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・ルシアンの依頼②
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するとルシアンは真剣な面持ちで口を開いた。
「ならさ、実は……あんたに頼みがあるんだ」
「はぁ」
そこでルシアンは言葉を区切り、もう一度だけ紅茶を口にする。
(なんとなく嫌な予感がするわ……)
リディの鋭い第六感がそれを告げている。
だが聞かないわけにもいかず、リディはルシアンの言葉の先を促した。
「はい。なんでしょうか?」
「婚約してくれないか?」
ルシアンの言葉を聞いて、リディの思考が一瞬止まった。
(こんやく? こんにゃく? ん? 婚約……婚約!?)
優に五秒ほど思考が停止し、導き出された単語にリディは思わず立ち上がったため、その反動で黒縁眼鏡がずり落ちてしまった。
そして半分叫ぶようにルシアンに言った。
「意味分からないんですけど!? 婚約? え? どういうことですか!?」
「いや、婚約といっても偽装だ」
「偽装、ですか?」
更に状況が分からない。
だが何やら事情が色々とありそうだ。
(とりあえず、落ち着こう、私)
何とか平静を保とうとして、リディは一度深呼吸した後、ずり落ちた大きな黒縁眼鏡を直しながら席に座り直した。
ルシアンはというと、深い息を吐いて言葉を続けた。
「いきなりこんなこと言っても驚くよな」
「まぁそうですね。どうしてそうなるのか説明いただきたいんですけど」
「だよな。そうだな……端的に言うと婚約するように国王に命令された」
「はぁ、王命ですか?」
「あんた、王子知ってるか?」
「えっ?」
話の流れが分からないが、突然王子の話題が出て、リディは驚きながらも自分の知っていることを話した。
「えっと、彼も攻略対象ですよね。ルイス・ヴァンドール様だったかと」
「そうだ。で、その性格なんだけどさ……ゲームだとどんなんだ?」
「うーん、確か理知的で高潔なTHE・王子ってキャラですよね」
キラキラ王子様キャラであるルイス王子は、自らを律し正しく生きようとする真っすぐな性格である。
人当たりも良く皆に優しい。太陽のように明るく朗らかな存在だが、その一方で王子としての苦悩も持っているキャラで、そのギャップが好きだというプレイヤーが多かった。
「あぁ、だがこの世界では……バカなんだ」
「バカ?」
「人に仕事を押し付けて遊びまわる。自由気ままで目先の楽しいことしかしないし、嫌なことは全くしない。ゆえに学生時代から勉強もしないし政務も逃げる。よって馬鹿になった」
「はぁ」
キャラ設定とだいぶ違うことは分かった。
シャルロッテの性格を見ても分かるようにゲーム「セレントキス」とはキャラの性格は違うのだろう。
だがそれと偽装婚約がどう関係するか分からず、リディは戸惑いながら一応相槌を打った。
「俺はバークレー侯爵で奴の補佐官みたいな役なんだよ。それでそのバカのお守りをする役目でさ」
「はい」
「そのバカを支えるために『ルイスを支えるためにはお前の力が必要だ。だがお前にも支えが必要だ。だからソファアナと婚約したらどうか』って国王に言われたわけだ」
ソフィアナの名前も聞いたことがあるが、それを尋ねる前にルシアンは話を続けたので、リディは大人しくそれを聞いた。
「だけど俺は心に決めた人がいる」
「あ……今お探しの人ですよね」
「だから『心に決めた女性がいるから婚約はできない』って断ったら『ならその女性と婚約しろ。今月末には婚約発表しろ。王命だ』って言われて……」
「それで事情を知ってる私に偽装婚約を依頼してきたわけですね」
「そうなんだ。さすが話が早いな。頼む! 友人の一生の頼みだ!!」
がばりと頭を下げるルシアンを見て、リディはなんと返していいか少しだけ悩んだ。
そして呆れた。
「あのですね、ルシアン様。ご自分が無茶苦茶なことを言っているって自覚あります?」
「分かってる! 重々理解はしてる……でもさ、あんたの占い通りならばすぐに彼女と再会できるんだよな? でもその兆候もないじゃないか」
「う……」
「これって詐欺なんじゃないのか?」
「え、そんなことないですよ!」
だが会えてないのは事実だ。
そこを突かれると痛い。
「あんたは好きな奴も婚約者いないんだろ?」
「まぁそうですけど」
「あんたの望む条件は全て飲む。財産が欲しいなら言い値を渡すし、領地が欲しいならやる」
「うーん」
この条件にはリディの心が少し揺らいだ。
確かにリディは今お金が欲しいし、早く家を出たい。
だからルシアンの申し出はとてもありがたいことだった。
「好きな奴ができたならそいつと付き合っていい。全力で応援するし、あんたがそいつと結婚することになったら婚約破棄でも解消でもいい。だから力を貸してくれ!」
そう言ってルシアンは顔の前で両手を合わせ懇願する。
友人の頼みをバッサリ切ってしまうのも可哀想だ。
リディは少し思案した後、覚悟を決めた。
「分かりました」
「さすが持つべきは前世持ちの親友だ! ありがとう!!」
ということでリディとルシアンは契約を結ぶことになった。
そのために、いくつか前もって契約条件を決めることにした。
一つ:お互い好きな人ができた時点で契約解消
「これはさっき言ったようにあんたに好きなやつができたら婚約解消するから安心しろよ」
「私一人が好きな人ができたら婚約解消するっていうのもフェアじゃないんでいいですよ。ルシアン様が好きな女性が現れたら……例えばお探しの女性に再会できたら解消にしましょう」
リディとしては婚約破棄だろうと解消だろうとどうでもいいのだ。
一度婚約破棄された身としては、貰い手などいないだろうし貴族社会に未練もない。
家を出て静かに暮らせればいいのだ。
一つ:婚約解消後は連絡を取らない
「一応これも入れておいたほうがいいよな」
「そうですね。契約がばれて誰かに弱みを握られる……なんてことになりかねないですし」
お互いこの契約は極秘である。
婚約解消後にもだらだら連絡を取っていたら不審に思う人物も出てくるだろうし、お互いの性格上ありえないが、この契約をしたことをネタに脅すなんてことというリスクも回避できる。
契約終了後も付きまとうなんている面倒なことになっては困る。
ということでお互い縁を切って静かに暮らしましょうということになった。
一つ:契約解消後に占いの店舗を提供すること
「これは譲れません」
「だよな。分かってるって。なんなら俺が家に帰ったらすぐにでも支払う」
これはリディにとって必須条件だ。
この契約を受ける一番のメリットはあの腐った家を出て自立した生活を送るためである。
まずは直ぐに婚約発表の段取りなので、婚約後は家に馴染むためだと言ってリディはラングレン家を出てバークレー家に住むことになった。
契約終了後に占いの店を提供してもらえれば生活はできるだろう。
ということで、現在アレットから借りている店舗を購入してもらうことになった。
一つ:お互いに恋愛感情は抱かない
「あんたは親友だしな。ありえないけどな」
「ふふふ、そうですね。それに私がルシアン様を好きになるなんて烏滸がましいですし」
相手は攻略対象――つまり超絶美形なわけである。
モブであるリディとしてはルシアンと釣り合うわけはないと分かっているし、恐れ多くて恋愛感情など抱けるはずもない。
また逆にルシアンがモブで特段美人でもない自分を好きになるなんてありえない。
それにお互いにどちらかが恋愛感情を持てば色々と面倒だ。
相手を好きになれば相応の気持ちを返して欲しくなる。
そうしたら一方が誰かを好きになった時に、契約解消が出来なくなってしまう。
「じゃあ、そういうことで」
一通りの契約書を作ると、ルシアンが下に署名を書いた。
その後に、リディもサインをする。
「よし、そういうことでよろしくな、相棒!」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
ルシアンが握手を求めてくるのでリディもそれに応じた。
前世持ち同士、元々親近感は持っていたし、これまで共にティータイムを楽しんできた友達である。
それにプラスして〝相棒〟と呼び合う仲になったことをなんとなくリディは嬉しく感じた。
こうしてリディとルシアンの偽装婚約の契約が結ばれたのであった。
「ならさ、実は……あんたに頼みがあるんだ」
「はぁ」
そこでルシアンは言葉を区切り、もう一度だけ紅茶を口にする。
(なんとなく嫌な予感がするわ……)
リディの鋭い第六感がそれを告げている。
だが聞かないわけにもいかず、リディはルシアンの言葉の先を促した。
「はい。なんでしょうか?」
「婚約してくれないか?」
ルシアンの言葉を聞いて、リディの思考が一瞬止まった。
(こんやく? こんにゃく? ん? 婚約……婚約!?)
優に五秒ほど思考が停止し、導き出された単語にリディは思わず立ち上がったため、その反動で黒縁眼鏡がずり落ちてしまった。
そして半分叫ぶようにルシアンに言った。
「意味分からないんですけど!? 婚約? え? どういうことですか!?」
「いや、婚約といっても偽装だ」
「偽装、ですか?」
更に状況が分からない。
だが何やら事情が色々とありそうだ。
(とりあえず、落ち着こう、私)
何とか平静を保とうとして、リディは一度深呼吸した後、ずり落ちた大きな黒縁眼鏡を直しながら席に座り直した。
ルシアンはというと、深い息を吐いて言葉を続けた。
「いきなりこんなこと言っても驚くよな」
「まぁそうですね。どうしてそうなるのか説明いただきたいんですけど」
「だよな。そうだな……端的に言うと婚約するように国王に命令された」
「はぁ、王命ですか?」
「あんた、王子知ってるか?」
「えっ?」
話の流れが分からないが、突然王子の話題が出て、リディは驚きながらも自分の知っていることを話した。
「えっと、彼も攻略対象ですよね。ルイス・ヴァンドール様だったかと」
「そうだ。で、その性格なんだけどさ……ゲームだとどんなんだ?」
「うーん、確か理知的で高潔なTHE・王子ってキャラですよね」
キラキラ王子様キャラであるルイス王子は、自らを律し正しく生きようとする真っすぐな性格である。
人当たりも良く皆に優しい。太陽のように明るく朗らかな存在だが、その一方で王子としての苦悩も持っているキャラで、そのギャップが好きだというプレイヤーが多かった。
「あぁ、だがこの世界では……バカなんだ」
「バカ?」
「人に仕事を押し付けて遊びまわる。自由気ままで目先の楽しいことしかしないし、嫌なことは全くしない。ゆえに学生時代から勉強もしないし政務も逃げる。よって馬鹿になった」
「はぁ」
キャラ設定とだいぶ違うことは分かった。
シャルロッテの性格を見ても分かるようにゲーム「セレントキス」とはキャラの性格は違うのだろう。
だがそれと偽装婚約がどう関係するか分からず、リディは戸惑いながら一応相槌を打った。
「俺はバークレー侯爵で奴の補佐官みたいな役なんだよ。それでそのバカのお守りをする役目でさ」
「はい」
「そのバカを支えるために『ルイスを支えるためにはお前の力が必要だ。だがお前にも支えが必要だ。だからソファアナと婚約したらどうか』って国王に言われたわけだ」
ソフィアナの名前も聞いたことがあるが、それを尋ねる前にルシアンは話を続けたので、リディは大人しくそれを聞いた。
「だけど俺は心に決めた人がいる」
「あ……今お探しの人ですよね」
「だから『心に決めた女性がいるから婚約はできない』って断ったら『ならその女性と婚約しろ。今月末には婚約発表しろ。王命だ』って言われて……」
「それで事情を知ってる私に偽装婚約を依頼してきたわけですね」
「そうなんだ。さすが話が早いな。頼む! 友人の一生の頼みだ!!」
がばりと頭を下げるルシアンを見て、リディはなんと返していいか少しだけ悩んだ。
そして呆れた。
「あのですね、ルシアン様。ご自分が無茶苦茶なことを言っているって自覚あります?」
「分かってる! 重々理解はしてる……でもさ、あんたの占い通りならばすぐに彼女と再会できるんだよな? でもその兆候もないじゃないか」
「う……」
「これって詐欺なんじゃないのか?」
「え、そんなことないですよ!」
だが会えてないのは事実だ。
そこを突かれると痛い。
「あんたは好きな奴も婚約者いないんだろ?」
「まぁそうですけど」
「あんたの望む条件は全て飲む。財産が欲しいなら言い値を渡すし、領地が欲しいならやる」
「うーん」
この条件にはリディの心が少し揺らいだ。
確かにリディは今お金が欲しいし、早く家を出たい。
だからルシアンの申し出はとてもありがたいことだった。
「好きな奴ができたならそいつと付き合っていい。全力で応援するし、あんたがそいつと結婚することになったら婚約破棄でも解消でもいい。だから力を貸してくれ!」
そう言ってルシアンは顔の前で両手を合わせ懇願する。
友人の頼みをバッサリ切ってしまうのも可哀想だ。
リディは少し思案した後、覚悟を決めた。
「分かりました」
「さすが持つべきは前世持ちの親友だ! ありがとう!!」
ということでリディとルシアンは契約を結ぶことになった。
そのために、いくつか前もって契約条件を決めることにした。
一つ:お互い好きな人ができた時点で契約解消
「これはさっき言ったようにあんたに好きなやつができたら婚約解消するから安心しろよ」
「私一人が好きな人ができたら婚約解消するっていうのもフェアじゃないんでいいですよ。ルシアン様が好きな女性が現れたら……例えばお探しの女性に再会できたら解消にしましょう」
リディとしては婚約破棄だろうと解消だろうとどうでもいいのだ。
一度婚約破棄された身としては、貰い手などいないだろうし貴族社会に未練もない。
家を出て静かに暮らせればいいのだ。
一つ:婚約解消後は連絡を取らない
「一応これも入れておいたほうがいいよな」
「そうですね。契約がばれて誰かに弱みを握られる……なんてことになりかねないですし」
お互いこの契約は極秘である。
婚約解消後にもだらだら連絡を取っていたら不審に思う人物も出てくるだろうし、お互いの性格上ありえないが、この契約をしたことをネタに脅すなんてことというリスクも回避できる。
契約終了後も付きまとうなんている面倒なことになっては困る。
ということでお互い縁を切って静かに暮らしましょうということになった。
一つ:契約解消後に占いの店舗を提供すること
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これはリディにとって必須条件だ。
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まずは直ぐに婚約発表の段取りなので、婚約後は家に馴染むためだと言ってリディはラングレン家を出てバークレー家に住むことになった。
契約終了後に占いの店を提供してもらえれば生活はできるだろう。
ということで、現在アレットから借りている店舗を購入してもらうことになった。
一つ:お互いに恋愛感情は抱かない
「あんたは親友だしな。ありえないけどな」
「ふふふ、そうですね。それに私がルシアン様を好きになるなんて烏滸がましいですし」
相手は攻略対象――つまり超絶美形なわけである。
モブであるリディとしてはルシアンと釣り合うわけはないと分かっているし、恐れ多くて恋愛感情など抱けるはずもない。
また逆にルシアンがモブで特段美人でもない自分を好きになるなんてありえない。
それにお互いにどちらかが恋愛感情を持てば色々と面倒だ。
相手を好きになれば相応の気持ちを返して欲しくなる。
そうしたら一方が誰かを好きになった時に、契約解消が出来なくなってしまう。
「じゃあ、そういうことで」
一通りの契約書を作ると、ルシアンが下に署名を書いた。
その後に、リディもサインをする。
「よし、そういうことでよろしくな、相棒!」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
ルシアンが握手を求めてくるのでリディもそれに応じた。
前世持ち同士、元々親近感は持っていたし、これまで共にティータイムを楽しんできた友達である。
それにプラスして〝相棒〟と呼び合う仲になったことをなんとなくリディは嬉しく感じた。
こうしてリディとルシアンの偽装婚約の契約が結ばれたのであった。
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