6 / 74
底値が知りたいんですが②
しおりを挟む
「ねぇ、街は初めて?ずっと気になっていたんだよね、それ」
足早に行くアドリアーヌにくっついて歩いていた男はアドリアーヌが持っているメモに視線を向ける。
「さっきから一生懸命何かメモをしていたけど、どうしたのかなぁって思っていてね。探し物なら一緒にお店を紹介してあげようか?」
「いえ、探し物じゃないんです。ちょっと底値を調査していて」
「底値?」
男は怪訝そうな顔をした後、プッと笑い出した。
「え?だって君貴族のお嬢さんでしょ?なんでまたそんなことしているのさ」
「初対面の人にそんなことを言う必要は感じないですけど」
「まぁまぁ、そんなに警戒しないで。僕は割と情報通だから、この街のことならある程度分かるよ。……底値だね。じゃあ、そのお店に連れて行ってあげるよ」
胡散臭い。
明らかに胡散臭い。
だが、そんなアドリアーヌの態度にお構いなしに男が歩き出す。
「あの、あなたのこと知らないし、付いて行かないですよ」
「あーそうか。僕はロベルトだよ。以後お見知りおきを」
ロベルトと名乗った男は大げさに恭しく礼をした。
「ロベルトさん。ご厚意はありがたいですがやはり結構です。他の店との比較を自分の目で確認しないと気が済まないので。」
「そう?僕なら色々口利きもできるよ。底値が知りたいということは少しでも安く野菜を仕入れたいんでしょ?僕に任せてさぁ」
「うわっ!」
アドリアーヌはそのまま連行されるようにロベルトに手を引かれて歩き出していた。
「僕はあまり女性を強引に連れ出すのは趣味じゃないけど、どうしても放っておけないよ。君、この街に不慣れでしょ?」
「分かりますか?」
「うん。きょろきょろうろうろしていたし、危ないなぁってずっと見ていたからね」
「ずっと……いつからですか?」
そう聞くと割と街に入ってすぐのあたりからだった。
ロベルト曰く懸命にメモを取っている姿は結構浮いていたらしい。
「カモにされているかもしれないし、まぁ悪いようにしないよ。ほら、まだ日も高いし人は大勢いる。変なことをしたら騒げばいいよ」
なるほど一理ある。
アドリアーヌは仕方なくロベルトについていくことにした。
果たしてロベルトが案内してくれたのは確かにこの街では底値と思われる八百屋だった。
よくよく見てみれば今まで調べたどこの八百屋よりも新鮮だし値が安い。
「店主の方、これをもう少し安くできないかしら?」
「えぇ……これ以上は無理だよ。ここら辺ではウチは薄利でやっているんだ」
「まとめ買いするから。ね。あとこの傷物とか小さいのもまとめて買うから!」
大量購入して値を下げてもらうのは基本中の基本だ。
八百屋にとってもこの価格を現金収入で入るのは魅力的なはずだ。
しかし店主は少し悩んでいる様だった。
そんな時ロベルトが口を開いた。
「ダリィのおじさん。ここは僕の顔に免じてどう?この間取れなかったっていう宿屋との契約も僕が取り持ってあげるよ」
「あぁ、あそこの嬢ちゃんはお前さんに惚れてるしなぁ……宿屋の注文も大口だからなぁ」
ロベルトの提案に店主は少し悩んだ後、店主は了解してくれた。
「よし、分かった。それならその価格で」
「ありがとうございます!」
それから交渉して荷物も運んでくれるよう更にロベルトの口添えもあって調整が完了した。
これで当面の食材は安く済んだはずだ。
ほくほくした顔でアドリアーヌは店を後にする。もちろんロベルトの評価は上がった。
満面の笑みで彼にお礼を言う。
「口添えありがとうございます!」
「いや、困っている可憐なお姫様を助けるのは僕の趣味みたいなものだから気にしないで」
何となく突っ込みたくなるが敢えてそこは言わないでおこう。
しかし……と思う。もしかして何か法外な見返りを要求されるのではないか……。
「あの……それで……何か見返りとか……必要ですよね……お金あんまり持ってないのですけど……」
「あはは、本当に気にしないで!言ったろ?趣味みたいなものだよって」
それでも何かお礼をしないと気が済まない。
「私で何かできることならある程度なら力になりますけど」
流石に一夜を共にしてくれとか言われたら困るし、法外なお金を要求されても困るが、それ以外なら力になりたいというのが正直なところだ。
「じゃあさ……君が欲しいものを教えてもらえるかな?」
「私が欲しいもの……ですか?」
「うん」
ニコニコと笑うロベルトを前にアドリアーヌはうーんと唸った。
直近で欲しいものはない。
高価なドレスやアクセサリーには興味が無いし、日用品も困っていない。
嗜好品も現在のところ欲しいとも思っていないのだ。
暫く考えた後、アドリアーヌには一つの考えが浮かんだ。
(そうだ!野菜を自分で育てればある程度は食費が削減されるかも!)
これはナイスアイディアだ。
これが欲しい。これしかない!
だから素直に言ったのだ。
「野菜の苗が欲しいです」
それを聞いたロベルトは盛大に固まった。
どうやら脳の処理がついていかないらしい。
「苗?」
「はい。今一番欲しいものなんです!ダメなら苗を売ってるところを教えてください」
「ぷっ……ははは!そうか。苗ね。覚えておくよ」
「あぁ、いえ。これがお礼になってますか?」
「うん、十分十分。引き留めて悪かったね。楽しい時間をありがとう」
「じゃあ、失礼しますね。本当にありがとうございました」
アドリアーヌはそう言って礼をすると帰路についた。
「ははは……本当に面白い子だな。しばらくは退屈しなさそうだし。……彼女のこと調べてみようかなぁ」
アドリアーヌの後ろを見送ったロベルトがそう呟いた言葉は、もちろんアドリアーヌは届かなかったが。
さて、当のアドリアーヌはと言うと辻馬車に乗って伯爵邸に戻る道すがら、今日の目標を達成してほくほくした気分になっていた。
ロベルトという変な男と出会ったのは微妙なところだが。
「それにしても、あのロベルトって人も、何となく名前と顔を知っているような気もするのよね」
また不意に変な感覚に襲われた。
あのメルナードに移送された時の感覚。
疲れ切った自分がベッドに倒れながら何かの雑誌を読んでいる。
(そう言えば「悠久の時代の中で」の続編が出たのよね。最後までやらないで死んだけど……って……あれ?)
そして思い出したのだ。
攻略対象の名前を。
「……確か……ロベルト……」
あの金髪碧眼のイケメン顔……。
そして気づいたのだ。リオネルのことも。
彼も攻略対象だったはずだ。
「嘘……いやいや……そんなはずは……ない……わよね……」
だがたとえ続編の世界だとしても、自分には関係ないはずだ。
(いやいや……まだ確定じゃないわ。たまたまかも。イケメンなんて皆同じ顔だし。ロベルトなんてよくある名前だし)
それに、彼と関わることはもうないだろう。
街には頻繁に行くわけではないし、相手にも自分の素性も明かしてない。
名前さえ言っていないことに気づいた。
「うん……もし続編の世界だとしても、私はモブキャラに過ぎないわ。それより……」
当面の課題はムルム伯爵家の立て直しだ。
アドリアーヌはそう考えて頭を切り替え、今後の方針について練り始めるのだった。
足早に行くアドリアーヌにくっついて歩いていた男はアドリアーヌが持っているメモに視線を向ける。
「さっきから一生懸命何かメモをしていたけど、どうしたのかなぁって思っていてね。探し物なら一緒にお店を紹介してあげようか?」
「いえ、探し物じゃないんです。ちょっと底値を調査していて」
「底値?」
男は怪訝そうな顔をした後、プッと笑い出した。
「え?だって君貴族のお嬢さんでしょ?なんでまたそんなことしているのさ」
「初対面の人にそんなことを言う必要は感じないですけど」
「まぁまぁ、そんなに警戒しないで。僕は割と情報通だから、この街のことならある程度分かるよ。……底値だね。じゃあ、そのお店に連れて行ってあげるよ」
胡散臭い。
明らかに胡散臭い。
だが、そんなアドリアーヌの態度にお構いなしに男が歩き出す。
「あの、あなたのこと知らないし、付いて行かないですよ」
「あーそうか。僕はロベルトだよ。以後お見知りおきを」
ロベルトと名乗った男は大げさに恭しく礼をした。
「ロベルトさん。ご厚意はありがたいですがやはり結構です。他の店との比較を自分の目で確認しないと気が済まないので。」
「そう?僕なら色々口利きもできるよ。底値が知りたいということは少しでも安く野菜を仕入れたいんでしょ?僕に任せてさぁ」
「うわっ!」
アドリアーヌはそのまま連行されるようにロベルトに手を引かれて歩き出していた。
「僕はあまり女性を強引に連れ出すのは趣味じゃないけど、どうしても放っておけないよ。君、この街に不慣れでしょ?」
「分かりますか?」
「うん。きょろきょろうろうろしていたし、危ないなぁってずっと見ていたからね」
「ずっと……いつからですか?」
そう聞くと割と街に入ってすぐのあたりからだった。
ロベルト曰く懸命にメモを取っている姿は結構浮いていたらしい。
「カモにされているかもしれないし、まぁ悪いようにしないよ。ほら、まだ日も高いし人は大勢いる。変なことをしたら騒げばいいよ」
なるほど一理ある。
アドリアーヌは仕方なくロベルトについていくことにした。
果たしてロベルトが案内してくれたのは確かにこの街では底値と思われる八百屋だった。
よくよく見てみれば今まで調べたどこの八百屋よりも新鮮だし値が安い。
「店主の方、これをもう少し安くできないかしら?」
「えぇ……これ以上は無理だよ。ここら辺ではウチは薄利でやっているんだ」
「まとめ買いするから。ね。あとこの傷物とか小さいのもまとめて買うから!」
大量購入して値を下げてもらうのは基本中の基本だ。
八百屋にとってもこの価格を現金収入で入るのは魅力的なはずだ。
しかし店主は少し悩んでいる様だった。
そんな時ロベルトが口を開いた。
「ダリィのおじさん。ここは僕の顔に免じてどう?この間取れなかったっていう宿屋との契約も僕が取り持ってあげるよ」
「あぁ、あそこの嬢ちゃんはお前さんに惚れてるしなぁ……宿屋の注文も大口だからなぁ」
ロベルトの提案に店主は少し悩んだ後、店主は了解してくれた。
「よし、分かった。それならその価格で」
「ありがとうございます!」
それから交渉して荷物も運んでくれるよう更にロベルトの口添えもあって調整が完了した。
これで当面の食材は安く済んだはずだ。
ほくほくした顔でアドリアーヌは店を後にする。もちろんロベルトの評価は上がった。
満面の笑みで彼にお礼を言う。
「口添えありがとうございます!」
「いや、困っている可憐なお姫様を助けるのは僕の趣味みたいなものだから気にしないで」
何となく突っ込みたくなるが敢えてそこは言わないでおこう。
しかし……と思う。もしかして何か法外な見返りを要求されるのではないか……。
「あの……それで……何か見返りとか……必要ですよね……お金あんまり持ってないのですけど……」
「あはは、本当に気にしないで!言ったろ?趣味みたいなものだよって」
それでも何かお礼をしないと気が済まない。
「私で何かできることならある程度なら力になりますけど」
流石に一夜を共にしてくれとか言われたら困るし、法外なお金を要求されても困るが、それ以外なら力になりたいというのが正直なところだ。
「じゃあさ……君が欲しいものを教えてもらえるかな?」
「私が欲しいもの……ですか?」
「うん」
ニコニコと笑うロベルトを前にアドリアーヌはうーんと唸った。
直近で欲しいものはない。
高価なドレスやアクセサリーには興味が無いし、日用品も困っていない。
嗜好品も現在のところ欲しいとも思っていないのだ。
暫く考えた後、アドリアーヌには一つの考えが浮かんだ。
(そうだ!野菜を自分で育てればある程度は食費が削減されるかも!)
これはナイスアイディアだ。
これが欲しい。これしかない!
だから素直に言ったのだ。
「野菜の苗が欲しいです」
それを聞いたロベルトは盛大に固まった。
どうやら脳の処理がついていかないらしい。
「苗?」
「はい。今一番欲しいものなんです!ダメなら苗を売ってるところを教えてください」
「ぷっ……ははは!そうか。苗ね。覚えておくよ」
「あぁ、いえ。これがお礼になってますか?」
「うん、十分十分。引き留めて悪かったね。楽しい時間をありがとう」
「じゃあ、失礼しますね。本当にありがとうございました」
アドリアーヌはそう言って礼をすると帰路についた。
「ははは……本当に面白い子だな。しばらくは退屈しなさそうだし。……彼女のこと調べてみようかなぁ」
アドリアーヌの後ろを見送ったロベルトがそう呟いた言葉は、もちろんアドリアーヌは届かなかったが。
さて、当のアドリアーヌはと言うと辻馬車に乗って伯爵邸に戻る道すがら、今日の目標を達成してほくほくした気分になっていた。
ロベルトという変な男と出会ったのは微妙なところだが。
「それにしても、あのロベルトって人も、何となく名前と顔を知っているような気もするのよね」
また不意に変な感覚に襲われた。
あのメルナードに移送された時の感覚。
疲れ切った自分がベッドに倒れながら何かの雑誌を読んでいる。
(そう言えば「悠久の時代の中で」の続編が出たのよね。最後までやらないで死んだけど……って……あれ?)
そして思い出したのだ。
攻略対象の名前を。
「……確か……ロベルト……」
あの金髪碧眼のイケメン顔……。
そして気づいたのだ。リオネルのことも。
彼も攻略対象だったはずだ。
「嘘……いやいや……そんなはずは……ない……わよね……」
だがたとえ続編の世界だとしても、自分には関係ないはずだ。
(いやいや……まだ確定じゃないわ。たまたまかも。イケメンなんて皆同じ顔だし。ロベルトなんてよくある名前だし)
それに、彼と関わることはもうないだろう。
街には頻繁に行くわけではないし、相手にも自分の素性も明かしてない。
名前さえ言っていないことに気づいた。
「うん……もし続編の世界だとしても、私はモブキャラに過ぎないわ。それより……」
当面の課題はムルム伯爵家の立て直しだ。
アドリアーヌはそう考えて頭を切り替え、今後の方針について練り始めるのだった。
8
お気に入りに追加
954
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる