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・依頼者の正体②
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そろそろお昼だ。
今日はシャケのおにぎりと唐揚げと、卵焼きのお弁当だ。
もちろん自作である。
サンドイッチなどの洋食も嫌いではないが、時折和食が食べたくなり、自炊することもままある。
リディはお弁当を広げると「いただきます」と言っておにぎりに手を伸ばし、それを一口頬張った。
「ふふふ……いい塩加減だわ!」
ほくほくとした気持ちでもう一口食べようとした時だった。
突然ドアがノックされ、リディは飛び上がった。
何か緊急事態を告げるような音だったので、リディは反射的に返事をしてしまった。
「は、はい! どうぞ!」
「すまない。こちらに帽子を忘れてしまったようだ」
慌てた様子でルシアンが駆け込んできた。
ふと見れば、帽子掛けに帽子がそのまま掛かっている。
それをリディは取ると、ルシアンに差し出した。
「いいえ。こちらですね」
「ああ。食事中でしたか。申し訳ないことをした……おにぎり?」
ルシアンがリディの弁当に目を留めて言った。
今回は確実にこの世界にはない名称を言った。「おにぎり」と。
(もしかして……)
いやいやそんな事あるはずないと思いつつ、リディはその可能性を口にしていた。
と、同時にルシアンも叫んだ。
「「転生者?!」」
※ ※※
かちゃり
室内にティーカップの音が鳴る。
目の前にはアレットから貰ったケーキが置いてある。
りんごのパンケーキはバターの香りがして、紅茶に合いそうではあるが、今のリディは手を付けられない。
それは目の前に座ったルシアンも同じようだ。
一応、気持ちを落ち着かせようとお茶セットをセッティングしたものの、お互い動揺のあまり紅茶を飲むので精一杯だった。
だが、このまま黙っていても仕方ない。
リディは思い切って話を切り出すことにした。
「えーっとですね……ルシアン様も転生者……なんですか?」
「ああ、そうだ。あんたもか?」
「はい。ちなみにこの世界がどう言った世界かは理解されてますか?」
「乙女ゲーム『セレントキス』の世界……だろ? あんたもそれを知っているのか?」
男性のルシアンから「セレントキス」の名前が出るとは思わなかった。
男性に見えるが中身は女性なのだろうか。
それが顔に出たのか、ルシアンはすぐに補足説明をした。
「俺はプレイしてない。妹がハマってた。部屋中にポスターやらアクスタやらの祭壇を作ってたから否が応でも覚える」
「では自分が攻略対象ってことは……」
「もちろん知ってる。妹の推しがルシアンだったからな。あんたは? なんかのキャラか?」
「あー、私はモブですよ」
「モブ? へー、モブも転生者なのか。あ、俺の前世は小鳥遊安里(たかなしあんり)って言う。今は知っての通りルシアン・バークレーだ」
「あ、私は今井望美って言います。モブですけど名前はあるんですよ。今はリディ・ラングレンって言います」
自己紹介をすると、ルシアンが目を見開いて驚いた。
そして身を乗り出すようにしてリディに尋ねてきた。
「ラングレン?! えっ? ヒロインじゃないのか?」
「あぁ、それは義妹です」
「義妹……じゃ、あんたが義妹を止めてくれ!!」
「……もしや先程付き纏われてるって女性は……」
「あぁ、あんたの義妹のシャルロッテ・ラングレンだよ! ……そうか、あのシャルロッテってやつがヒロインなのか」
外見はルシアンだが中身は安里のようで、ざっくばらんな口調に変わっている。
リディも思わず望美の口調で答えていた。
「いやーでも、ルシアン様は攻略対象ですし、ヒロインと結ばれたいと思うのでは?」
「俺はそれが嫌なんだよ!!」
ドンとテーブルを叩いてルシアンは熱弁を始めた。
「まず大体にしてヒロイン……シャルロッテだっけか? キャラデザが好きじゃない」
「はぁ……」
「それから性格だな。なんだあの甘ったるい声は? 媚びるように男に声をかけて、助けてもらうのが当然みたいな態度が嫌いだ。断っても自分が優先されると思い込んでる図々しさも腹が立つ!」
散々な言われようだが事実なので仕方ない。
シャルロッテをフォローする言葉が浮かばないのでリディは黙って聞いていた。
「それに運命が決まってるなんて嫌じゃないか。自分の人生は自分で選びたい」
「そうですね。その通りだと思います。ちなみにこのゲームのシステムは知ってますか?」
「いや、キャラを知っているだけで、どんな内容のゲームかは詳しく分からん」
そこでリディはゲームの説明をした。
それを聞いたルシアンはなるほどと顎に手をかけて状況を整理しているようだった。
「つまりイベントを発生させなければシャルロッテのルシアンルートは潰れるわけだな」
「ちなみにどこまでイベント進んだんですか?」
「そうだな……まずはぶつかってハンカチを落としたのを拾ったな。その後で図書館でたまたま会って、本の話をしたかな。あと暴れ馬から庇うみたいなこともあった」
「うーん……なるほどなるほど」
リディは記憶を辿った。
あれだけやり込んだゲームだ。大体ヒロインの行動は分かっている。
それによると、次回は四回目のイベントになる。
「次のイベントは今日です!」
「え?!」
「確か雨が降って、たまたま軒下で雨宿りをしたヒロインと肩を寄せ合うことで、ドキドキしてお互いを意識する……というイベントです」
「でも雨は降らなそうだぜ?」
確かに快晴ではあるが、天気の妖精ユッカが言ったのだから間違いない。
「絶対に降ります。あ、傘持ってるのでこれを使ってください。そうすれば雨宿りもしなくて済みますし。それとイベントが起こるのは登城で通る公園近くのお店なんで、そこは念のため迂回してください」
「分かった。信じるからな」
「はい。タロットカードに出ていましたし。大丈夫です! きっと運命が変わってルシアン様の好きな方と結婚できます!」
「そうだったな。それに確か秘密を共有する女の協力で解決するんだったな。それはあんたかもしれない。信じてみる」
「そう言われてみれば。そうかもしれませんね。頑張ってください!」
「ああ!」
リディの言葉に勇気づけられたようで、ルシアンは「よしっ!」と言って気合を入れると、また優雅に去っていった。
(はぁ……それにしても攻略対象が転生者だなんて。意外な展開になったわね)
これで運命が変えられるかは本人の努力次第だ。
運命は人の選択によって日々変わっていく。
シャルロッテの毒牙から逃れられるよう、リディはルシアンの健闘を祈るのであった。
今日はシャケのおにぎりと唐揚げと、卵焼きのお弁当だ。
もちろん自作である。
サンドイッチなどの洋食も嫌いではないが、時折和食が食べたくなり、自炊することもままある。
リディはお弁当を広げると「いただきます」と言っておにぎりに手を伸ばし、それを一口頬張った。
「ふふふ……いい塩加減だわ!」
ほくほくとした気持ちでもう一口食べようとした時だった。
突然ドアがノックされ、リディは飛び上がった。
何か緊急事態を告げるような音だったので、リディは反射的に返事をしてしまった。
「は、はい! どうぞ!」
「すまない。こちらに帽子を忘れてしまったようだ」
慌てた様子でルシアンが駆け込んできた。
ふと見れば、帽子掛けに帽子がそのまま掛かっている。
それをリディは取ると、ルシアンに差し出した。
「いいえ。こちらですね」
「ああ。食事中でしたか。申し訳ないことをした……おにぎり?」
ルシアンがリディの弁当に目を留めて言った。
今回は確実にこの世界にはない名称を言った。「おにぎり」と。
(もしかして……)
いやいやそんな事あるはずないと思いつつ、リディはその可能性を口にしていた。
と、同時にルシアンも叫んだ。
「「転生者?!」」
※ ※※
かちゃり
室内にティーカップの音が鳴る。
目の前にはアレットから貰ったケーキが置いてある。
りんごのパンケーキはバターの香りがして、紅茶に合いそうではあるが、今のリディは手を付けられない。
それは目の前に座ったルシアンも同じようだ。
一応、気持ちを落ち着かせようとお茶セットをセッティングしたものの、お互い動揺のあまり紅茶を飲むので精一杯だった。
だが、このまま黙っていても仕方ない。
リディは思い切って話を切り出すことにした。
「えーっとですね……ルシアン様も転生者……なんですか?」
「ああ、そうだ。あんたもか?」
「はい。ちなみにこの世界がどう言った世界かは理解されてますか?」
「乙女ゲーム『セレントキス』の世界……だろ? あんたもそれを知っているのか?」
男性のルシアンから「セレントキス」の名前が出るとは思わなかった。
男性に見えるが中身は女性なのだろうか。
それが顔に出たのか、ルシアンはすぐに補足説明をした。
「俺はプレイしてない。妹がハマってた。部屋中にポスターやらアクスタやらの祭壇を作ってたから否が応でも覚える」
「では自分が攻略対象ってことは……」
「もちろん知ってる。妹の推しがルシアンだったからな。あんたは? なんかのキャラか?」
「あー、私はモブですよ」
「モブ? へー、モブも転生者なのか。あ、俺の前世は小鳥遊安里(たかなしあんり)って言う。今は知っての通りルシアン・バークレーだ」
「あ、私は今井望美って言います。モブですけど名前はあるんですよ。今はリディ・ラングレンって言います」
自己紹介をすると、ルシアンが目を見開いて驚いた。
そして身を乗り出すようにしてリディに尋ねてきた。
「ラングレン?! えっ? ヒロインじゃないのか?」
「あぁ、それは義妹です」
「義妹……じゃ、あんたが義妹を止めてくれ!!」
「……もしや先程付き纏われてるって女性は……」
「あぁ、あんたの義妹のシャルロッテ・ラングレンだよ! ……そうか、あのシャルロッテってやつがヒロインなのか」
外見はルシアンだが中身は安里のようで、ざっくばらんな口調に変わっている。
リディも思わず望美の口調で答えていた。
「いやーでも、ルシアン様は攻略対象ですし、ヒロインと結ばれたいと思うのでは?」
「俺はそれが嫌なんだよ!!」
ドンとテーブルを叩いてルシアンは熱弁を始めた。
「まず大体にしてヒロイン……シャルロッテだっけか? キャラデザが好きじゃない」
「はぁ……」
「それから性格だな。なんだあの甘ったるい声は? 媚びるように男に声をかけて、助けてもらうのが当然みたいな態度が嫌いだ。断っても自分が優先されると思い込んでる図々しさも腹が立つ!」
散々な言われようだが事実なので仕方ない。
シャルロッテをフォローする言葉が浮かばないのでリディは黙って聞いていた。
「それに運命が決まってるなんて嫌じゃないか。自分の人生は自分で選びたい」
「そうですね。その通りだと思います。ちなみにこのゲームのシステムは知ってますか?」
「いや、キャラを知っているだけで、どんな内容のゲームかは詳しく分からん」
そこでリディはゲームの説明をした。
それを聞いたルシアンはなるほどと顎に手をかけて状況を整理しているようだった。
「つまりイベントを発生させなければシャルロッテのルシアンルートは潰れるわけだな」
「ちなみにどこまでイベント進んだんですか?」
「そうだな……まずはぶつかってハンカチを落としたのを拾ったな。その後で図書館でたまたま会って、本の話をしたかな。あと暴れ馬から庇うみたいなこともあった」
「うーん……なるほどなるほど」
リディは記憶を辿った。
あれだけやり込んだゲームだ。大体ヒロインの行動は分かっている。
それによると、次回は四回目のイベントになる。
「次のイベントは今日です!」
「え?!」
「確か雨が降って、たまたま軒下で雨宿りをしたヒロインと肩を寄せ合うことで、ドキドキしてお互いを意識する……というイベントです」
「でも雨は降らなそうだぜ?」
確かに快晴ではあるが、天気の妖精ユッカが言ったのだから間違いない。
「絶対に降ります。あ、傘持ってるのでこれを使ってください。そうすれば雨宿りもしなくて済みますし。それとイベントが起こるのは登城で通る公園近くのお店なんで、そこは念のため迂回してください」
「分かった。信じるからな」
「はい。タロットカードに出ていましたし。大丈夫です! きっと運命が変わってルシアン様の好きな方と結婚できます!」
「そうだったな。それに確か秘密を共有する女の協力で解決するんだったな。それはあんたかもしれない。信じてみる」
「そう言われてみれば。そうかもしれませんね。頑張ってください!」
「ああ!」
リディの言葉に勇気づけられたようで、ルシアンは「よしっ!」と言って気合を入れると、また優雅に去っていった。
(はぁ……それにしても攻略対象が転生者だなんて。意外な展開になったわね)
これで運命が変えられるかは本人の努力次第だ。
運命は人の選択によって日々変わっていく。
シャルロッテの毒牙から逃れられるよう、リディはルシアンの健闘を祈るのであった。
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