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本編
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(……あれ?)
ヴィヴィアンヌはまばたき、内心で首をかしげる。解呪を試み始めた頃はまだ日が高かったはずだが、いまは日が落ちて真っ暗だ。暗闇に目が慣れてくると、ベッドの形とその向こうに人影が見えた。
(騎士さま?)
ヴィヴィアンヌはオリヴィエを探してきょろきょろとあたりを見回す。するとその動きに反応するものがいた。
「ヴィヴィ!?」
驚いたオリヴィエの声がヴィヴィアンヌの耳に届く。同時に魔法の明かりが灯され、部屋全体が照らされた。ヴィヴィアンヌは眩しさに目を細め、声が聞こえた方へと顔を向ける。
「あっ、騎士さま」
ヴィヴィアンヌの隣には探していたオリヴィエの姿があった。オリヴィエはじを心配そうにヴィヴィアンヌを見つめている。
「ヴィヴィ、大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
そう言ったが、ヴィヴィアンヌは魔力のほとんどを解呪に使い、疲労から頭が重くて体がだるかった。ヴィヴィアンヌは疲労感に息を吐いた後、小さく首をかしげてオリヴィエに笑いかける。
「一瞬で時間が進んじゃった」
「……ヴィヴィ、ずっと集中していたからね。気づかないうちにずいぶん時間が経って……もう、夜になっていたんだよ」
「そうなんだ。どうして灯りをつけなかったの?」
部屋の中には魔法で灯せる照明道具が備えつけられている。暗くなればそれを使えばよいはずだが、ヴィヴィアンヌが気づくまで一つも使われていなかった。
「……ヴィヴィの邪魔をしないように、そのままにしていたんだ」
ヴィヴィアンヌが扱っているものは呪いであるため、僅かな気の乱れでも危うくなる可能性がある。そう判断したヴィルジールは集中しているヴィヴィアンヌを刺激しないようオリヴィエにも一切動かないように指示し、自分もまた一切動かず、魔法も使わなかった。
「あっ、そうだ。騎士さま、王妃さまはどうなったの?」
「……それは」
オリヴィエはベッドに目を向ける。ヴィヴィアンヌがつられてベッドに目を向けると、彼女が解呪を試み始めたときと変わらずこんこんと眠り続けている王妃の姿があった。ヴィヴィアンヌが握っている王妃の手にも力はなく、なにも変化がないように見える。
「……王妃さま、まだ起きていないね。……私、うまくいかなかった?」
「ヴィヴィ……」
オリヴィエは目を伏せ、ため息をつくヴィヴィアンヌの肩をそっと抱いた。
(王妃さま、起きて……)
ヴィヴィアンヌは王妃の手を握りしめて強く念じる。しかし反応は見られず、ヴィヴィアンヌは落ち込んでしまった。
「ヴィヴィアンヌ、ありがとう」
落ち込むヴィヴィアンヌにヴィルジールは笑みを浮かべて声をかける。愛する王妃の目覚めをだれよりも強く望んでいるだろうに、落胆する様子は一切見せなかった。
「ごめんね、王さま……私、うまくいかなかったよ」
「なに、まだ一度目さ」
ヴィルジールは国中の有力な魔法使い、医師、怪しい祈祷師までかき集め、考えられるありとあらゆる方法を試し、それでも呪いを解くことはできなかった。魔女の血縁であるヴィヴィアンヌに期待しているが、一度や二度の試みでなされるとまでは思っていない。
「ありがとう、ヴィヴィ。がんばってくれたんだ、うれしいよ」
「でも……」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエによろこんでもらいたい、その想いでここまでやってきた。がんばっても結果が出せていなければ意味がないと落胆して目を伏せる。
「……っ」
そこでだれかが息をのむ音が聞こえ、ヴィヴィアンヌはその音が聞こえた方へと顔を向けた。そこには目を見開いて王妃を見つめるヴィルジールの姿があり、ヴィヴィアンヌは首をかしげる。
「王さま? ……えっ!?」
ヴィルジールの視線を追って王妃に目を向けると、さきほどまでなんの変化もなかった王妃の目が薄っすらと開かれているのが見えてた。ヴィヴィアンヌがオリヴィエを見上げると、彼もまた目を見開いて王妃を見つめている。
「ジャンヌ……?」
ヴィルジールが震える声で王妃に声をかけた。王妃はそれに反応し、眼球を動かしてヴィルジールを目に映す。その反応に椅子を倒して立ち上がったヴィルジールは王妃の手を取り、ゆっくりと話しかける。
「……ジャンヌ……私が、わかるかい……?」
王妃は眼球を動かす。おそらくヴィルジールの言葉に応えたのだろう。ヴィルジールは見る見るうちに目を潤ませ、いまにも涙が零れ落ちそうになった。ヴィルジールがほほ笑みかけると、王妃もわずかに笑んだように見えた。
「ああ、ジャンヌ……!」
しかし、それはひととき限りのことだった。再び王妃の目は伏せられ、静かな呼吸の音だけが部屋に響く。
「……本当に……っ」
ヴィルジールは王妃の手に自身の額をあて、すすり泣きはじめた。オリヴィエも音もなく涙を流し、ヴィヴィアンヌをそっと抱きしめる。二人を交互に眺めながら、ヴィヴィアンヌはオリヴィエに声をかけた。
「……もしかして、王妃さま……目が覚めた?」
「ああ……ひとときだけ……でも……こんな……っ」
オリヴィエの涙声にヴィヴィアンヌは眉尻を下げた。全力で呪いを解こうと試みたが、王妃はひととき意識を取り戻しただけだ。
「騎士さま、泣いているの?」
「う……っ、こ、これは……」
「悲しいの?」
ヴィヴィアンヌが涙を流すときは、欠伸をしたか、悲しいときだけだった。オリヴィエもヴィルジールも泣いているのは、自分がうまくできなかったから悲しいのだろうかと不安になる。その問いにオリヴィエはゆっくりと首を横に振り、涙を拭った。
「……いや、うれしいんだ」
「うれしいのに、涙を流すの?」
「うん。そういう涙もあるんだよ」
「そっか。やったね!」
ヴィヴィアンヌはぴんとこなかったが、オリヴィエの言うことなら正しいのだろうとそれを信じる。オリヴィエがよろこんでいることを知って、ヴィヴィアンヌは笑顔になった。
「……でも、王妃さまはまた眠っているね。どうなったの?」
ヴィヴィアンヌはもう一度王妃に目を向けるが、やはり目を閉じたまま微動だにしていない。
「彼女の中の呪いが、僅かに弱まったようだね。おかげで、一時的に意識が戻ったようだ」
ヴィルジールは顔をあげると、穏やかな笑みを浮かべて顔を上げる。王妃の呪いは完全に解けたわけではないが、意識を取り戻せるほどには呪いを弱体化させられたようだ。
「私、うまくできていた?」
ヴィヴィアンヌが問うと、ヴィルジールは大きくうなずいた。この国の名だたる魔法使いたちがどれほど知を尽くし、力を尽くしても、だれ一人王妃の呪いを弱体化させることはできなかった。たったひとときといえども王妃を目覚めさせることができた、これは大きな前進と言える。
「ああ、君はとてもうまくできていたよ」
「……騎士さま、やったよ!」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエを見上げ、満面の笑みを浮かべる。その笑顔を眺めて同じように笑ったオリヴィエだが、次の瞬間、顔を真っ青にした。
「うわあっ!? ヴィヴィ、大丈夫!?」
「え?」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエの驚きように首をかしげたが、鼻からなにか垂れているのを感じて鼻をすする。鼻腔に鉄の匂いが広がり、不思議に思って手の甲で鼻をこすると、そこに真っ赤な血がにじんでいた。
「あ、あれ……?」
その血が自分のものだと認識できなかったヴィヴィアンヌは再び鼻をこする。さらに手の甲に血が付着し、ようやくそれが自分の鼻からだらだらと流れているものだと気づいてオリヴィエに負けないくらいに顔を真っ青にした。
「騎士さま、血だ!」
ヴィヴィアンヌにとって、鼻血は初めての経験だった。あまりにも驚いたヴィヴィアンヌはそれまでの疲労感もあり、意識を遠くする。
「えっ、ヴィヴィ!?」
オリヴィエの慌てる声が聞こえたのを最後に、ヴィヴィアンヌの意識は途切れた。
ヴィヴィアンヌはまばたき、内心で首をかしげる。解呪を試み始めた頃はまだ日が高かったはずだが、いまは日が落ちて真っ暗だ。暗闇に目が慣れてくると、ベッドの形とその向こうに人影が見えた。
(騎士さま?)
ヴィヴィアンヌはオリヴィエを探してきょろきょろとあたりを見回す。するとその動きに反応するものがいた。
「ヴィヴィ!?」
驚いたオリヴィエの声がヴィヴィアンヌの耳に届く。同時に魔法の明かりが灯され、部屋全体が照らされた。ヴィヴィアンヌは眩しさに目を細め、声が聞こえた方へと顔を向ける。
「あっ、騎士さま」
ヴィヴィアンヌの隣には探していたオリヴィエの姿があった。オリヴィエはじを心配そうにヴィヴィアンヌを見つめている。
「ヴィヴィ、大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
そう言ったが、ヴィヴィアンヌは魔力のほとんどを解呪に使い、疲労から頭が重くて体がだるかった。ヴィヴィアンヌは疲労感に息を吐いた後、小さく首をかしげてオリヴィエに笑いかける。
「一瞬で時間が進んじゃった」
「……ヴィヴィ、ずっと集中していたからね。気づかないうちにずいぶん時間が経って……もう、夜になっていたんだよ」
「そうなんだ。どうして灯りをつけなかったの?」
部屋の中には魔法で灯せる照明道具が備えつけられている。暗くなればそれを使えばよいはずだが、ヴィヴィアンヌが気づくまで一つも使われていなかった。
「……ヴィヴィの邪魔をしないように、そのままにしていたんだ」
ヴィヴィアンヌが扱っているものは呪いであるため、僅かな気の乱れでも危うくなる可能性がある。そう判断したヴィルジールは集中しているヴィヴィアンヌを刺激しないようオリヴィエにも一切動かないように指示し、自分もまた一切動かず、魔法も使わなかった。
「あっ、そうだ。騎士さま、王妃さまはどうなったの?」
「……それは」
オリヴィエはベッドに目を向ける。ヴィヴィアンヌがつられてベッドに目を向けると、彼女が解呪を試み始めたときと変わらずこんこんと眠り続けている王妃の姿があった。ヴィヴィアンヌが握っている王妃の手にも力はなく、なにも変化がないように見える。
「……王妃さま、まだ起きていないね。……私、うまくいかなかった?」
「ヴィヴィ……」
オリヴィエは目を伏せ、ため息をつくヴィヴィアンヌの肩をそっと抱いた。
(王妃さま、起きて……)
ヴィヴィアンヌは王妃の手を握りしめて強く念じる。しかし反応は見られず、ヴィヴィアンヌは落ち込んでしまった。
「ヴィヴィアンヌ、ありがとう」
落ち込むヴィヴィアンヌにヴィルジールは笑みを浮かべて声をかける。愛する王妃の目覚めをだれよりも強く望んでいるだろうに、落胆する様子は一切見せなかった。
「ごめんね、王さま……私、うまくいかなかったよ」
「なに、まだ一度目さ」
ヴィルジールは国中の有力な魔法使い、医師、怪しい祈祷師までかき集め、考えられるありとあらゆる方法を試し、それでも呪いを解くことはできなかった。魔女の血縁であるヴィヴィアンヌに期待しているが、一度や二度の試みでなされるとまでは思っていない。
「ありがとう、ヴィヴィ。がんばってくれたんだ、うれしいよ」
「でも……」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエによろこんでもらいたい、その想いでここまでやってきた。がんばっても結果が出せていなければ意味がないと落胆して目を伏せる。
「……っ」
そこでだれかが息をのむ音が聞こえ、ヴィヴィアンヌはその音が聞こえた方へと顔を向けた。そこには目を見開いて王妃を見つめるヴィルジールの姿があり、ヴィヴィアンヌは首をかしげる。
「王さま? ……えっ!?」
ヴィルジールの視線を追って王妃に目を向けると、さきほどまでなんの変化もなかった王妃の目が薄っすらと開かれているのが見えてた。ヴィヴィアンヌがオリヴィエを見上げると、彼もまた目を見開いて王妃を見つめている。
「ジャンヌ……?」
ヴィルジールが震える声で王妃に声をかけた。王妃はそれに反応し、眼球を動かしてヴィルジールを目に映す。その反応に椅子を倒して立ち上がったヴィルジールは王妃の手を取り、ゆっくりと話しかける。
「……ジャンヌ……私が、わかるかい……?」
王妃は眼球を動かす。おそらくヴィルジールの言葉に応えたのだろう。ヴィルジールは見る見るうちに目を潤ませ、いまにも涙が零れ落ちそうになった。ヴィルジールがほほ笑みかけると、王妃もわずかに笑んだように見えた。
「ああ、ジャンヌ……!」
しかし、それはひととき限りのことだった。再び王妃の目は伏せられ、静かな呼吸の音だけが部屋に響く。
「……本当に……っ」
ヴィルジールは王妃の手に自身の額をあて、すすり泣きはじめた。オリヴィエも音もなく涙を流し、ヴィヴィアンヌをそっと抱きしめる。二人を交互に眺めながら、ヴィヴィアンヌはオリヴィエに声をかけた。
「……もしかして、王妃さま……目が覚めた?」
「ああ……ひとときだけ……でも……こんな……っ」
オリヴィエの涙声にヴィヴィアンヌは眉尻を下げた。全力で呪いを解こうと試みたが、王妃はひととき意識を取り戻しただけだ。
「騎士さま、泣いているの?」
「う……っ、こ、これは……」
「悲しいの?」
ヴィヴィアンヌが涙を流すときは、欠伸をしたか、悲しいときだけだった。オリヴィエもヴィルジールも泣いているのは、自分がうまくできなかったから悲しいのだろうかと不安になる。その問いにオリヴィエはゆっくりと首を横に振り、涙を拭った。
「……いや、うれしいんだ」
「うれしいのに、涙を流すの?」
「うん。そういう涙もあるんだよ」
「そっか。やったね!」
ヴィヴィアンヌはぴんとこなかったが、オリヴィエの言うことなら正しいのだろうとそれを信じる。オリヴィエがよろこんでいることを知って、ヴィヴィアンヌは笑顔になった。
「……でも、王妃さまはまた眠っているね。どうなったの?」
ヴィヴィアンヌはもう一度王妃に目を向けるが、やはり目を閉じたまま微動だにしていない。
「彼女の中の呪いが、僅かに弱まったようだね。おかげで、一時的に意識が戻ったようだ」
ヴィルジールは顔をあげると、穏やかな笑みを浮かべて顔を上げる。王妃の呪いは完全に解けたわけではないが、意識を取り戻せるほどには呪いを弱体化させられたようだ。
「私、うまくできていた?」
ヴィヴィアンヌが問うと、ヴィルジールは大きくうなずいた。この国の名だたる魔法使いたちがどれほど知を尽くし、力を尽くしても、だれ一人王妃の呪いを弱体化させることはできなかった。たったひとときといえども王妃を目覚めさせることができた、これは大きな前進と言える。
「ああ、君はとてもうまくできていたよ」
「……騎士さま、やったよ!」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエを見上げ、満面の笑みを浮かべる。その笑顔を眺めて同じように笑ったオリヴィエだが、次の瞬間、顔を真っ青にした。
「うわあっ!? ヴィヴィ、大丈夫!?」
「え?」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエの驚きように首をかしげたが、鼻からなにか垂れているのを感じて鼻をすする。鼻腔に鉄の匂いが広がり、不思議に思って手の甲で鼻をこすると、そこに真っ赤な血がにじんでいた。
「あ、あれ……?」
その血が自分のものだと認識できなかったヴィヴィアンヌは再び鼻をこする。さらに手の甲に血が付着し、ようやくそれが自分の鼻からだらだらと流れているものだと気づいてオリヴィエに負けないくらいに顔を真っ青にした。
「騎士さま、血だ!」
ヴィヴィアンヌにとって、鼻血は初めての経験だった。あまりにも驚いたヴィヴィアンヌはそれまでの疲労感もあり、意識を遠くする。
「えっ、ヴィヴィ!?」
オリヴィエの慌てる声が聞こえたのを最後に、ヴィヴィアンヌの意識は途切れた。
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