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風呂場に棲んでるお客様

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詳しくは「我が家はゴーストハウス」の章で詳しく書きたいと思うが、私の住む家は大抵ゴーストハウスだった。
しかし新居に引っ越して五年、この新居は比較的霊障が少ないが、確実に棲んでいるのはお風呂場である。

扉を開けていると開きっぱなしの時もあれば、勝手にしまってしまう時もある。
最初は欠陥住宅かとも思ったが、どうやら色々な現象を体験して
「これは…何か風呂場にいるのでは」
という考えに至った。

最近では
「ちょっと開けてもらえるかな?洗濯物(浴室乾燥機で)干したいからさー」
と、お願いするとずっと開いてくれる。
機嫌が悪いとパタリと音を立てて扉を閉じられてしまうこともあるのだが…

姿も見せることもある。
お風呂に入っているとき、脱衣所を何回か通りすぎているのを目撃している。
それは白い影のようなもので、すーっと廊下から洗面台の方に移動することがしばしば。
直感的には男性…かな?

その時には幽霊だとは思わず母が洗面所に用事があったのかなと思って風呂場から脱衣所を覗くと…誰もいない。
「え?あれ?」
すると母が廊下から洗面所にやってくる。
「いま、通った?」
「ううん。今来たばっかりだけど。」
「…いや…うん。出たわ。」
「あーそうなんだ」
という会話が繰り広げられること数回。
ちなみに私だけが見るわけではなく、母も同じような体験をしている。

あとは、よく風呂桶をぶっ飛ばす。

お風呂上りに洗面所で髪を乾かしていると
ガタン
って音がした。何事かと思ってお風呂場を覗くと風呂桶があっちのほうやこっちの方に投げとばされている。
普通なら「ただ、風呂桶がお風呂から落ちただけでしょ?」と思うのが普通だろう。

だが、お風呂の蓋のど真ん中に置いていた風呂桶がどうやって床にばらまかれているのかは説明がつかない。
何故?と考えるとよく分からない。
だから我が家では「風呂場に棲んでいる人がやったんだろう」ということにしている。

他にもこんなことがあった。
家に帰ってさて、お風呂に入ろうという段になって、風呂場に行くとシャワーヘッドがお風呂の蓋に鎮座している。

「え?なんで?こんなところにシャワーヘッドが落ちてるの?」

その時は私は一人暮らしだったのだが、泥棒に入られてのではないかと思い、家中を点検した。
もちろん鍵は掛けてあったし、他の人間が侵入してきた形跡はない。
だから「気のせい」で済ますことにした。

が…その後、母と同居し同じことが何度もあり、母も体験することとなった。
母がシャワーを終え、浴室を出て、すぐに浴室に入るとシャワーヘッドが落ちている。
音もなく…。もしこれが普通に落ちたならば、音ですぐ分かるだろう。

だからこういう不思議現象があると最近では「お風呂に棲んでいる人」のせいにして一件落着となる。
もちろん、こういう現象がウザくないわけではない。面倒だ。ちょっとむかつくときもある。

でも、うまく共存しないと我が家では暮らしていけないのである。
ちなみに昔の人はそう言ったものを「物の怪」と呼んだ。
何か得体のしれない物の気配がする、というのが語源だ。(正体が分かると妖といったり幽霊と言う名称が付く。)
とても便利な言葉である。

昔も今も、霊現象なんてあまり変わり映えがないのかもしれない。
ウチの物の怪さんはお客ということで現在共存中である。
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