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もたらされた情報⑤

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猟師小屋を探る価値は十分にありそうだ。幸い腕に多少は覚えがあるセシリアだったので2人には悪いが単身で乗り込んだ方がいいだろう。
大人数で行けば相手にバレる可能性もある。それに2人も監視がついては動きたくても動けない。スライブとマクシミリアンの監視が入る前に早々に対処しよう。
そんな不穏な事を考えているのが伝わったのか、マクシミリアンが目を細めて威嚇した。

「ライナス様、また何か無謀なことを考えてらっしゃらないですよね。くれぐれも単独では行動はとらないようにしてくださいね」
「わ…ワカッテイルヨ…」
「…本当ですか?そう言って何度も街に行ってらっしゃいますし、前回のサージルラーナンドとの戦いでも本当に…あの時は本当に尻ぬぐいが大変だったんですからね!!」
「あーもう、その話は言わないで!!」
「もし今度変な真似したら、分かってますよね」
「う、うん…それよりもうそろそろマックスも疲れたよね。じゃあ僕はこれで行くよ…」

このままこの場に留まったら何を言われるか分かったものではない。セシリアは早々に退散することにした。
スライブも一緒に退室することになったが、なぜか廊下を一緒に歩いていてもスライブの表情は曇ったままだった。
さっきマックスの復帰を認めたことが不服なのだろうか?

「ルディ、どうしたの?顔怖いよ」
「あ…いえ…。やはりマクシミリアン殿と仲がいいんですね」
「え?まぁ…幼いころから面倒を見てもらっているし付き合いが長いからね」
「ふーん、そうですよね。私が入る隙が無いくらいですしね。私と2人で過ごすのはそんなに嫌ですか」

スライブの少し刺々しい言い方に、セシリアも戸惑ってしまった。
スライブといるのは嫌ではないし、寧ろ2人でいることに慣れてしまっている。嫌だと思うどころか2人でいる時間が心地よいとも思っているのだ。なのに何故こんなに不機嫌なのだろうか?

「えっと…別に嫌じゃないけど。ルディと一緒にいると楽しいし。」
「楽しい?」
「だって街に行った時とても楽しかったから。また一緒に行きたいと思っているくらいには好きだけど」

別にスライブに気を使ってそう言ったわけではなく、本心がポロリと漏れたのだったのだがその事にセシリアは気づいていなかった。
だがそれを聞いたスライブは満面の笑みを浮かべて途端に機嫌が良くなった。

「そうですか!!」
「う、うん…」
「じゃあ、また街に行きましょう」

先ほどの機嫌の悪さが嘘のようにスライブの周りに花が舞っているように見えるのは気のせいだろうか?
セシリアは首を傾げつつ、スライブの後を追ったのだった。
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