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・そして運命は回りだす②
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「って聞いてます?!」
「あ、ごめんなさい。なんだったかしら?」
完全にシャルロッテの話を聞いてなかった。
目くじらを立てているシャルロッテの後ろから父親のターナーがやってきてのんびりと声をかけてきた。
「どうしたんだい、大きな声を出して」
「お父様! お義姉様が私のことを無視するんです……久しぶりにお見かけして嬉しくて声をかけたのに……」
「なんてことだ、リディ。シャルロッテはいつもお前のことを気にかけてるんだよ」
しおらしく言うシャルロッテの言葉を聞いたターナーは、元々垂れた眉を更に垂らして悲しげに言った。
(……本当、何もわかってないのね)
我が父ながら情けない。
ターナーは優しくて大らかな父親だ。
リディのことを愛してくれ、領地経営も上手く、領民にも慕われるような人間であった。
人の意見を聞き入れる度量もある。
そう思っていたのだが、実は単なるイエスマンだった。
周囲の言葉に流され、自分で考えることもしない。
そのことを痛感したのは五年前に母が亡くなった時だった。
母一筋だと思っていた父は、すぐに後妻として今の母を迎えた。
と、同時に自分と年の変わらないシャルロッテも家族に迎えたのだ。
つまりリディが生まれた時と同じ時期に不倫して、子供まで作っていたのだ。
尊敬していた父だけにショックだった。
継母ラミネは家の実権を握り、意に沿わない使用人や執事を解雇し、自分に都合のよい人間を登用した。
それを止めることもなく、ターナーはただうんうんと受け入れた。
ラミネの言いなりになり、お金の管理も任せた結果、ラミネとシャルロッテの散財で、我が家の家計は火の車となった。
贅沢三昧で散財を繰り返す義母と義妹をリディも止めることができなかった。
前世の記憶を取り戻す前のリディは気の弱い人間であり、意見する勇気がなかったからだ。
気の弱いリディをあざ笑いながら、ラミネとシャルロッテは苛め抜いた。
二人のいじめにも耐え忍ぶ……そんな少女だったが、前世を思い出した途端、中身が望美になった。
つまり、二十一世紀の女子高生であり、勝ち気な性格に変わったのだ。
だから思った。
こんな家捨ててやると。
手に職をつけ、仕事をし、自立した女性になる。
そのためには資金が必要だ。
そこでリディは考えた。
自分の得意を活かした仕事は何かと。
そして現在、その仕事をするために街へ通っている。しかし、バレてしまえばそのお金も没収されてしまう。そのため、リディは仕事をしていることを隠している。
「今日も教会に行くのかい?」
「はい……シスターのお手伝いをしたいので……」
リディは教会の孤児院を手伝いに行くという口実で街に出ているが、ターナーはそれに気づかない。
一応シスターには事情を話して口裏を合わせてもらっているが、そもそもリディに興味のないターナーは教会に問い合わせることもなかった。
「そろそろ行ってまいります。シスターをお待たせしてしまうので」
リディはか細い声でそう返事をした。
突然性格が変われば周囲の人間も驚くだろうし、反抗すれば叩かれる上に食事も抜きにされる。
だからリディは今まで通り、気弱な令嬢を演じているのだ。
それにすら気づいていないターナーはリディに優しく声をかけて送り出した。
「気をつけて行くんだよ」
「はい。では失礼します」
リディはそう言って屋敷を後にした。
※ ※ ※
街中の路地に入ると人通りもまばらだ。
青い空から降り注ぐ日光は建物の上ばかりを照らし、路地は少しだけ薄暗い。
だがリディの仕事としてはありがたい立地である。
リディはというとある一つの建物の階段を上がり、最上階に部屋へと向かった。
そこがリディの店である。
そのドアの鍵を開けようとしたところで家主のアレットが声をかけてきた。
「おおー、リディちゃん。おはよう。今日もお仕事かい?」
アレットは目尻に皺を寄せ、にこやかに言った。
手に箒を持っているところを見ると、廊下の掃除していたのだろう。
「はい、今日もお陰様で予約が入ってるので」
「そうかいそうかい。……それにしても伯爵家のご令嬢の道楽かと思っていたけど、頑張ってるね。伯爵様ならお金なんて腐るほどあるというのに。あぁ……リディちゃんにも事情があるようだしね。深くは聞かないよ」
アレットの心遣いにリディは感謝した。
最初にこの部屋を店舗として借りる時、伯爵家の人間であることで冷やかしと思われ、アレットから貸し渋りされてしまった。
ただ、そこを家賃の前払いや三か月の売り上げ報告義務、その他の諸条件で合意し、貸してもらえることになったのだ。
今ではアレットはリディの良き理解者だ。
「じゃあ、仕事頑張るんだよ。あ、昨日ケーキを焼いたから帰りに持って行っておくれ」
「ありがとう!」
アレットに別れを告げ、リディは自分の店となる部屋のドアを開けた。
建物の外見は古びているが、リディの部屋は白壁に白いレースの天幕があり、家具類も白で統一している。その部屋だけは日当たりが良く、室内は明るい。
リディは室内にラベンダーのアロマを焚き、窓際に塩と水を置いた。
そして黒のウィッグをかぶり、大きな黒縁の眼鏡をかけた。
「綺麗な髪なのに隠しちゃうのはもったいない」などとアレットは言ってくれているが、ウィッグをかぶる理由は二つある。
一つは自分がラングレン伯爵令嬢であることを隠すためだ。
家族にはここで仕事をしていることは秘密だ。バレるわけにはいかない。
ここには顧客として貴族も来ることがある。
だからルートで家族の耳にこのことが入るか分からないため、変装が必要なのだ。
下手をすれば知り合いが来る可能性もある。
万が一の保険として変装をしている。
そしてもう一つ。
こっちが割と重要なのだが、それらしい雰囲気を出すためである。
リディがここで行っている仕事……。それは占いである。
前世である今井望美は先ほども述べたがスピ系女子で、占いが大好きだった。
もちろん趣味のレベルではあったが、これがまた当たると評判だったのだ。
今世でリディが自立すべく手に職をと考えた時、占いを稼業とすることに決めた。
ただ、年端も行かないしかも平凡な若い女性に悩みを打ち明けることに躊躇う人もおり、それっぽい雰囲気を出した方が相手の信用も得やすい。
考えたのが、黒い真っすぐなウィッグを被り、大きい眼鏡をかけていかにも神秘的で普通とは違う人間であることを演出することだった。
占いの的中率も高く、お陰様で口コミで人気が広がっており、現在は予約が絶えない。
それは貴族の耳にも届いているようで、密かな悩みの解決にお忍びでリディの元を訪れる。
ゆえにリディの店は繁盛しているのだ。
「よし、時間だし。お仕事お仕事!」
リディは今日の予約を確認する。
最初の客は男性だ。名前は「ルシアン・バークレー」
(なんとなく聞いたような名前だけど……)
リディの記憶にこの名前が引っ掛かる。
うーんと少し考えていると、コンコンとドアが鳴ったのでリディはそれに答えた。
「はい、どうぞ」
「失礼する」
そう言って帽子を目深にかぶった男性が入ってきた。
群青のコートを羽織り、中は白いスーツだ。
クラバットに留められた宝石はルビーで、その出で立ちだけで貴族と分かる。さらにドアの閉め方一つとっても優雅な仕草から上位貴族であることも察せられた。
男性がゆっくりと帽子を取ると、サラリと絹糸のような髪が露になる。
そしてサファイアのような深い青の双眸をリディに向けた。それを見た瞬間、リディは固まった。
思わず小さく呟いていた。
「嘘……こ、攻略対象……!?」
そこには、乙女ゲーム「セレントキス」の攻略対象の一人であるクールな侯爵キャラが立っていた。
「あ、ごめんなさい。なんだったかしら?」
完全にシャルロッテの話を聞いてなかった。
目くじらを立てているシャルロッテの後ろから父親のターナーがやってきてのんびりと声をかけてきた。
「どうしたんだい、大きな声を出して」
「お父様! お義姉様が私のことを無視するんです……久しぶりにお見かけして嬉しくて声をかけたのに……」
「なんてことだ、リディ。シャルロッテはいつもお前のことを気にかけてるんだよ」
しおらしく言うシャルロッテの言葉を聞いたターナーは、元々垂れた眉を更に垂らして悲しげに言った。
(……本当、何もわかってないのね)
我が父ながら情けない。
ターナーは優しくて大らかな父親だ。
リディのことを愛してくれ、領地経営も上手く、領民にも慕われるような人間であった。
人の意見を聞き入れる度量もある。
そう思っていたのだが、実は単なるイエスマンだった。
周囲の言葉に流され、自分で考えることもしない。
そのことを痛感したのは五年前に母が亡くなった時だった。
母一筋だと思っていた父は、すぐに後妻として今の母を迎えた。
と、同時に自分と年の変わらないシャルロッテも家族に迎えたのだ。
つまりリディが生まれた時と同じ時期に不倫して、子供まで作っていたのだ。
尊敬していた父だけにショックだった。
継母ラミネは家の実権を握り、意に沿わない使用人や執事を解雇し、自分に都合のよい人間を登用した。
それを止めることもなく、ターナーはただうんうんと受け入れた。
ラミネの言いなりになり、お金の管理も任せた結果、ラミネとシャルロッテの散財で、我が家の家計は火の車となった。
贅沢三昧で散財を繰り返す義母と義妹をリディも止めることができなかった。
前世の記憶を取り戻す前のリディは気の弱い人間であり、意見する勇気がなかったからだ。
気の弱いリディをあざ笑いながら、ラミネとシャルロッテは苛め抜いた。
二人のいじめにも耐え忍ぶ……そんな少女だったが、前世を思い出した途端、中身が望美になった。
つまり、二十一世紀の女子高生であり、勝ち気な性格に変わったのだ。
だから思った。
こんな家捨ててやると。
手に職をつけ、仕事をし、自立した女性になる。
そのためには資金が必要だ。
そこでリディは考えた。
自分の得意を活かした仕事は何かと。
そして現在、その仕事をするために街へ通っている。しかし、バレてしまえばそのお金も没収されてしまう。そのため、リディは仕事をしていることを隠している。
「今日も教会に行くのかい?」
「はい……シスターのお手伝いをしたいので……」
リディは教会の孤児院を手伝いに行くという口実で街に出ているが、ターナーはそれに気づかない。
一応シスターには事情を話して口裏を合わせてもらっているが、そもそもリディに興味のないターナーは教会に問い合わせることもなかった。
「そろそろ行ってまいります。シスターをお待たせしてしまうので」
リディはか細い声でそう返事をした。
突然性格が変われば周囲の人間も驚くだろうし、反抗すれば叩かれる上に食事も抜きにされる。
だからリディは今まで通り、気弱な令嬢を演じているのだ。
それにすら気づいていないターナーはリディに優しく声をかけて送り出した。
「気をつけて行くんだよ」
「はい。では失礼します」
リディはそう言って屋敷を後にした。
※ ※ ※
街中の路地に入ると人通りもまばらだ。
青い空から降り注ぐ日光は建物の上ばかりを照らし、路地は少しだけ薄暗い。
だがリディの仕事としてはありがたい立地である。
リディはというとある一つの建物の階段を上がり、最上階に部屋へと向かった。
そこがリディの店である。
そのドアの鍵を開けようとしたところで家主のアレットが声をかけてきた。
「おおー、リディちゃん。おはよう。今日もお仕事かい?」
アレットは目尻に皺を寄せ、にこやかに言った。
手に箒を持っているところを見ると、廊下の掃除していたのだろう。
「はい、今日もお陰様で予約が入ってるので」
「そうかいそうかい。……それにしても伯爵家のご令嬢の道楽かと思っていたけど、頑張ってるね。伯爵様ならお金なんて腐るほどあるというのに。あぁ……リディちゃんにも事情があるようだしね。深くは聞かないよ」
アレットの心遣いにリディは感謝した。
最初にこの部屋を店舗として借りる時、伯爵家の人間であることで冷やかしと思われ、アレットから貸し渋りされてしまった。
ただ、そこを家賃の前払いや三か月の売り上げ報告義務、その他の諸条件で合意し、貸してもらえることになったのだ。
今ではアレットはリディの良き理解者だ。
「じゃあ、仕事頑張るんだよ。あ、昨日ケーキを焼いたから帰りに持って行っておくれ」
「ありがとう!」
アレットに別れを告げ、リディは自分の店となる部屋のドアを開けた。
建物の外見は古びているが、リディの部屋は白壁に白いレースの天幕があり、家具類も白で統一している。その部屋だけは日当たりが良く、室内は明るい。
リディは室内にラベンダーのアロマを焚き、窓際に塩と水を置いた。
そして黒のウィッグをかぶり、大きな黒縁の眼鏡をかけた。
「綺麗な髪なのに隠しちゃうのはもったいない」などとアレットは言ってくれているが、ウィッグをかぶる理由は二つある。
一つは自分がラングレン伯爵令嬢であることを隠すためだ。
家族にはここで仕事をしていることは秘密だ。バレるわけにはいかない。
ここには顧客として貴族も来ることがある。
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リディがここで行っている仕事……。それは占いである。
前世である今井望美は先ほども述べたがスピ系女子で、占いが大好きだった。
もちろん趣味のレベルではあったが、これがまた当たると評判だったのだ。
今世でリディが自立すべく手に職をと考えた時、占いを稼業とすることに決めた。
ただ、年端も行かないしかも平凡な若い女性に悩みを打ち明けることに躊躇う人もおり、それっぽい雰囲気を出した方が相手の信用も得やすい。
考えたのが、黒い真っすぐなウィッグを被り、大きい眼鏡をかけていかにも神秘的で普通とは違う人間であることを演出することだった。
占いの的中率も高く、お陰様で口コミで人気が広がっており、現在は予約が絶えない。
それは貴族の耳にも届いているようで、密かな悩みの解決にお忍びでリディの元を訪れる。
ゆえにリディの店は繁盛しているのだ。
「よし、時間だし。お仕事お仕事!」
リディは今日の予約を確認する。
最初の客は男性だ。名前は「ルシアン・バークレー」
(なんとなく聞いたような名前だけど……)
リディの記憶にこの名前が引っ掛かる。
うーんと少し考えていると、コンコンとドアが鳴ったのでリディはそれに答えた。
「はい、どうぞ」
「失礼する」
そう言って帽子を目深にかぶった男性が入ってきた。
群青のコートを羽織り、中は白いスーツだ。
クラバットに留められた宝石はルビーで、その出で立ちだけで貴族と分かる。さらにドアの閉め方一つとっても優雅な仕草から上位貴族であることも察せられた。
男性がゆっくりと帽子を取ると、サラリと絹糸のような髪が露になる。
そしてサファイアのような深い青の双眸をリディに向けた。それを見た瞬間、リディは固まった。
思わず小さく呟いていた。
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