Dear my...

E.L.L

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59章

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小笠原先輩はまだ照史さんを好きだと思います

という言葉を俺は飲み込んだ
2人には2人の考えがあるんだろうし、恋愛経験値が限りなく低い俺が介入したら余計ややこしくなるに違いない

病室の中では結子が眠っている
あの溶けそうだという嫌な感じは不思議ともうしなかった
彼女は必ず目覚めるという謎の確信が俺の中にはあった
それよりも目覚めた時どういう言葉を君に伝えようかということばかり考えていた

「結子」

俺はそっと結子の手を握った

「遅くなって、ごめん」

結子の手はいつもちょっとひんやりしている
額に彼女の手を当てる

「…ただいま」

「結子も早く、帰ってきて…
俺、何回記憶を無くしても多分ずっと…結子が好きだ」

彼女に俺は何回好きって言ったっけ?
多分直接言葉で伝えたことはあまりない
結子は俺の写真を言葉って言ってくれるけど、言葉じゃない色々なことを一生懸命受け止めてくれてるのは君の方だよ
俺の拙い「言葉」をいつもいつも拾い上げてくれた


「だから、もう一度俺とデートしてくれませんか」

目が覚めたらまた彼女に言うんだ
一番最初にくれた嬉しかった言葉
君はもう忘れているかもしれないけど

ごめんね、結子
俺は結子と離れるつもりはないよ
君を失う怖さを知ってしまっても、そのために君が俺から離れようとしても
伝えたいことは山ほどあるのに表現できる自信が無い

ピクッと指が動いた…気がした
俺は慌てて結子を見る
目は閉じたままだ
気のせいか…
長いまつ毛が揺れ―

「結子!!!」



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