騎士様のアレが気になります!

茜菫

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本編

24-1

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 オリヴィエに抱きしめられたまま、ヴィヴィアンヌは両目をごしごしと手の甲で拭う。鼻を啜りながらもう大丈夫と呟いた彼女を、オリヴィエはそっと離した。

「ヴィヴィアンヌ、一先ず小屋に戻りましょうか。このまま夜になったら、流石に森を歩けないですし」

「…うん」

 見上げた空は、藍色から闇色に染まり始めている。二人はこのまま話し込むわけにもいかず、小屋に戻ることにした。

 ヴィヴィアンヌは洞窟の結界を戻し、行きと同じ様にオリヴィエに抱きいて魔法を使っい、崖を降りる。小屋に戻る頃には空は暗くなり、ヴィヴィアンヌも十分に落ち着きを取り戻していた。

「ヴィヴィアンヌ、何があったのですか?」

「えっと…」

 小屋の中を魔法の明かりで照らし、二人は椅子に座って向かい合う。ヴィヴィアンヌは先程のことを思い出しながら、オリヴィエに見聞きしたことを正直に話し始めた。オリヴィエと同じ服を着た一組の男女を見たこと、彼らがオリヴィエを探していること、そしてルネという女性が彼と結婚してずっと一緒に暮らすと叫んでいたこと。それを聞いたオリヴィエは話の途中で声を上げた。

「えっ、ルネが?僕と?」

「…騎士様、あの人とケッコンするの?」

「いや、しない。…正直、考えたこともなかった」

 オリヴィエにとって、ルネはただの同僚だ。ルネとリュシアンもオリヴィエと同じく王妃に仕える騎士だが、仕えることになったのは彼より数年後のことだ。二人は一緒にいることが多く、オリヴィエは彼らが恋仲だとさえ思っていたくらいだ。そのため、オリヴィエはルネが自分に好意をもっていることに、全く気づいていなかった。

(よかった…騎士様は、あの人とケッコンしないんだ)

 ルネには可哀想な回答だが、ヴィヴィアンヌはほっと胸をなでおろす。そのことに関しては安心できたものの、まだ、彼女の心に影を落とす問題は残っていた。

「…ごめんなさい、騎士様。私、あの人たちに声をかけられたのに、わざとかけなかったの」

「わざと?」

 オリヴィエはその言葉に首を傾げる。まだ出会ってからさほど時間は経っていないものの、オリヴィエにはヴィヴィアンヌがそのようなことをするとは思えなかった。

「その…」

 ヴィヴィアンヌはばつが悪そうに目をそらし、俯いた。言いづらいのか、口を開いては閉じてを繰り返し、ちらちらと彼を上目遣いで見上げている。真面目な話をしているとわかっていても、オリヴィエはその様子が堪らなく可愛く見えて、内心悶えていた。勿論、顔には出さないように気をつけている。
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