悪役令嬢は二度も断罪されたくない!~あのー、私に平穏な暮らしをさせてくれませんか?~

イトカワジンカイ

文字の大きさ
上 下
35 / 74

姫というより勇者-Sideロベルトー③

しおりを挟む

アドリアーヌがサイナスと共にムルム邸に行くのを見送った日からロベルトの心中には複雑な思いが渦巻いていた。

あの後もサイナスがアドリアーヌに執着する様子で、それを知ってからは独占欲が芽生える。

お気に入りのおもちゃを取り上げられるような焦りのような、何とも言えない不愉快さが心を占める。

(お姫様を見つけたのは俺だ。サイナス様にかっさわれるのは癪だな)

アドリアーヌの心を手に入れようとする焦りがジワリとロベルトを責め立てた。

彼女は元公爵令嬢だ。

やはり豪華なドレスとアクセサリー、ディナーに誘えばさすがに優雅に過ごしていた過去のことを思い出して自分に靡くだろう。

幸いにしてサイナスからはたくさんの報酬をもらっており、アドリアーヌに豪華なドレスを送ることも夢のような一夜を提供することもロベルトの財力的には問題がない。

半ば強引にアドリアーヌを飾り立ててディナーへと連れ出す。

今思えば焦りがそうさせたのかもしれない。

最初は戸惑っていたアドリアーヌもディナーを楽しんでいるようだった。

(さて……これでもう一押しすれば……)

そんな簡単な女ではないことは百も承知だったが、もうロベルトには手段がないのだ。

女が自然と自分に寄って来るのであって、自分から恋愛に積極的に手を出そうと思ってなかった。

やれることと言えばこうやって女の自尊心をくすぐって落とすしか方法を知らない。

「ロベルト!その女は誰よ!」

そう叫ばれてそちらを見れば、以前に相手をした女の一人であるサリィが髪を振り乱してロベルトを責め立てる。

そして敵意をアドリアーヌにも向けたのだ。

(困ったな……まさかこのタイミングで修羅場になるなんて……俺らしくないな)

心底参った。

それなりに距離を取ってフェードアウトする気だったし、たいていの女性……特に気位の高い女ほど自分が弄ばれたことを恥と思い、誰にも言わない。

もしくは自分から振ってやったと武勇伝の様に語るのが常なのに。

「ロベルト!どうしてそんな女が!私という恋人がありながら、よくそんなことが言えるわね!」
「恋人……?あぁ、君との時間は悪くなかったけど、君を恋人だって言ったことあったかな?」
「なっ……だって、君が好きだって言ったわよね。一番かわいいねって言ったじゃない!」
「うーん、僕は一番好きっていうのを作らない主義だよ。〝君は一番かわいいものが似合うよ〟とは言ったけど、そういう意味じゃないよ」

敵意をアドリアーヌに向けた時点でロベルトの気持ちは冷めきり、思わず冷たく突き放す言葉を口にすれば、アドリアーヌは逆にサリィを庇い、その場を丸く収めてしまった。

「はぁ……ロベルト、あなたがそんな気はなくても本気になる人はいるの。みんな恋愛をあなたのように捉えていると思わないで。そんな態度は……本気になった人に失礼よ」

アドリアーヌはまっすぐにロベルトを見て言ってきた。

これまでは無邪気な笑顔を向けたり、少し冗談めかして言葉遊びを楽しんできたようなチャーミングな表情はそこにはなかった。

「僕は騙したつもりはないし、本気で好きだとも言っていない。勘違いしてしまうのは僕が悪いっていうの?」
「少なくとも、相手はあなたに本気で向き合っている。それを誤魔化すのはずるいわ。ロベルト……本当はあなた人と深く関わりたくないんじゃないの?」

痛い所を衝かれた。そう思った。

不意に心の傷が疼く。

ロベルトは貴族だった。

だが、父親が事業で失敗し借金を苦に自殺。爵位も奪われてしまった。

実は家族ぐるみで懇意にしていた家に騙されていたこともショックだったし、親友とも思っていた友人にも金がなくなると知ると冷たくされた。

その時の虫けらを見るような彼の目が忘れられない。

その後唯一の肉親となった姉は身を粉にして働き、まだ子供だったロベルトを育ててくれた。

ささやかだけど姉がいるなら自分は一人ではない。

そう思っていたのに、姉は男と駆け落ちをしてロベルトの元から突然いなくなった。

その時援助の手を差し伸べたのがサイナスで、情報を売る契約をしてから彼の影のような働きをするようになった。

過酷な自分の身の上を不幸だと酔いしれるわけではないが、何も知らない貴族の娘であるアドリアーヌがそんな知ったような言葉を吐くのが許せなくなった。

だがアドリアーヌは続けて言う。

「そう。あのね……人と関わっていたら絶対に傷つくこともある。でも……だけどそれを恐れていたら後には人は残らないし虚しさだけが残っていくと思うの」
「僕が孤独に見える?君には虚しいように見えるの?」
「今はまだ見えない。でも、寂しそうには見えている」

アドリアーヌは言葉を選ぶように一つ一つ言葉を紡ぎ始める。

「これは持論だけど……友人を多く作る必要はないけど、どうしてもって時に助けてくれるような人を一人は作っておくと、心が安定するわ。拠り所っていうのかしら。とにかく一人じゃないって心強いわ」
「でも、そいつに心を預けて、それを裏切られたら傷ついて終わりじゃないのかな?」
「それは自分の見る目がなかったのよ。でもね……人を信じられたという自分自身を否定する必要はないわ。縁は巡るものだから、別れる時はあなたにとってその縁は必要ないものになったってこと。またあなたに必要な新たな縁があるはずよ」
「そんなこと、自分のことでも言えるの?だいたい君は傷ついたことあるの?」

突き放すように言ったロベルトの一言に、アドリアーヌは一瞬息をのんだように見えた。

そして寂しそうにぽつりと呟いた。

「うん、そうね。どうかしら。あった……かもしれないわ」

そう言えばと思い出した。

それはサイナスに言われてアドリアーヌを調査した時に知ったのだが、彼女はグランディアス国の公爵令嬢だった。

しかも第一王子ルベールの婚約者でのちの王妃になる人物だった。

なのにルベールの心変わりにより国外追放の憂き目にあっていた。

それでも彼女はまっすぐに生きてきた。

「ごめん」

はっとして思わず謝罪の言葉を言った。

自分は周囲を呪うしかできなかったのに、アドリアーヌは毎日を前向きに捉えて生活してきたのだ。

周囲に幸せを撒くように明るく。それにロベルト自身も惹かれたのかもしれない

謝罪を口にしたロベルトにアドリアーヌは切なげな微笑みを浮かべそして、それを払拭するように言った

「とにかく!もう少しあなたはちゃんとした人間関係を築くべきよ!」

自分にそれができるだろうか?

アドリアーヌと居れば自分は変われるのではないか、そう思えるようになっていた。


※   ※   ※


後日ロベルトはサイナスに依頼されてとある情報を得る仕事をしていた。

傍らには女の裸体が横たわっている。

いい気分にさせて自白剤を飲ませ情報を得る。

事に及べば自白もスムーズだ。

だが、そんな自分が穢れているように思えて、アドリアーヌの前に出るためにはもうこの仕事はしたくないと思ってくる。

だから情報を渡すために会った時にサイナスに切り出した。

「これが情報だよ」
「ロベルト、いつも悪いな」
「それで、サイナス様。もう俺はこの情報屋から足を洗おうと思う」
「急にどうした?」

ロベルトはアドリアーヌと向き合うために、そして過去に区切りをつけるためにサイナスと袂を分かつと決めた。

「契約はどうする?」

サイナスとの契約は姉の所在を探ること、そして爵位を復活させることの二点。

それはこれまで自分を蔑んできた貴族へ復讐する第一歩でもあった。

貴族の汚点を探れば、それを強請って彼らより高みに上り、場合によっては蹂躙することができるからだ。

「もういいよ。自分の人生を恨みで進むのはやめにする」
「……そうか。まぁ王家への反勢力についてはあらかた調べたし、……気になっていたセギュール子爵の件も情報は揃ったしな」

その日迎えた朝日はすがすがしいもので、朝がこんなに爽やかな空気で満ち溢れていることに気づかされた。

これでアドリアーヌに向き合える。

少なくとも恋愛感情抜きにしても人間としてアドリアーヌと共に時間を過ごしても良い対等な人間になれたと思ったのだった。

が……そうは問屋が卸さないというのがこの世の理だ。

あろうことかセギュール子爵邸のメイドに手を出したことが下っ端の男にばれてしまい、その黒幕であるロベルトの存在まで情報を掴まれてしまった。

セギュール子爵に情報が行く前に対処することにした。

「あの下っ端の男は、僕達のことをまだセギュール子爵には言っていないみたいだよ。こっちについた方が利があると吹き込んでおいたから今度接触してきたら返り討ちにでもしてやって」
「分かった。はっ、本当にセギュール子爵のところの人間は馬鹿だな。じゃあ、こっちはこっちで対処する」
そして忠告して翌日には下っ端男はサイナスに喧嘩を吹っかけて、返り討ちにされていた。

自分の仕事はその下っ端を川にでも吊り下げ、買収した警官に捕縛させることだ。

なのに……その現場にアドリアーヌがいた。

(なんで……お姫様が⁉)

動揺しつつも事の成り行きを見守っていると、案の定サイナスはアドリアーヌを脅してこちらに引き入れる作戦に出た。

だが、そこはアドリアーヌ。ただでは起きなかった。
「労働条件の協議を申し入れます!」

その時のサイナスの顔を見ものだった。

更にあれよあれよとアドリアーヌのペースで条件が決められてしまう。

久しぶりのアドリアーヌの型破りな行動で荒んでいた気持ちも一気に払拭され、心の中で大爆笑をしてしまった。

そしてその帰り道、護衛を兼ねて家まで送る道すがらロベルトは聞いてみた。

「なんでお姫様はあそこにいたの?」
「サイナス様に時計を返そうと思って」
「でも危ないって思わなかったの?」
「そうだけど、尋常じゃない雰囲気だったしサイナス様が危険な目に遭わないか心配だったのよ。いざとなれば走って助けを呼ぶとかできるかもしれないし」
「身の危険を感じたら悲鳴をあげて逃げるのが御令嬢なんじゃない?」
「そうしたらサイナス様が危険な目に遭っちゃうでしょ?」

話が噛み合わない。

普通はやばそうだったら逃げるし、万が一その現場にいたら腰を抜かして泣くのではないか?

それなのに走って助けを呼ぼうと見守っているというアドリアーヌの心境は、ある意味適切な判断だが、普通の女性の反応ではない気がする。

「もし、あれが俺でも助けてくれた?」

アドリアーヌが自分以外の男の窮地を必死になって救おうとするのが少し気に入らない。

できたら必死になるのは自分だけにして欲しいのだ。

まぁ、アドリアーヌの性格上は見捨てるって選択肢はないだろうが。

「あなたなら少しは痛い目見るといいかもしれないわ」
「酷いな。少しは僕にも気を配って欲しいな」
「でもロベルトなら実際上手く躱すと思うしね」

思わず乾いた笑いが出てしまう。

アドリアーヌにとっては所詮自分の存在はその程度なのかと若干傷つく。

「でもさ、もしこんな状況になって、僕も君も窮地に立ったら、こんなクズな男は助けない?」

アドリアーヌの言う通りだ。

今まで恨みをたくさん買ってきて、まともな人生は歩めないだろう。

危険な目に遭って殺されるかもしれない。

そんな自虐的な気持ちで呟く。

優しいアドリアーヌのことだ。きっと助けると言うだろう。

そう思ったのに、アドリアーヌの言葉はまたロベルトの斜め上を行った

「えっ?逃げるわよ」
「それは……流石にそれは酷くない?」
「だってあんな状況になったら腕力もないもの助けられないわ」

至極真っ当な意見だった。が、やはりショックは隠せない。

でも次の瞬間アドリアーヌはこう続けた。

「でも、もちろん二人で逃げる術を考えるの」
「考える?」
「そう、戦力がないなら智略を巡らせるわ。私は頭がいいわけじゃないけど、あなたには生きて欲しいし、私も死にたくない。だから必死に考える」
「でも二人で助かろうなんてそれは……欲張りじゃ」
「あら多少でも欲がなかったら人間生きていけないわよ。欲は生きる原動力だもの」
「くくっ……確かに」
「それにね、二人で生きることに意味があるんだから。一緒に生きましょう!」

アドリアーヌはただ守られるだけのお姫様ではない。

その知恵をフルに活用して、きっと自分を守りながら戦ってくれる。

あの親友だと思ってたのに裏切った貴族とは違い仲間を見捨てない。

「それは勇敢なお姫様だね」
「そう?まぁ、いざとなったらスカート破いて全速力で逃げるから心配無用よ」

お互い顔を見合ってくすりと笑い合う。

スカートを破り捨てて走る姿が想像できてしまうのがアドリアーヌだろう。

彼女は強くて逞しい。

仲間を見捨てず共に生きようと言ってくれる。

それは姫というより勇者のあり方に近いように感じた。

「本当にお姫様って人は……」

どこまで自分の心を奪えばいいのか。

最初は遊びだったのに気づけば本気にさせられたのは自分で。

(あぁ、この気持ちは……きっと恋心ってものなのかもしれない)

でもその敗北さえ心地いいと思いながらロベルトはアドリアーヌとの夜道を歩くのだった。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

困りました。縦ロールにさよならしたら、逆ハーになりそうです。《改訂版》

新 星緒
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢アニエス(悪質ストーカー)に転生したと気づいたけれど、心配ないよね。だってフラグ折りまくってハピエンが定番だもの。 趣味の悪い縦ロールはやめて性格改善して、ストーカーしなければ楽勝楽勝! ……って、あれ? 楽勝ではあるけれど、なんだか思っていたのとは違うような。 想定外の逆ハーレムを解消するため、イケメンモブの大公令息リュシアンと協力関係を結んでみた。だけどリュシアンは、「惚れた」と言ったり「からかっただけ」と言ったり、意地悪ばかり。嫌なヤツ! でも実はリュシアンは訳ありらしく……

処理中です...