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関わりたくないんですけど!①
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アドリアーヌは朝食後、渋るクリストファーを引っ張るようにして散歩に出かけた。
春ではあるが日差しがきつく、少し歩いたら汗ばんでしまう陽気でもある。
絶好の散歩日和だろう。
敷地の庭はかなり広い。
アドリアーヌ自身もここに来て日が浅いためゆっくりと庭園を見ることはなかった。
庭園はこの伯爵家唯一の庭師であるデリスが管理しており、庭園の随所に丹精込めて手入れされているのが分かった。
「素敵な庭園ですね。クリストファー様はこの庭園は慣れてますか?案内してくださいませんか?」
「僕は……分からない。半年前に来たばかりだから……」
「それじゃあ私と同じですね。それならば探検しましょう!」
アドリアーヌはなんとなくわくわくして庭園を歩き出した。
迷路のような庭木の奥に行くとバラ庭園になっており、そこには早咲きのものがすでに開花して甘い香りを漂わせていた。
「そう言えばバラ紅茶のバラは原種のものを使っていると聞いたことありますから、デリスさんに聞いてできたらバラの紅茶でも作るのも楽しそうですね」
「え?バラを紅茶に入れるの?」
「はい。とってもいい香りなんですよ。優雅な気分にさせてくれます」
前世の時には殺伐とした仕事の合間に淹れる紅茶やコーヒーを飲むのが贅沢な時間だった。
普通ならサンドウィッチ片手に資料作りをしたりするのだが、少し仕事が落ち着いた日にはゆっくりとお茶休憩が取れたのだ。
その時にコーヒーならドリップを、紅茶ならハーブティーなどを飲んでいたが、その中でもバラ紅茶は優雅な気分が味わえて幸せを感じたものだった。
あの時に比べれば今の生活自体が優雅な生活のはずなのだが、少しあの時の紅茶が懐かしくなったアドリアーヌはそのうち作ろうと決めた。
「じゃあバラの紅茶作ったら僕も飲んでみたいな。面白そう」
「ぜひぜひ飲んでください!茶葉は奮発していいのを使いましょうね!……あら?あっちは林があるんですね。行ってみましょう」
庭園の先には少し林のようになっている。
この世界では珍しいのだが、日本で言う借景のように使っているのだろう。
庭園に奥行きを持たせている。
林に入るとようやく芽吹き始めた木々の間から木漏れ日が射して茶色の落ち葉に陰影の模様を作っていた。
「あら?あれって……」
茶色の落ち葉の間から小さな黄緑の植物が顔を出していた。
小走りにそちらに向かうとクリストファーも慌てたようにアドリアーヌに付いて来た。
「アドリアーヌ、急にどうしたの?」
「クリストファー様、見てください!フキノトウですよ!」
「この小さい植物のこと?」
「そうですよ。これは春になると出る植物なんです。春が来たって感じがしますよね」
「そうだね、可愛らしい草だね。えぇっ?」
アドリアーヌの言葉に相槌を打っていたクリストファーが、次の瞬間に驚いた声を上げた。
というのもアドリアーヌがフキノトウをブチっと取ったからだ。
可愛いからよく見ようと思っていたクリストファーは慌てアドリアーヌに聞いてきた。
「アドリアーヌ!なんで取っちゃったの?」
「なんでって……食べますから」
「え?それって食べるの?」
「ええそうですよ。天ぷらにすると美味しいんです」
「てんぷら?」
(そうか……この世界には天ぷらがないのね)
「フライみたいなものです。油で揚げて食べるとほろ苦くてでも美味しいんですよ。あっちの方にもありますし、いっぱい採って帰りましょう!」
立ち上がって見回すと転々とフキノトウが自生しているのが見えた。
「クリストファー様も手伝ってください!そうだ、どちらがいっぱい取れるか競争しましょう!」
「わかった。僕は負けないからね」
「私も手加減しませんよ」
そういって二人はフキノトウ探し競争をすることになった。
熱中すること三十分余り。
これ以上はこの後のメイドの仕事に差し支えが出てしまう。そろそろ戻るとしよう。
そう思ってクリストファーに声をかけた。
「クリストファー様、そろそろ帰りましょう!」
「わかったー」
クリストファーはというとアドリアーヌより離れたところでしゃがんでフキノトウを採取していたようで、立ち上がると小走りにこちらにやって来た。
そして自信満々で両手いっぱいのフキノトウをアドリアーヌに見せてきた。
「ほら、こんなにとったよ!」
「すごいですね、クリストファー様。フキノトウの達人です!」
「えへへへ。アドリアーヌはどれだけ採ったの?」
「私はこれだけですよ。クリストファー様の勝利ですね」
アドリアーヌはハンカチに載せていたフキノトウを見せる。
量だけ見ればクリストファーの圧勝だったのだが、その中にフキノトウ以外のも入っていた。
「アドリアーヌ、この葉っぱはなに?」
「あぁ、これはゼンマイですよ。」
「これ食べれるの?」
「もちろんです。おひたしにすると美味しいんです」
「へーアドリアーヌはすごいね。森の女神みたいだ」
「め、女神!?」
単に庶民の知識で採っただけだ。それをこうも褒められると気恥ずかしいし申し訳なくなる。
しかも満面の天使の笑みでいうのだ。
スチルならば後ろがピンクのバラが散らされて、シャボンのような効果がつくだろう。
「ヴッ……尊い……」
本当なんでこんな子を虐めるなんてゲーム世界の悪役令嬢アドリアーヌの気持ちを疑う。
「さぁ、戻りましょう!」
「うん」
最初は外出を渋っていたクリストファーもすっかり外を満喫したようだ。
その証拠にそっと手を握ってくれて、そのまま一緒に屋敷へと戻った。
「じゃあ、私は仕事に戻りますね。お昼はご一緒できないんですけど、ちゃんと食べなくちゃだめですよ」
「アドリアーヌと食べたい……」
満面の笑みが、一気にシュンとなったクリストファーを見て、アドリアーヌはまた「ヴッ」となった。
(可愛い……かわいすぎる……)
アドリアーヌ自身も一緒にいてあげたいが仕事の手を抜くわけにはいかない。
この外出もファゴとシシルがシフト調整をしてくれたからだ。
「でも私は仕事があるんです。夜は一緒に食べましょう!」
「……わかった。絶対だよ」
「はい、もちろんです」
それではとホールで別れると、いったん部屋へと戻ろうとしたクリストファーがくるりと向き直ってアドリアーヌに向かって戻ってきた。
「あのね……アドリアーヌがいてくれたから……今日は……久しぶりに楽しかった」
「こちらこそ楽しかったです」
「じゃあ、僕は戻るね!」
手を振って、今度こそ戻っていくクリストファーの後ろ姿を見送る。
あんなに塞ぎ込んでいたクリストファーが少しでも笑顔になってくれたことに安堵した。
ほっこりした気持ちで次の仕事に取り掛かろうとバックヤードに足を向けた時だった。
前方からものすごいスピードでマーガレットがやってきた。
「お……お嬢様っぁぁ!」
「どうしたの?マーガレット、何か問題でも発生した?」
「大事件なんです!」
「ちょっと……落ち着いて!何があったの?」
「いいから来てください!」
自分が屋敷を離れている間に不測の事態でも起こったのだろうか?
とにかくマーガレットの動揺は尋常ではなかった。
いや……よく見ると動揺というより興奮状態か?
鼻息を荒くし顔を赤くしたマーガレットに連れられてアドリアーヌはバックヤードに向かった。
「お嬢様!あんな素敵な方とどこで出会われたんですか!もう……本当に……あぁ……かっこいいです」
「?何のこと?」
「いいですから!」
そういって連れてこられたのは何故か勝手口だった。
そしてガチャリとドアを開けたその先には金髪碧眼の美男子が立っている。
「やぁ、お姫様。約束の品を献上しに参上しましたよ」
日に照らされて金の髪がキラキラと光るだけではなく、神々しいまでの笑みを浮かべていたのはロベルトだった。
春ではあるが日差しがきつく、少し歩いたら汗ばんでしまう陽気でもある。
絶好の散歩日和だろう。
敷地の庭はかなり広い。
アドリアーヌ自身もここに来て日が浅いためゆっくりと庭園を見ることはなかった。
庭園はこの伯爵家唯一の庭師であるデリスが管理しており、庭園の随所に丹精込めて手入れされているのが分かった。
「素敵な庭園ですね。クリストファー様はこの庭園は慣れてますか?案内してくださいませんか?」
「僕は……分からない。半年前に来たばかりだから……」
「それじゃあ私と同じですね。それならば探検しましょう!」
アドリアーヌはなんとなくわくわくして庭園を歩き出した。
迷路のような庭木の奥に行くとバラ庭園になっており、そこには早咲きのものがすでに開花して甘い香りを漂わせていた。
「そう言えばバラ紅茶のバラは原種のものを使っていると聞いたことありますから、デリスさんに聞いてできたらバラの紅茶でも作るのも楽しそうですね」
「え?バラを紅茶に入れるの?」
「はい。とってもいい香りなんですよ。優雅な気分にさせてくれます」
前世の時には殺伐とした仕事の合間に淹れる紅茶やコーヒーを飲むのが贅沢な時間だった。
普通ならサンドウィッチ片手に資料作りをしたりするのだが、少し仕事が落ち着いた日にはゆっくりとお茶休憩が取れたのだ。
その時にコーヒーならドリップを、紅茶ならハーブティーなどを飲んでいたが、その中でもバラ紅茶は優雅な気分が味わえて幸せを感じたものだった。
あの時に比べれば今の生活自体が優雅な生活のはずなのだが、少しあの時の紅茶が懐かしくなったアドリアーヌはそのうち作ろうと決めた。
「じゃあバラの紅茶作ったら僕も飲んでみたいな。面白そう」
「ぜひぜひ飲んでください!茶葉は奮発していいのを使いましょうね!……あら?あっちは林があるんですね。行ってみましょう」
庭園の先には少し林のようになっている。
この世界では珍しいのだが、日本で言う借景のように使っているのだろう。
庭園に奥行きを持たせている。
林に入るとようやく芽吹き始めた木々の間から木漏れ日が射して茶色の落ち葉に陰影の模様を作っていた。
「あら?あれって……」
茶色の落ち葉の間から小さな黄緑の植物が顔を出していた。
小走りにそちらに向かうとクリストファーも慌てたようにアドリアーヌに付いて来た。
「アドリアーヌ、急にどうしたの?」
「クリストファー様、見てください!フキノトウですよ!」
「この小さい植物のこと?」
「そうですよ。これは春になると出る植物なんです。春が来たって感じがしますよね」
「そうだね、可愛らしい草だね。えぇっ?」
アドリアーヌの言葉に相槌を打っていたクリストファーが、次の瞬間に驚いた声を上げた。
というのもアドリアーヌがフキノトウをブチっと取ったからだ。
可愛いからよく見ようと思っていたクリストファーは慌てアドリアーヌに聞いてきた。
「アドリアーヌ!なんで取っちゃったの?」
「なんでって……食べますから」
「え?それって食べるの?」
「ええそうですよ。天ぷらにすると美味しいんです」
「てんぷら?」
(そうか……この世界には天ぷらがないのね)
「フライみたいなものです。油で揚げて食べるとほろ苦くてでも美味しいんですよ。あっちの方にもありますし、いっぱい採って帰りましょう!」
立ち上がって見回すと転々とフキノトウが自生しているのが見えた。
「クリストファー様も手伝ってください!そうだ、どちらがいっぱい取れるか競争しましょう!」
「わかった。僕は負けないからね」
「私も手加減しませんよ」
そういって二人はフキノトウ探し競争をすることになった。
熱中すること三十分余り。
これ以上はこの後のメイドの仕事に差し支えが出てしまう。そろそろ戻るとしよう。
そう思ってクリストファーに声をかけた。
「クリストファー様、そろそろ帰りましょう!」
「わかったー」
クリストファーはというとアドリアーヌより離れたところでしゃがんでフキノトウを採取していたようで、立ち上がると小走りにこちらにやって来た。
そして自信満々で両手いっぱいのフキノトウをアドリアーヌに見せてきた。
「ほら、こんなにとったよ!」
「すごいですね、クリストファー様。フキノトウの達人です!」
「えへへへ。アドリアーヌはどれだけ採ったの?」
「私はこれだけですよ。クリストファー様の勝利ですね」
アドリアーヌはハンカチに載せていたフキノトウを見せる。
量だけ見ればクリストファーの圧勝だったのだが、その中にフキノトウ以外のも入っていた。
「アドリアーヌ、この葉っぱはなに?」
「あぁ、これはゼンマイですよ。」
「これ食べれるの?」
「もちろんです。おひたしにすると美味しいんです」
「へーアドリアーヌはすごいね。森の女神みたいだ」
「め、女神!?」
単に庶民の知識で採っただけだ。それをこうも褒められると気恥ずかしいし申し訳なくなる。
しかも満面の天使の笑みでいうのだ。
スチルならば後ろがピンクのバラが散らされて、シャボンのような効果がつくだろう。
「ヴッ……尊い……」
本当なんでこんな子を虐めるなんてゲーム世界の悪役令嬢アドリアーヌの気持ちを疑う。
「さぁ、戻りましょう!」
「うん」
最初は外出を渋っていたクリストファーもすっかり外を満喫したようだ。
その証拠にそっと手を握ってくれて、そのまま一緒に屋敷へと戻った。
「じゃあ、私は仕事に戻りますね。お昼はご一緒できないんですけど、ちゃんと食べなくちゃだめですよ」
「アドリアーヌと食べたい……」
満面の笑みが、一気にシュンとなったクリストファーを見て、アドリアーヌはまた「ヴッ」となった。
(可愛い……かわいすぎる……)
アドリアーヌ自身も一緒にいてあげたいが仕事の手を抜くわけにはいかない。
この外出もファゴとシシルがシフト調整をしてくれたからだ。
「でも私は仕事があるんです。夜は一緒に食べましょう!」
「……わかった。絶対だよ」
「はい、もちろんです」
それではとホールで別れると、いったん部屋へと戻ろうとしたクリストファーがくるりと向き直ってアドリアーヌに向かって戻ってきた。
「あのね……アドリアーヌがいてくれたから……今日は……久しぶりに楽しかった」
「こちらこそ楽しかったです」
「じゃあ、僕は戻るね!」
手を振って、今度こそ戻っていくクリストファーの後ろ姿を見送る。
あんなに塞ぎ込んでいたクリストファーが少しでも笑顔になってくれたことに安堵した。
ほっこりした気持ちで次の仕事に取り掛かろうとバックヤードに足を向けた時だった。
前方からものすごいスピードでマーガレットがやってきた。
「お……お嬢様っぁぁ!」
「どうしたの?マーガレット、何か問題でも発生した?」
「大事件なんです!」
「ちょっと……落ち着いて!何があったの?」
「いいから来てください!」
自分が屋敷を離れている間に不測の事態でも起こったのだろうか?
とにかくマーガレットの動揺は尋常ではなかった。
いや……よく見ると動揺というより興奮状態か?
鼻息を荒くし顔を赤くしたマーガレットに連れられてアドリアーヌはバックヤードに向かった。
「お嬢様!あんな素敵な方とどこで出会われたんですか!もう……本当に……あぁ……かっこいいです」
「?何のこと?」
「いいですから!」
そういって連れてこられたのは何故か勝手口だった。
そしてガチャリとドアを開けたその先には金髪碧眼の美男子が立っている。
「やぁ、お姫様。約束の品を献上しに参上しましたよ」
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