Dear my...

E.L.L

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50章

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とりあえず1回目の入院期間を無事終えて家に戻る準備をした
二人で住むにはまだお互いに準備が必要ということで、私たちは実家で暮らしている

あの日から英司は仕事が終わったあと毎日来てくれて日記に書いてあったところを探して二人で行く場所を決めた
大丈夫だと言ったのに、英司はお医者さんにも行っても大丈夫な場所かとか気をつけることとか聞いていた
これじゃあ保護者じゃない?とお母さんに言ったら笑われた

あの後、お父さん、お母さん、先輩たち、春子さんなど、巻き込んでしまった人全員に事情をきちんと話した
お母さんはバカ娘!と怒ったあと泣きながら私を抱きしめた
私は本当に自分のことしか考えていなかったんだな
こんなに周りの人を悲しませるなんて
後どのくらいの時間が残っているのか分からないけれど、できることをしようと思った

その時胸に圧迫感を感じた
来る
同時にドアがノックされる

「結子さん?
入っても…大丈夫?」

英司の声だ 
ダメ、今は入らないで
でも声が出なかった
遠慮がちにドアが開く

「!」

英司が慌てて駆け寄ってくる

「英司…大丈夫…ごめんね…」

「何言ってるんだよ!」

慌てて私を支えながらベッドに座らせた

「すぐに…収まるから…」

私は無駄だとわかっているのに、抑えようとする

「結子さん、なんでそんなに我慢するの?」

英司が静かに言う

「苦しそうなの、抑えようとすると余計苦しくなるでしょ」

分かっているけれど、やっぱりこんな姿英司に見られたくない
それでも私の意志とは関係なく痛みは強くなっていく
英司がそっと私を抱きしめて背中をさすってくれる

「ごめんね…俺…なにも出来ない…あの…これなら、その…」

前に見られたくないって言ったの、気にしてくれてるのかな
英司は私が落ち着くまでそうしてくれた
英司の匂いは何だか落ち着く
いつもより、苦しくない気がする
俺のために一緒にいてって言ってくれたけど英司だってまだ回復したばかりなのだ
無理をしてほしくない

「…ありがとう、もう大丈夫」

英司が離れる

「…あの…」

「ん?」

「仕事とか、最近どう?」

英司は目を輝かせて今日撮った写真がどうとか、照史さんが小笠原先輩とどうこうしたとか嬉しそうに話す
つっかえたり、考えてから話したりするけれど、いつも来る時に何枚か写真を持ってきてくれて、丁寧に言葉を選んでくれる
英司の話、聞くの好きだな

今は楽しそうだけれど
彼がもし、私を負担に感じることがあればその時は手を離そう
それに、私は彼に近いうちに私が味わったのと同じ気持ちを味わわせる事になるのだろう…
隣にいる人がいなくなるかもしれないという嫌な感じ
私は幸せだ
彼にも幸せになって欲しい
これは完全に自己満足だけど
その時までこの気持ちはしまっておこう

英司、大好きだよ
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