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見つかるのは時間の問題
赤ん坊の俺(中身は高校生だが)でも絶体絶命なのは分かる
捕まったらどんな目に合うのやら
女神(仮)の依頼もこなせず終わってしまうのか…
困る
大変困る
何かないか
俺に出来ることは
小さい物音がした
頭の後ろなので見えないが頑張って首を捻ろうとするが、エルザ(仮)の物理的な力が強すぎて身動きができない
音の方向から察するに多分床だ
エルザ(仮)が息を飲む
ジ・エンド?
ナツ、今でも君を心から愛している
1度も言ったことないけど
こんな異世界でさえ辺鄙な場所で謎に赤ん坊になったりしたけど1秒も君のことを忘れたことは無い
こんなことならキスしとけばよかった
付き合って1週間なら早すぎるかなとか遠慮したのが良くなかった
急に異世界に転生してそのまま会えないなんてこともあるんだな
多分ハレー彗星の周期より珍しいけど
いや、気づいてないだけでありふれてんのかな
「…あなたは」
思わず漏れてしまったかのようにエルザ(仮)の口から言葉が囁かれる
それからコクリと小さく頷いた
あー
味方登場?
床下に脱出路でもあったのか?
「レオ、捕まっててね」
待て待て俺はまだ言葉が通じない予定の坊やなんだぜ?
でも事は急を要する
とりあえずエルザ(仮)の胸元の服を掴んでおく
ナツ、これは不可抗力だ
他に捕まるところがないから仕方なくだし、結構デカいので触らないのはどちらにしても無理なんだ
許してくれ―
エルザ(仮)は唐突に立ち上がると窓を蹴破って飛び出す
1階(ハイハイしながら家中冒険したので家の見取り図はバッチリだ)とはいえ、赤ちゃんを抱きしめながらのアクションとしてはまあまあ荒い
しかも俺がケガしないようにしっかりエプロンで覆ってだ
おかげで突然世界はピンクと白のストライプというメルヘンな景色になった
これが人生最後の景色でないといいんだが
エルザ(仮)は全力疾走している
耳元でなる風の音からまあまぁなスピードが出てると思う
原付くらいのスピードは間違いなく出てるし下手したらもっと早い
何者なんだこの人
家の周りは森のはずなのに枝とか葉とか当たらない
足音が急にするようになったので舗装された道にでも出たのだろうか
ちょっとエプロンを外して欲しい
ほんの少し浮遊感を感じてから安定した
どうやらエルザ(仮)は座ったようだ
揺れているところからして乗り物に乗ったのだろう
「助かったわ
ありがとう」
エルザ(仮)が話しかける
誰かいるのだろう
エプロンが急に取り払われる
うお
眩しッ
いまなら某浮遊都市で野望潰えたサングラスの男の気持ちが1ミクロンだけ分かる
目に悪い衝撃だ
目が慣れてくるとエルザ(仮)の顔が見えた
息が荒い
荒いだけで住んでいるのが疑問なんだが
多分馬車だこれは
前世では乗ったこと無かったから多分だけど
「助けてくれた人にありがとうって言いましょうね」
俺は向きを変えられて助けてくれたらしき人にご対面した
それはとても奇妙な子供だった
仮面を被っていたのだ
鼻まで覆う、なんて言うのかなオペラ座の怪人みたいなやつ
ベネチアンマスクっていうんだっけ?
いや、それ自体はさ、つける人いると思うんだ
けど、俺より数歳年上の
つまりまだ幼稚園とかそんなもんの子供がつけてるんだぜ?
目見えてるのかってくらい目の穴は深くて奥にある瞳の色は見えない
出ている口元は煤なのか何か黒い
サイズの合っていない白いシャツの上にパーカーのようなフード付きの上着を頭からかぶり、ズボンを履いている
何サイズか大きめの服を頑張って身につけている感じで、帯に短し襷に長しというかなんというか
なんか少年探偵団とかの挿絵で見たことあるような服装だ
靴もサイズがあっていない
出ている手足は元は白いのだろうが、泥で薄汚れている
会釈できないので
「う!」
っと手を挙げてみた
「よく出来ました」
エルザ(仮)が褒めてくれる
「…手筈どおりに」
「手筈どおりって…予定外もいいところでしょう
いつまでもあそこにいられるなんて思っていなかったけれど1ヶ月よ!
1年は見つからないでいられると思ったのに、いくらなんでも早すぎるわ」
「…」
「ごめんなさい
あなたに言っても仕方ないわよね…
とにかくレオナルド様は守らなければ」
やはり俺がレオナルドか
ところで様ってどういうこと?
「とにかく、敵の気を引いてくれたり手引きをしてくれてありがとう
…少ないけど、これを」
エルザ(仮)はポケットから小さい袋を取り出した
お金とかだなきっと
子供は首を横に振った
「でも…」
「…エルザが気にすることじゃない
それは、この後必要かもしれない」
こいつ見た目より歳いってんのか?
幼稚園児が喋るにしては滑らかすぎるし言葉のチョイスが妙に大人びている
「じゃあ」
子供は馬車の窓からひらりと飛び降りた
待って
走行中だよ
良い子でも悪い子でも真似したらあかんやつじゃない?
この世界何?
みんな運動神経が良すぎる世界なの?
大体さっきまでいた部屋の男たちはどうなったんだろう
赤ん坊の俺(中身は高校生だが)でも絶体絶命なのは分かる
捕まったらどんな目に合うのやら
女神(仮)の依頼もこなせず終わってしまうのか…
困る
大変困る
何かないか
俺に出来ることは
小さい物音がした
頭の後ろなので見えないが頑張って首を捻ろうとするが、エルザ(仮)の物理的な力が強すぎて身動きができない
音の方向から察するに多分床だ
エルザ(仮)が息を飲む
ジ・エンド?
ナツ、今でも君を心から愛している
1度も言ったことないけど
こんな異世界でさえ辺鄙な場所で謎に赤ん坊になったりしたけど1秒も君のことを忘れたことは無い
こんなことならキスしとけばよかった
付き合って1週間なら早すぎるかなとか遠慮したのが良くなかった
急に異世界に転生してそのまま会えないなんてこともあるんだな
多分ハレー彗星の周期より珍しいけど
いや、気づいてないだけでありふれてんのかな
「…あなたは」
思わず漏れてしまったかのようにエルザ(仮)の口から言葉が囁かれる
それからコクリと小さく頷いた
あー
味方登場?
床下に脱出路でもあったのか?
「レオ、捕まっててね」
待て待て俺はまだ言葉が通じない予定の坊やなんだぜ?
でも事は急を要する
とりあえずエルザ(仮)の胸元の服を掴んでおく
ナツ、これは不可抗力だ
他に捕まるところがないから仕方なくだし、結構デカいので触らないのはどちらにしても無理なんだ
許してくれ―
エルザ(仮)は唐突に立ち上がると窓を蹴破って飛び出す
1階(ハイハイしながら家中冒険したので家の見取り図はバッチリだ)とはいえ、赤ちゃんを抱きしめながらのアクションとしてはまあまあ荒い
しかも俺がケガしないようにしっかりエプロンで覆ってだ
おかげで突然世界はピンクと白のストライプというメルヘンな景色になった
これが人生最後の景色でないといいんだが
エルザ(仮)は全力疾走している
耳元でなる風の音からまあまぁなスピードが出てると思う
原付くらいのスピードは間違いなく出てるし下手したらもっと早い
何者なんだこの人
家の周りは森のはずなのに枝とか葉とか当たらない
足音が急にするようになったので舗装された道にでも出たのだろうか
ちょっとエプロンを外して欲しい
ほんの少し浮遊感を感じてから安定した
どうやらエルザ(仮)は座ったようだ
揺れているところからして乗り物に乗ったのだろう
「助かったわ
ありがとう」
エルザ(仮)が話しかける
誰かいるのだろう
エプロンが急に取り払われる
うお
眩しッ
いまなら某浮遊都市で野望潰えたサングラスの男の気持ちが1ミクロンだけ分かる
目に悪い衝撃だ
目が慣れてくるとエルザ(仮)の顔が見えた
息が荒い
荒いだけで住んでいるのが疑問なんだが
多分馬車だこれは
前世では乗ったこと無かったから多分だけど
「助けてくれた人にありがとうって言いましょうね」
俺は向きを変えられて助けてくれたらしき人にご対面した
それはとても奇妙な子供だった
仮面を被っていたのだ
鼻まで覆う、なんて言うのかなオペラ座の怪人みたいなやつ
ベネチアンマスクっていうんだっけ?
いや、それ自体はさ、つける人いると思うんだ
けど、俺より数歳年上の
つまりまだ幼稚園とかそんなもんの子供がつけてるんだぜ?
目見えてるのかってくらい目の穴は深くて奥にある瞳の色は見えない
出ている口元は煤なのか何か黒い
サイズの合っていない白いシャツの上にパーカーのようなフード付きの上着を頭からかぶり、ズボンを履いている
何サイズか大きめの服を頑張って身につけている感じで、帯に短し襷に長しというかなんというか
なんか少年探偵団とかの挿絵で見たことあるような服装だ
靴もサイズがあっていない
出ている手足は元は白いのだろうが、泥で薄汚れている
会釈できないので
「う!」
っと手を挙げてみた
「よく出来ました」
エルザ(仮)が褒めてくれる
「…手筈どおりに」
「手筈どおりって…予定外もいいところでしょう
いつまでもあそこにいられるなんて思っていなかったけれど1ヶ月よ!
1年は見つからないでいられると思ったのに、いくらなんでも早すぎるわ」
「…」
「ごめんなさい
あなたに言っても仕方ないわよね…
とにかくレオナルド様は守らなければ」
やはり俺がレオナルドか
ところで様ってどういうこと?
「とにかく、敵の気を引いてくれたり手引きをしてくれてありがとう
…少ないけど、これを」
エルザ(仮)はポケットから小さい袋を取り出した
お金とかだなきっと
子供は首を横に振った
「でも…」
「…エルザが気にすることじゃない
それは、この後必要かもしれない」
こいつ見た目より歳いってんのか?
幼稚園児が喋るにしては滑らかすぎるし言葉のチョイスが妙に大人びている
「じゃあ」
子供は馬車の窓からひらりと飛び降りた
待って
走行中だよ
良い子でも悪い子でも真似したらあかんやつじゃない?
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