているに過ぎないエアリスをライオネスが抱くのかは不明ではある。
(まぁ流れに身を任せるしかないわよねぇ)
そう思っているとドアがガチャリと開き、ガウンを羽織ったライオネスが部屋へと入って来た。
お風呂上りのせいで少し濡れた前髪に開けた胸元から見える引き締まった体から壮絶な色気を感じて、思わずエアリスの心臓が跳ねた。
「待たせたか」
「い、いいえ」
「今日は疲れたのではないか?」
「まぁ、色々ありましたから。でも無事に結婚式が済んで良かったです」
「次は人間界の方だな」
「ですね」
また同じ慌ただしさを繰り返すかと思うと少しばかりげんなりしてしまう。
そんな何気ない会話をしていると、ふと会話が途切れた。
蝋燭の炎が揺らめくと共に、2人の影も揺れる。
「エアリス」
「は、はい」
ライオネスを見れば熱を帯びた瞳がエアリスの唇へと注がれ、その柔らかな唇をライオネスの長い指が撫でた。
ゆっくりと角度を変えながらライオネスの顔が迫る。
視線の先にライオネスの長い睫毛があり、その吐息さえ感じるほど近づいた。
エアリスの心臓は高速で動き、体中に血液と緊張を掛け巡らせた。
だが、ピタリとライオネスが動きを止めた。
「すまん、無理だ」
「え?」
ライオネスはそのまま逃げるように部屋を出て行ってしまった。
一人部屋に残されたエアリスは深いため息をついた。
「まぁ当然よね。ライオネス様は私のことを嫌ってらっしゃったものね…」
やはり自分を嫌いなライオネスがエアリスを抱くには無理があったのだ。
土壇場で無理と言われたことは少々ショックではあるが、恋愛感情の無い相手に抱かれることにエアリスも抵抗があるのでお互い様だろう。
「ふわぁ…眠い。もう寝ましょ」
今日まで色々あって疲れたし、初夜も無くなったのだ。
エアリスはベッドに横たわるとすぐに眠りに落ちて行った。
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