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本編
好きです、旦那様(8)
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二人は食事を終えるとそのまま共に食堂を出て、馬車に乗り込み公園へと向かった。馬車の中で終始ご機嫌な彼女をヴァルターはじっと眺めながら、ぽつりと呟く。
「嬉しそうだな」
「ええ、勿論。私、旦那様と一緒にいられてとっても嬉しいですから」
「…そうか」
ヴァルターが眉間に皺を寄せるのが見えて、アデリナは次は何を言うのだろうかと少し期待した。しかし、そのまま何も言わずにその皺が緩んでしまい、彼女は少し残念に思う。
「…なんだ」
「旦那様は、どうですか?」
けれど、言わないなら言わせればいい。ヴァルターは問われると思っていなかったのか、少し目を見開いた後、彼女から目を逸らす。アデリナはじっと根気よく見つめて彼の言葉を待っていると、その視線にはとっくに気づいているのだろう、ヴァルターは暫くして真っ直ぐ彼女に目を向けた。
「そうだな…嬉しい」
「本当に?」
「本当だ」
「ふふっ」
自分から言ってくれるともっと嬉しいが、今はこれで十分だと、アデリナは満足気に笑った。そんなやり取りをしているうちに馬車は目的の場所にたどり着いたようで、二人は馬車から降りる。アデリナは差し出されたヴァルターの腕を取り、いつも歩く散歩道を二人で並んで歩いた。
「よく、ここに来るそうだな」
「ええ。私と同じように、ここに散歩に来る夫人や令嬢もいますので、その方たちと交流を深めに」
朝の公園も立派な社交場、ということだ。相手が愛人を連れている、なんてこともあるので必ずしも声をかける訳ではない。その中で、夫を連れている夫人は稀も稀だ。
(今の私は、その稀な夫人になっているのね)
そんな稀な夫婦は、本当に仲睦まじい夫婦くらいなのだ。アデリナは自分たちが少しでもそれに近づけたと思うと、嬉しかった。
「アデリナは、よくやってくれている」
アデリナがその言葉にヴァルターを見れば、いつの間にか彼は前ではなく彼女を見ていた。彼女が彼を見返すと、自然と二人は足が止まる。アデリナがその言葉の真意を問うようにじっとヴァルターの目を見つめると、彼は彼女の頬に触れた。彼はそのまま顔を近づけ、彼女はその意を理解して目を閉じる。
「嬉しそうだな」
「ええ、勿論。私、旦那様と一緒にいられてとっても嬉しいですから」
「…そうか」
ヴァルターが眉間に皺を寄せるのが見えて、アデリナは次は何を言うのだろうかと少し期待した。しかし、そのまま何も言わずにその皺が緩んでしまい、彼女は少し残念に思う。
「…なんだ」
「旦那様は、どうですか?」
けれど、言わないなら言わせればいい。ヴァルターは問われると思っていなかったのか、少し目を見開いた後、彼女から目を逸らす。アデリナはじっと根気よく見つめて彼の言葉を待っていると、その視線にはとっくに気づいているのだろう、ヴァルターは暫くして真っ直ぐ彼女に目を向けた。
「そうだな…嬉しい」
「本当に?」
「本当だ」
「ふふっ」
自分から言ってくれるともっと嬉しいが、今はこれで十分だと、アデリナは満足気に笑った。そんなやり取りをしているうちに馬車は目的の場所にたどり着いたようで、二人は馬車から降りる。アデリナは差し出されたヴァルターの腕を取り、いつも歩く散歩道を二人で並んで歩いた。
「よく、ここに来るそうだな」
「ええ。私と同じように、ここに散歩に来る夫人や令嬢もいますので、その方たちと交流を深めに」
朝の公園も立派な社交場、ということだ。相手が愛人を連れている、なんてこともあるので必ずしも声をかける訳ではない。その中で、夫を連れている夫人は稀も稀だ。
(今の私は、その稀な夫人になっているのね)
そんな稀な夫婦は、本当に仲睦まじい夫婦くらいなのだ。アデリナは自分たちが少しでもそれに近づけたと思うと、嬉しかった。
「アデリナは、よくやってくれている」
アデリナがその言葉にヴァルターを見れば、いつの間にか彼は前ではなく彼女を見ていた。彼女が彼を見返すと、自然と二人は足が止まる。アデリナがその言葉の真意を問うようにじっとヴァルターの目を見つめると、彼は彼女の頬に触れた。彼はそのまま顔を近づけ、彼女はその意を理解して目を閉じる。
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