黒猫と暮らす転移聖女（60歳）の物語

ばあちゃん今更気が付く

鍋を持って帰宅。
いつの間にか伊藤さんも帰宅。
鍋を空にしたから、ハウスの台所でお湯を沸かす。

はあー、やはり街行かなきゃダメかなぁ～せめてもうヒトツ鍋欲しいなぁ。
ヤカンとかフライパンなんて贅沢言わないからさ。

収納庫からスティックコーヒーを持ってくる。

あれ？
なんか収納庫の荷物に違和感。
なんだろ？
何が違和感なんだろ？

首を傾げながら収納庫を出てテーブルにつく。
木で出来たコップにスティックコーヒーを入れて沸かしたお湯を注ぐ。

この、木で出来た食器って中々いいよね。
味がある。
ボウル状の器が4つ、皿が4枚、コップが2つ、スプーンとフォークが2つづつ。
残念乍らお箸は無かったケド、自分で作った。
果物山さんちの枝を工作した。
あと、何故かちょいと深めの皿がある。
どうやら猫用みたいだな、と思い
伊藤さんのごはんを入れてる。

あ

違和感わかった！
車内にあった伊藤さんのごはんを、収納庫に移動させてそこからごはんを持ち出しているのに、最初に入れた個数から減ってない！？
いや、持ち出した時は減ってる。

伊藤さんのごはん、「にゃんこスプーン」印のマグロ缶詰めが減ってない。
慌てて収納庫に降りる。

缶詰め確認。
うん。出した分減ってる。
と、言う事は？
まさか補充されてる？

こんな時こそ画面出ろ！

じ～

ぽよんふよん

収納庫ベッドを睨みつけていたら、慌てた様子で画面が表れた。

●『地下型無限収納庫』

『補充型時間停止収納庫』
『24時間で収納庫から出された品物を補充します』
『常温でしか保存できません』
『保温冷温状態での保存はマジックボックスにお願いします』

●『収納庫ベッド説明書』

元の世界の羽毛布団、枕、毛布、敷き布団
マットレスは女神達特性（軽い）
枕には『悪夢を見なくて安眠できる』効果
羽毛布団、敷き布団セットで『疲労軽減効果』
マットレスは『腰痛防止効果』


…地味に腰痛防止効果はありがたいな。
じゃなくてさ、無限？無限って何？
収納庫にある品物は、使ったら補填されるのかい。

あー、だから向こうから持ってきたのって
みんな新品なヤツばっかりだったんだ。
封を開けたフリカケとか醤油とかは全く無かったからさ。
服なんかは持ってきたけど、ね。
文明が違うんだろうな、きっと。

文明かぁ～…どんだけ違うんだろ～…いっぺん街まで行ってみようかなぁ～どうしようかなぁ～

遠いしなぁ…一度行かなきゃ転移ポイント作れないし。
そぅ、色々実験して転移する事が出来たんだわ。
目視距離から始めて行った場所思い出して、とか。
楽しかった。

ちょいと計画しよっかな。
お弁当作ってカートあるから疲れたら座れるし、橋までは車でいくし。
距離わからんから最悪街でお泊りかな！

は！

この格好で行けるだろうか？
見るからに怪しいかもしれん。
どうしよう？
ぐがが
踏ん切りが付かない。

そもそも街には入れるのか。
そもそも人間がいるのか。
そもそも変えられた硬貨達は使えるのか。
1番の問題は、…
そもそも言葉が解るのか。