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第1章 再会④
しおりを挟む「ただいま」
「お帰り。」
お風呂上りであろう孝之が冷蔵庫からビールを取り出す。
「お前もなんか飲むか?ってか、お前結構酔っているか?」
確かに昔話に花が咲いてちょっと飲みすぎてしまったのかもしれない。
「酔っている…かも。」
「仕方ない奴だな。ほら、緑茶でいいよな。」
孝之はそう言ってペットボトルのお茶をグラスに注いで由希子の前に置く。
その手を思わず由希子はつかんでいた。
酔っている今なら、孝之に向き合えるかも。そう思って意を決して言い出した。
「ねぇ…今日、シない?」
「は?」
「同級生の皆、子供いてさ。みんなの写真見てたらやっぱりほしくて。」
「他は他じゃん」
「孝之は欲しくないの?子供!!」
「今は仕事の時期じゃないか。ローンもあるし。」
「そんなこと言ってたら私産めなくなっちゃうよ。男性は歳をとってもいいけど、女性にはタイムリミットがあるの!!今作らなかったらいつ作るの?!」
「子供は…ものじゃないだろ!」
一気に捲し立てた由希子の言葉を孝之は怒鳴って断ち切った。
静寂。
「もう…疲れた。寝る。」
最初に切り出したのは孝之だった。孝之は由希子の脇を通り過ぎる。
由希子は唇を噛みしめ、涙をこらえるので精一杯だった。
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