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本編
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その日の夜、ヴィヴィアンヌはオリヴィエの治療をしようとしていた。オリヴィエの寝息を聞きながら右腕の状態を確認する。すでに傷口はきれいに塞がっており、これ以上魔法を施さずともこのまま回復が見込めるだろう。
「……あっ、足が先かな」
ヴィヴィアンヌは夕食時の会話を思い出し、オリヴィエの右足に目を向ける。足が動かせるようになれば、オリヴィエはこの森を抜けることができるはずだ。ヴィヴィアンヌは早速治癒魔法を使おうと足に触れるが、そこで彼女の中の悪魔が囁く。
(……治りが遅かったら、騎士さま、もっとここにいてくれるんじゃない?)
その囁きにヴィヴィアンヌは手を止めた。オリヴィエと共に過ごしたのはたった数日のこと。けれどもヴィヴィアンヌにとってはその数日がいままで生きてきた中でもっとも楽しい時間だった。ヴィヴィアンヌは知らなければ感じることもなかった憧れと寂しさに息が止まる。
「……だめだめ。騎士さまは戻らなきゃいけないんだから」
ヴィヴィアンヌは深く息を吐くと、治癒魔法を使った。けっして手を抜かず、いまのヴィヴィアンヌが扱える最上級の魔法だ。大量の魔力を消費し、疲労に肩をおとしたヴィヴィアンヌはオリヴィエの右足をなでてつぶやく。
「……騎士さま、早く良くなると……」
ヴィヴィアンヌはそこで言葉を止めた。いつも夜の治療を終えるたび、眠っているオリヴィエにかけていた言葉だ。けれども、今夜はその続きを言えなかった。
「……ならなかったら、いいのにな」
ヴィヴィアンヌは彼女自身が戸惑うほどの暗い感情を堪えきれず、吐露するようにつぶやく。そのままベッドすぐ横の、布を一枚敷いただけの床にごろりと寝転がった。魔力を消耗して疲労していたためか、ヴィヴィアンヌはすぐに眠りについた。
静まり返った小屋の中、オリヴィエはゆっくりと上体を起こす。ヴィヴィアンヌが治療をしている間狸寝入りをしていたオリヴィエは、眠った彼女をじっと見つめた。
『騎士さま、ずっとここにいてくれたらいいのに……』
寂しそうな表情でそうつぶやくヴィヴィアンヌの姿が、オリヴィエの頭の中を占める。実際はオリヴィエは目を瞑っていたためなにも見えていなかったし、ヴィヴィアンヌはそんなことは言っていないのですべて彼の妄想だ。
(……どうしよう、かわいすぎる……!)
妄想ではあるが、ヴィヴィアンヌがオリヴィエとの別れを嫌がっているのは確かだ。そして、オリヴィエにもその気持ちがある。
(……ではなくて。なるほど……ヴィヴィアンヌは魔法使いだったのか)
オリヴィエは自分の右足の状態を確認し、格段に良くなっていることに感心していた。治癒魔法は扱えるものが少ない希少な魔法だ。そのような魔法を扱えるヴィヴィアンヌは非常に優秀な魔法使いであると確信できる。
(魔法使いだから……ここに隠れ住んでいたのか)
狂王の魔女狩りの被害にあったのは大半が魔法使い、または魔法使いと呼べるほどでなくても人より扱えたものたちだ。魔女狩りはこの国の魔法技術を大きく衰退させる原因にもなっていた。
ヴィヴィアンヌの祖母は彼女を狂王の狂気から守るために、この恐ろしい魔女の森に隠れたのだろう。いつかヴィヴィアンヌが一人きりになるとわかっていても、彼女を死に追いやろうとする脅威から守るために。
だが、狂王の時代は終わった。いまは新たな王の元で、魔法使いは丁重に扱われている。
(なら、僕がヴィヴィアンヌを連れ出したって……いいんじゃないか?)
オリヴィエは思いついたそれを首を横に振ってかき消した。祖母の行動理由は想像の範疇でしかなく、ヴィヴィアンヌ自身が外に出ることを望んでいるのかどうかはわからない。
(いや……僕にはやるべきことがあるはずだ)
なにより、オリヴィエはある目的のためにこの森に足を踏み入れた。それを達成するまで、ほかのことに気を取られている場合はなかった。
(……終わったら……終わらせるためにも……)
オリヴィエは僅かな罪悪感とともに、目を瞑って眠りにつく。しばらくは眠れなかったが、浅い眠りで夜を明かした。
翌朝、目が覚めたヴィヴィアンヌは顔を洗い、魔法で桶に水を注いだ。布を浸し、絞って桶の縁にかけると、そっとベッドに近づき眠るオリヴィエに声をかける。
「騎士さま、朝だよ~」
「ん……」
昨夜はなかなか眠れなかったオリヴィエは起きるのがつらそうだ。動かせるようになった右手で目をこすりながらゆっくりと上体を起こす。
「……おはよう、ヴィヴィアンヌ」
「おはよう、騎士さま。顔、拭くね」
ヴィヴィアンヌはぬらした布を手に取り、顔を拭おうと手を伸ばす。両腕を動かせなかったオリヴィエのために毎朝やっていたことだ。オリヴィエは手が届く前にその手を取り、ヴィヴィアンヌは止められて不思議そうに首をかしげた。
「……ありがとう。片腕を動かせるようになりましたから、自分でやります」
「あっ、……そっかぁ。はい、どうぞ」
ヴィヴィアンヌは少し残念そうな声をあげつつ、オリヴィエに布を手渡した。くすぐったそうにしたり、恥ずかしそうにしたり、ときには加減を誤ってしまってしかめさせたりと、オリヴィエの表情が変わるのを見るのが楽しみの一つだった。
(……こういうのも、なくなっちゃうんだな)
残念がるヴィヴィアンヌを後目にオリヴィエは片手でさっと顔を拭う。オリヴィエが支度を終えると、ヴィヴィアンヌは布を受け取り桶に戻して抱え上げた。
「じゃあ、食べるもの作ってくるね」
ヴィヴィアンヌは桶を抱えて小屋を出ると、水を捨て桶を地に置く。庭の片隅の焚き火跡に新たに薪を積み、つぼに水と木の実を注ぎ込んだ。
(今日も豪華にしちゃおう!)
ヴィヴィアンヌは畑から芋を掘り起こし、水で濯いでつぼに放り込む。火をつけようとしたところで後ろから声をかけられた。
「……ヴィヴィアンヌ」
「えっ、騎士さま!?」
驚いたヴィヴィアンヌは振り返り、両手を後ろに隠す。見開いた目には壁に手をついて立つオリヴィエの姿が映っていた。オリヴィエは右足を引きずりながら、右手で壁を伝って外に出てきたようだ。
「どっ、どうしたの?」
ヴィヴィアンヌは魔法を使って火を熾そうとしていたため、見られてはまずいと慌てる。オリヴィエはそれを気にした様子はなく、目を積み上げられた薪に向けた。
「……火を熾そうとしていたのですか?」
「えっと……」
ヴィヴィアンヌは魔法が使えるため、種火もなければ火を熾すための道具も持ち合わせていない。魔法使いであるヴィヴィアンヌは嘘をつきたくなくて、どう答えればよいのかわからずに口ごもった。
「私がやりますよ」
「え? でも……」
「いつもお世話になっていますから。これくらいのことなら、私もできます」
オリヴィエはそう言って笑うと、魔法を使って火を熾した。薪に火がつき、ヴィヴィアンヌは驚きに目をまんまるに見開く。
「騎士さま、魔法が使えるの!?」
「……これくらいの簡単なものなら、大抵の人は使えますよ」
水を生み出すなど物質を操作する魔法は高度だが、現象を起こすものならば比較的容易だ。
「そうなんだ……外の人は魔法が使えないんだと思っていた……」
そう思うのも無理はない。ヴィヴィアンヌは祖母から、けっして魔法を使うところを見られてはいけないと言い聞かされていたのだから。
(やっぱり、魔法が使えることを隠すように言われていたんだな)
オリヴィエは驚くヴィヴィアンヌの様子に苦笑いする。オリヴィエは外に用などなく、理由をつけて自分が魔法を使えることをヴィヴィアンヌに見せたかっただけだ。魔法はだれでも使えるのだから、使えることを隠す必要はないと認識させるために。
「……ヴィヴィアンヌは、魔法を使えないのですか?」
「ううん、使えるよ」
オリヴィエの目論見通り、ヴィヴィアンヌは魔法を使えることをあっさりと認めた。ヴィヴィアンヌの純粋さにオリヴィエは罪悪感が強くなっていった。
「……あっ、足が先かな」
ヴィヴィアンヌは夕食時の会話を思い出し、オリヴィエの右足に目を向ける。足が動かせるようになれば、オリヴィエはこの森を抜けることができるはずだ。ヴィヴィアンヌは早速治癒魔法を使おうと足に触れるが、そこで彼女の中の悪魔が囁く。
(……治りが遅かったら、騎士さま、もっとここにいてくれるんじゃない?)
その囁きにヴィヴィアンヌは手を止めた。オリヴィエと共に過ごしたのはたった数日のこと。けれどもヴィヴィアンヌにとってはその数日がいままで生きてきた中でもっとも楽しい時間だった。ヴィヴィアンヌは知らなければ感じることもなかった憧れと寂しさに息が止まる。
「……だめだめ。騎士さまは戻らなきゃいけないんだから」
ヴィヴィアンヌは深く息を吐くと、治癒魔法を使った。けっして手を抜かず、いまのヴィヴィアンヌが扱える最上級の魔法だ。大量の魔力を消費し、疲労に肩をおとしたヴィヴィアンヌはオリヴィエの右足をなでてつぶやく。
「……騎士さま、早く良くなると……」
ヴィヴィアンヌはそこで言葉を止めた。いつも夜の治療を終えるたび、眠っているオリヴィエにかけていた言葉だ。けれども、今夜はその続きを言えなかった。
「……ならなかったら、いいのにな」
ヴィヴィアンヌは彼女自身が戸惑うほどの暗い感情を堪えきれず、吐露するようにつぶやく。そのままベッドすぐ横の、布を一枚敷いただけの床にごろりと寝転がった。魔力を消耗して疲労していたためか、ヴィヴィアンヌはすぐに眠りについた。
静まり返った小屋の中、オリヴィエはゆっくりと上体を起こす。ヴィヴィアンヌが治療をしている間狸寝入りをしていたオリヴィエは、眠った彼女をじっと見つめた。
『騎士さま、ずっとここにいてくれたらいいのに……』
寂しそうな表情でそうつぶやくヴィヴィアンヌの姿が、オリヴィエの頭の中を占める。実際はオリヴィエは目を瞑っていたためなにも見えていなかったし、ヴィヴィアンヌはそんなことは言っていないのですべて彼の妄想だ。
(……どうしよう、かわいすぎる……!)
妄想ではあるが、ヴィヴィアンヌがオリヴィエとの別れを嫌がっているのは確かだ。そして、オリヴィエにもその気持ちがある。
(……ではなくて。なるほど……ヴィヴィアンヌは魔法使いだったのか)
オリヴィエは自分の右足の状態を確認し、格段に良くなっていることに感心していた。治癒魔法は扱えるものが少ない希少な魔法だ。そのような魔法を扱えるヴィヴィアンヌは非常に優秀な魔法使いであると確信できる。
(魔法使いだから……ここに隠れ住んでいたのか)
狂王の魔女狩りの被害にあったのは大半が魔法使い、または魔法使いと呼べるほどでなくても人より扱えたものたちだ。魔女狩りはこの国の魔法技術を大きく衰退させる原因にもなっていた。
ヴィヴィアンヌの祖母は彼女を狂王の狂気から守るために、この恐ろしい魔女の森に隠れたのだろう。いつかヴィヴィアンヌが一人きりになるとわかっていても、彼女を死に追いやろうとする脅威から守るために。
だが、狂王の時代は終わった。いまは新たな王の元で、魔法使いは丁重に扱われている。
(なら、僕がヴィヴィアンヌを連れ出したって……いいんじゃないか?)
オリヴィエは思いついたそれを首を横に振ってかき消した。祖母の行動理由は想像の範疇でしかなく、ヴィヴィアンヌ自身が外に出ることを望んでいるのかどうかはわからない。
(いや……僕にはやるべきことがあるはずだ)
なにより、オリヴィエはある目的のためにこの森に足を踏み入れた。それを達成するまで、ほかのことに気を取られている場合はなかった。
(……終わったら……終わらせるためにも……)
オリヴィエは僅かな罪悪感とともに、目を瞑って眠りにつく。しばらくは眠れなかったが、浅い眠りで夜を明かした。
翌朝、目が覚めたヴィヴィアンヌは顔を洗い、魔法で桶に水を注いだ。布を浸し、絞って桶の縁にかけると、そっとベッドに近づき眠るオリヴィエに声をかける。
「騎士さま、朝だよ~」
「ん……」
昨夜はなかなか眠れなかったオリヴィエは起きるのがつらそうだ。動かせるようになった右手で目をこすりながらゆっくりと上体を起こす。
「……おはよう、ヴィヴィアンヌ」
「おはよう、騎士さま。顔、拭くね」
ヴィヴィアンヌはぬらした布を手に取り、顔を拭おうと手を伸ばす。両腕を動かせなかったオリヴィエのために毎朝やっていたことだ。オリヴィエは手が届く前にその手を取り、ヴィヴィアンヌは止められて不思議そうに首をかしげた。
「……ありがとう。片腕を動かせるようになりましたから、自分でやります」
「あっ、……そっかぁ。はい、どうぞ」
ヴィヴィアンヌは少し残念そうな声をあげつつ、オリヴィエに布を手渡した。くすぐったそうにしたり、恥ずかしそうにしたり、ときには加減を誤ってしまってしかめさせたりと、オリヴィエの表情が変わるのを見るのが楽しみの一つだった。
(……こういうのも、なくなっちゃうんだな)
残念がるヴィヴィアンヌを後目にオリヴィエは片手でさっと顔を拭う。オリヴィエが支度を終えると、ヴィヴィアンヌは布を受け取り桶に戻して抱え上げた。
「じゃあ、食べるもの作ってくるね」
ヴィヴィアンヌは桶を抱えて小屋を出ると、水を捨て桶を地に置く。庭の片隅の焚き火跡に新たに薪を積み、つぼに水と木の実を注ぎ込んだ。
(今日も豪華にしちゃおう!)
ヴィヴィアンヌは畑から芋を掘り起こし、水で濯いでつぼに放り込む。火をつけようとしたところで後ろから声をかけられた。
「……ヴィヴィアンヌ」
「えっ、騎士さま!?」
驚いたヴィヴィアンヌは振り返り、両手を後ろに隠す。見開いた目には壁に手をついて立つオリヴィエの姿が映っていた。オリヴィエは右足を引きずりながら、右手で壁を伝って外に出てきたようだ。
「どっ、どうしたの?」
ヴィヴィアンヌは魔法を使って火を熾そうとしていたため、見られてはまずいと慌てる。オリヴィエはそれを気にした様子はなく、目を積み上げられた薪に向けた。
「……火を熾そうとしていたのですか?」
「えっと……」
ヴィヴィアンヌは魔法が使えるため、種火もなければ火を熾すための道具も持ち合わせていない。魔法使いであるヴィヴィアンヌは嘘をつきたくなくて、どう答えればよいのかわからずに口ごもった。
「私がやりますよ」
「え? でも……」
「いつもお世話になっていますから。これくらいのことなら、私もできます」
オリヴィエはそう言って笑うと、魔法を使って火を熾した。薪に火がつき、ヴィヴィアンヌは驚きに目をまんまるに見開く。
「騎士さま、魔法が使えるの!?」
「……これくらいの簡単なものなら、大抵の人は使えますよ」
水を生み出すなど物質を操作する魔法は高度だが、現象を起こすものならば比較的容易だ。
「そうなんだ……外の人は魔法が使えないんだと思っていた……」
そう思うのも無理はない。ヴィヴィアンヌは祖母から、けっして魔法を使うところを見られてはいけないと言い聞かされていたのだから。
(やっぱり、魔法が使えることを隠すように言われていたんだな)
オリヴィエは驚くヴィヴィアンヌの様子に苦笑いする。オリヴィエは外に用などなく、理由をつけて自分が魔法を使えることをヴィヴィアンヌに見せたかっただけだ。魔法はだれでも使えるのだから、使えることを隠す必要はないと認識させるために。
「……ヴィヴィアンヌは、魔法を使えないのですか?」
「ううん、使えるよ」
オリヴィエの目論見通り、ヴィヴィアンヌは魔法を使えることをあっさりと認めた。ヴィヴィアンヌの純粋さにオリヴィエは罪悪感が強くなっていった。
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