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本編
23-1
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ヴィヴィアンヌの心は大いに揺れ動いていた。彼女は記憶にあるオリヴィエの大事なものを思い出して、頭の中に浮かべる。回想するものとしては、あまりにも不適切で卑猥であった。
(…騎士様…)
次に、オリヴィエの赤くなったり青くなったりする表情を思い浮かべ、笑顔を思い浮かべる。ヴィヴィアンヌはそれらが自分ではなくルネにむけられることを考えると、胸が苦しくなった。
「ルネ…」
「きっと、オリヴィエは生きているわ」
「…俺も、生きていてほしいと思っている。だが、このままだと俺たちがオリヴィエを見つける前に死ぬかもしれない」
リュシアンが言うとおり、彼らはここでの探索で危うかったことが何度もあった。正式に訓練を受けた騎士である彼らでも、この魔女の森に住まう魔物を相手にするのは危険だ。この数日、気の休まらない状態で森を探索し続け、彼らの疲労は蓄積され続けている。
「…そんなことを言っても、私は諦めないんだから。オリヴィエを見つけて連れ戻したら、結婚してずーっと一緒に暮らすの」
(ケッコン!)
ヴィヴィアンヌはルネの言葉に反応し、大袈裟に体を震わせた。オリヴィエとずっと一緒に暮らす、それこそヴィヴィアンヌが望むことだった。
(ケッコンしたら、大事なものを見れて…騎士様と、ずっと一緒にいられるの?)
ヴィヴィアンヌはその事実を知り、今まで興味のなかった結婚に興味を持ち始める。同時にオリヴィエの言葉を思い出し、ヴィヴィアンヌは胸を高鳴らせた。
(そうだ。騎士様、私のこと好きだから、そういう仲になりたいって言っていた!)
光明を見出した気になったヴィヴィアンヌは、オリヴィエの元に戻ろうと裾をはらって立ち上がる。すっかり先程の二人のことを意識から追い出しているヴィヴィアンヌだが、獣の咆哮が聞こえて跳ね上がりそうなほど驚き、慌てて崖の下を覗き込んだ。
(えっ、何?!)
ヴィヴィアンヌの目に大型の魔物に襲われる二人が映る。魔物はまるで熊のような後ろ姿で、体は人の倍以上はあった。魔物が振り下ろした腕からルネを守るように、彼女を抱きしめたリュシアンが爪で肩から背を引き裂かれる。
「リュシアン!」
「くそっ」
ルネの泣きそうな悲鳴が森に響く。リュシアンは直ぐ様、迫る魔物から彼女をまもろうと、気力を振り絞って立ち上がった。リュシアンの負った傷はあまりにも大きく、痛みからか脂汗をにじませ、苦痛に顔を歪めている。
「…ルネ!」
リュシアンは続いて立上がったルネを背に庇いながら、魔物から距離を取るためにじりじりと後ろに下がった。ある程度の距離は取れたものの、魔物は再び二人を襲おうと前足を上げ、立ち上がっている。
(…騎士様…)
次に、オリヴィエの赤くなったり青くなったりする表情を思い浮かべ、笑顔を思い浮かべる。ヴィヴィアンヌはそれらが自分ではなくルネにむけられることを考えると、胸が苦しくなった。
「ルネ…」
「きっと、オリヴィエは生きているわ」
「…俺も、生きていてほしいと思っている。だが、このままだと俺たちがオリヴィエを見つける前に死ぬかもしれない」
リュシアンが言うとおり、彼らはここでの探索で危うかったことが何度もあった。正式に訓練を受けた騎士である彼らでも、この魔女の森に住まう魔物を相手にするのは危険だ。この数日、気の休まらない状態で森を探索し続け、彼らの疲労は蓄積され続けている。
「…そんなことを言っても、私は諦めないんだから。オリヴィエを見つけて連れ戻したら、結婚してずーっと一緒に暮らすの」
(ケッコン!)
ヴィヴィアンヌはルネの言葉に反応し、大袈裟に体を震わせた。オリヴィエとずっと一緒に暮らす、それこそヴィヴィアンヌが望むことだった。
(ケッコンしたら、大事なものを見れて…騎士様と、ずっと一緒にいられるの?)
ヴィヴィアンヌはその事実を知り、今まで興味のなかった結婚に興味を持ち始める。同時にオリヴィエの言葉を思い出し、ヴィヴィアンヌは胸を高鳴らせた。
(そうだ。騎士様、私のこと好きだから、そういう仲になりたいって言っていた!)
光明を見出した気になったヴィヴィアンヌは、オリヴィエの元に戻ろうと裾をはらって立ち上がる。すっかり先程の二人のことを意識から追い出しているヴィヴィアンヌだが、獣の咆哮が聞こえて跳ね上がりそうなほど驚き、慌てて崖の下を覗き込んだ。
(えっ、何?!)
ヴィヴィアンヌの目に大型の魔物に襲われる二人が映る。魔物はまるで熊のような後ろ姿で、体は人の倍以上はあった。魔物が振り下ろした腕からルネを守るように、彼女を抱きしめたリュシアンが爪で肩から背を引き裂かれる。
「リュシアン!」
「くそっ」
ルネの泣きそうな悲鳴が森に響く。リュシアンは直ぐ様、迫る魔物から彼女をまもろうと、気力を振り絞って立ち上がった。リュシアンの負った傷はあまりにも大きく、痛みからか脂汗をにじませ、苦痛に顔を歪めている。
「…ルネ!」
リュシアンは続いて立上がったルネを背に庇いながら、魔物から距離を取るためにじりじりと後ろに下がった。ある程度の距離は取れたものの、魔物は再び二人を襲おうと前足を上げ、立ち上がっている。
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