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本編
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「魔女の怨嗟の言葉は狂王に対してのみではなく、血縁にも向けられていたそうです」
「ケツエン?」
「血のつながりのある、……たとえば、親子のつながり等です」
「あっ、わかった。私なら、お母さんとかおばあちゃんね!」
「その通りです」
当時生き残っていた狂王の血縁者は唯一、後に狂王を打ち取ることになる王子のみだ。狂王は王妃や自分の子である王子、王女らさえもその手にかけたが、生まれたときより体が弱く離宮でひっそりと息を潜めるように生きていた王子のみが捨て置かれ、難を逃れたという。
「呪いは狂王にかけられていましたが……彼の死後、その子である王子に気づかれぬうちに引き継がれてしまいました」
「えっ、ひどい! 王さまは……たぶん酷かったけれど……王子さま、なにもしていないのに」
「……だれかを憎んだとき、ただそのだれかと血がつながっているというだけで憎くなることもあります」
冷遇されていた王子は後に狂王を打ち倒すことになるが、魔女にとってはそんな事情など関係ない。親が憎けりゃ子も憎い、それだけのことだ。
「じゃあ、王子さま……いまの王さまは呪われているの?」
「……呪われていた、という方が適切でしょうね」
「どういうこと?」
オリヴィエは右手で頭を抑えてうつむく。脳裏にはこの国の王と新たに王妃となる戦乙女の結婚式の光景が浮かんでいた。
二人の婚姻をだれもが祝福していた、とは言えなかった。けれども多くの民が祝福していたし、オリヴィエは心から二人を、いや、戦乙女のその幸せに満ちた表情をよろこび、婚姻が結ばれることを一番祝福していた。
そんな中で二人の婚姻が正式に結ばれた瞬間、魔女の呪いは発動した。歓喜と祝福にあふれていたその式は一転し、恐怖と悲哀に支配された。
「魔女の呪いは、呪いの対象者がもっとも愛する親族を死に至らしめるものでした」
「えっ」
「……狂王には、そんな存在はいなかったのです。だからずっと、発動しませんでした」
狂王によって愛する孫娘を惨く殺された魔女は狂王に同じ苦しみを味わえと呪いの言葉を吐いた。けれども狂王にそのような存在などいなかった。自分の妻も、子も殺し、唯一残った息子も一切愛してなどいなかったのだから。
「そして、その呪いは引き継がれ……国王陛下が戦乙女と婚姻を結んだときに発動しました」
その深い怨嗟の呪いは狂王が死んでも消えず、そのまま息子に引き継がれた。当時の王子に親族はだれ一人としていなかったため、発動することなくその身に宿っていた。そして気づかぬまま彼が妻を迎え、たった一人の親族を得たとき、魔女の呪いは妻に向かった。
「……王妃陛下は神の声を聞いたという魔法使いです。魔女の呪いに抗い、死は免れましたが……呪いに蝕まれ、いまなお意識を失い眠っています」
「……じゃあ、騎士さまの大切な方って」
「黙っていましたが、私は王妃陛下に忠誠を誓った騎士です」
魔女本人はすでに亡く、国が抱える魔法使いたちはその呪いを解くことができなかった。魔女がなにか残していないか、オリヴィエは一縷の望みを掛けて魔女のすみかを探してこの森にやってきた。
すみかに呪いを解く方法があるとは限らない。いや、むだ骨になる可能性のほうが高いだろう。そんな望み薄な希望に、オリヴィエ以外はだれも命をかけられなかった。
「もちろん、いまも国王陛下は王妃陛下の解呪のために手を尽くしています。ですが、依然としてその手立てすら見つかっていません。私は別の切り口をと考え、陛下の呪いを解く方法を探しにここにきました」
オリヴィエは魔法使いとしての素質はなく、知識もない。王妃のそばではなにもできず、居ても立っても居られずに行動に出たのだ。
「……騎士さまはここに、その方法があると思っているの?」
「魔女はおそらく、この森に……いえ、ここに住んでいたと私は考えています。魔女の名は、アンジェリーヌ。正直、絶対にあるとまでは言えませんが……僅かでも可能性があるかと」
「……アンジェリーヌ……」
ヴィヴィアンヌは血の気の引いた青い顔でその名を口にする。その名を、よく知っていた。
(……ひいおばあちゃん、魔女、だったんだ)
アンジェリーヌこそ、ヴィヴィアンヌの曾祖母だ。その事実を知ったことで、ヴィヴィアンヌはなぜ祖母がけっして森の外に出てはいけない、魔法を使うところを見られてはいけないと言っていたのか確信を得た。
魔法使いであるというだけでも危険であったが、狂王を襲った魔女の血縁となれば、見つかれば確実に殺されるだろう。もちろんそれはヴィヴィアンヌだけでなく、祖母も同じことだ。
当時はだれもが疑心暗鬼で、どこから情報が漏れるかわからなかった。だから祖母は他者との関わりを一切絶つことで惨く殺された娘が遺したヴィヴィアンヌを、自分の母を殺した狂王の魔の手から守ろうとしたのだろう。
(……そっか。お母さんは魔女狩りで殺されて……ひいおばあちゃんも殺されちゃったんだ)
ヴィヴィアンヌは物心ついたときから祖母しかいなかった。曾祖母も、母も、父も、祖母から聞いた話でしか知らない。そのためか、その事実を知ってもそうだったんだという感情しかわかなかった。
「……あの、騎士さま」
「はい?」
「騎士さまは、魔女が憎いの?」
本意でなくとも、ヴィヴィアンヌの曾祖母はオリヴィエの大切な方、つまり彼が仕える王妃に呪いをかけた。王妃のために命の危険を冒せるオリヴィエが、魔女になんの感情も抱かないとは考えられない。
「私は……」
オリヴィエはその問いに目を伏せて眉根を寄せる。その表情だけでも、ヴィヴィアンヌには答えがわかった。
「……正直、少し憎いです。魔女が狂王を襲ったことで魔女狩りは苛烈になりましたし、呪いも……結局は狂王本人にはなんの損害も与えることはできず、王妃陛下を蝕みましたから」
ヴィヴィアンヌはうつむき、自分の両手を握りしめる。オリヴィエの言うことは尤もだとヴィヴィアンヌも思う。
(……騎士さま、私が魔女のケツエンだって知ったら……私のこと、憎くなるのかな)
だれかを憎んだときに血がつながっているというだけで憎くなることもある、オリヴィエはそう言った。それはオリヴィエ自身にも言えるのではないか。そう思うと、ヴィヴィアンヌは魔女の血縁であることが負い目になってしまった。
「そっか……うん。私、がんばるね」
「……ヴィヴィアンヌ、ありがとう。けれども、無理はしないでください」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエの気遣う言葉に曖昧に笑った。ヴィヴィアンヌはオリヴィエの大切な方を、曾祖母が呪ってしまったと後ろめたさを感じている。多少の無理をしてでもなんとかしなければと考えていた。
ヴィヴィアンヌは曾祖母は優しくてとても強い人だと祖母から聞いていた。ヴィヴィアンヌの母や彼女が生まれたときはおおいによろこび、祝福し、愛していたと。話に聞いていた曾祖母がだれかを呪うなど、ヴィヴィアンヌには想像もできなかった。
(……ひいおばあちゃん、どうして……)
所詮、ヴィヴィアンヌは話に聞いていただけだ。曾祖母本人に直接会ったことはあるのかもしれないが、記憶にはない。曾祖母が本当はどんな人物なのか、愛する孫娘を殺されてどれほどの憎しみを抱いたのか、ヴィヴィアンヌには想像もつかないし理解もできない。
人と関わってこなかったヴィヴィアンヌはだれかを憎んだことなどなかった。言葉を知っていてもそれがどんな感情なのかわからず、故にその感情からなにが生まれるのかわからない。
(……怖いよ)
わからないからこそ怖い。もしオリヴィエがヴィヴィアンヌを憎んだとしたら、その憎しみが彼にどのような行動をとらせるのか。ヴィヴィアンヌは怖くてたまらなかった。
「ケツエン?」
「血のつながりのある、……たとえば、親子のつながり等です」
「あっ、わかった。私なら、お母さんとかおばあちゃんね!」
「その通りです」
当時生き残っていた狂王の血縁者は唯一、後に狂王を打ち取ることになる王子のみだ。狂王は王妃や自分の子である王子、王女らさえもその手にかけたが、生まれたときより体が弱く離宮でひっそりと息を潜めるように生きていた王子のみが捨て置かれ、難を逃れたという。
「呪いは狂王にかけられていましたが……彼の死後、その子である王子に気づかれぬうちに引き継がれてしまいました」
「えっ、ひどい! 王さまは……たぶん酷かったけれど……王子さま、なにもしていないのに」
「……だれかを憎んだとき、ただそのだれかと血がつながっているというだけで憎くなることもあります」
冷遇されていた王子は後に狂王を打ち倒すことになるが、魔女にとってはそんな事情など関係ない。親が憎けりゃ子も憎い、それだけのことだ。
「じゃあ、王子さま……いまの王さまは呪われているの?」
「……呪われていた、という方が適切でしょうね」
「どういうこと?」
オリヴィエは右手で頭を抑えてうつむく。脳裏にはこの国の王と新たに王妃となる戦乙女の結婚式の光景が浮かんでいた。
二人の婚姻をだれもが祝福していた、とは言えなかった。けれども多くの民が祝福していたし、オリヴィエは心から二人を、いや、戦乙女のその幸せに満ちた表情をよろこび、婚姻が結ばれることを一番祝福していた。
そんな中で二人の婚姻が正式に結ばれた瞬間、魔女の呪いは発動した。歓喜と祝福にあふれていたその式は一転し、恐怖と悲哀に支配された。
「魔女の呪いは、呪いの対象者がもっとも愛する親族を死に至らしめるものでした」
「えっ」
「……狂王には、そんな存在はいなかったのです。だからずっと、発動しませんでした」
狂王によって愛する孫娘を惨く殺された魔女は狂王に同じ苦しみを味わえと呪いの言葉を吐いた。けれども狂王にそのような存在などいなかった。自分の妻も、子も殺し、唯一残った息子も一切愛してなどいなかったのだから。
「そして、その呪いは引き継がれ……国王陛下が戦乙女と婚姻を結んだときに発動しました」
その深い怨嗟の呪いは狂王が死んでも消えず、そのまま息子に引き継がれた。当時の王子に親族はだれ一人としていなかったため、発動することなくその身に宿っていた。そして気づかぬまま彼が妻を迎え、たった一人の親族を得たとき、魔女の呪いは妻に向かった。
「……王妃陛下は神の声を聞いたという魔法使いです。魔女の呪いに抗い、死は免れましたが……呪いに蝕まれ、いまなお意識を失い眠っています」
「……じゃあ、騎士さまの大切な方って」
「黙っていましたが、私は王妃陛下に忠誠を誓った騎士です」
魔女本人はすでに亡く、国が抱える魔法使いたちはその呪いを解くことができなかった。魔女がなにか残していないか、オリヴィエは一縷の望みを掛けて魔女のすみかを探してこの森にやってきた。
すみかに呪いを解く方法があるとは限らない。いや、むだ骨になる可能性のほうが高いだろう。そんな望み薄な希望に、オリヴィエ以外はだれも命をかけられなかった。
「もちろん、いまも国王陛下は王妃陛下の解呪のために手を尽くしています。ですが、依然としてその手立てすら見つかっていません。私は別の切り口をと考え、陛下の呪いを解く方法を探しにここにきました」
オリヴィエは魔法使いとしての素質はなく、知識もない。王妃のそばではなにもできず、居ても立っても居られずに行動に出たのだ。
「……騎士さまはここに、その方法があると思っているの?」
「魔女はおそらく、この森に……いえ、ここに住んでいたと私は考えています。魔女の名は、アンジェリーヌ。正直、絶対にあるとまでは言えませんが……僅かでも可能性があるかと」
「……アンジェリーヌ……」
ヴィヴィアンヌは血の気の引いた青い顔でその名を口にする。その名を、よく知っていた。
(……ひいおばあちゃん、魔女、だったんだ)
アンジェリーヌこそ、ヴィヴィアンヌの曾祖母だ。その事実を知ったことで、ヴィヴィアンヌはなぜ祖母がけっして森の外に出てはいけない、魔法を使うところを見られてはいけないと言っていたのか確信を得た。
魔法使いであるというだけでも危険であったが、狂王を襲った魔女の血縁となれば、見つかれば確実に殺されるだろう。もちろんそれはヴィヴィアンヌだけでなく、祖母も同じことだ。
当時はだれもが疑心暗鬼で、どこから情報が漏れるかわからなかった。だから祖母は他者との関わりを一切絶つことで惨く殺された娘が遺したヴィヴィアンヌを、自分の母を殺した狂王の魔の手から守ろうとしたのだろう。
(……そっか。お母さんは魔女狩りで殺されて……ひいおばあちゃんも殺されちゃったんだ)
ヴィヴィアンヌは物心ついたときから祖母しかいなかった。曾祖母も、母も、父も、祖母から聞いた話でしか知らない。そのためか、その事実を知ってもそうだったんだという感情しかわかなかった。
「……あの、騎士さま」
「はい?」
「騎士さまは、魔女が憎いの?」
本意でなくとも、ヴィヴィアンヌの曾祖母はオリヴィエの大切な方、つまり彼が仕える王妃に呪いをかけた。王妃のために命の危険を冒せるオリヴィエが、魔女になんの感情も抱かないとは考えられない。
「私は……」
オリヴィエはその問いに目を伏せて眉根を寄せる。その表情だけでも、ヴィヴィアンヌには答えがわかった。
「……正直、少し憎いです。魔女が狂王を襲ったことで魔女狩りは苛烈になりましたし、呪いも……結局は狂王本人にはなんの損害も与えることはできず、王妃陛下を蝕みましたから」
ヴィヴィアンヌはうつむき、自分の両手を握りしめる。オリヴィエの言うことは尤もだとヴィヴィアンヌも思う。
(……騎士さま、私が魔女のケツエンだって知ったら……私のこと、憎くなるのかな)
だれかを憎んだときに血がつながっているというだけで憎くなることもある、オリヴィエはそう言った。それはオリヴィエ自身にも言えるのではないか。そう思うと、ヴィヴィアンヌは魔女の血縁であることが負い目になってしまった。
「そっか……うん。私、がんばるね」
「……ヴィヴィアンヌ、ありがとう。けれども、無理はしないでください」
ヴィヴィアンヌはオリヴィエの気遣う言葉に曖昧に笑った。ヴィヴィアンヌはオリヴィエの大切な方を、曾祖母が呪ってしまったと後ろめたさを感じている。多少の無理をしてでもなんとかしなければと考えていた。
ヴィヴィアンヌは曾祖母は優しくてとても強い人だと祖母から聞いていた。ヴィヴィアンヌの母や彼女が生まれたときはおおいによろこび、祝福し、愛していたと。話に聞いていた曾祖母がだれかを呪うなど、ヴィヴィアンヌには想像もできなかった。
(……ひいおばあちゃん、どうして……)
所詮、ヴィヴィアンヌは話に聞いていただけだ。曾祖母本人に直接会ったことはあるのかもしれないが、記憶にはない。曾祖母が本当はどんな人物なのか、愛する孫娘を殺されてどれほどの憎しみを抱いたのか、ヴィヴィアンヌには想像もつかないし理解もできない。
人と関わってこなかったヴィヴィアンヌはだれかを憎んだことなどなかった。言葉を知っていてもそれがどんな感情なのかわからず、故にその感情からなにが生まれるのかわからない。
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わからないからこそ怖い。もしオリヴィエがヴィヴィアンヌを憎んだとしたら、その憎しみが彼にどのような行動をとらせるのか。ヴィヴィアンヌは怖くてたまらなかった。
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