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45章
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「先輩、待って!!」
小笠原先輩はさわやかに病室を出ていってしまった
「…」
英司が俯いている
私も何を言ったらいいのか分からなくて目を逸らした
「会いたい…」
「え?」
「あの…会いたいって…思ってくれてるって…」
「あ…はい…」
「俺の事…嫌になったっていうのは…」
「…嘘…です…」
英司は大きく息を吐いて顔を手で覆った
「よかった… 俺…氷野さんに何かしたかと…」
「あの…!傷つけるようなこと、たくさん言っちゃってごめんなさい
…でも、やっぱりもう会いにはこないでください」
「…それは、この入院と…関係ありますか?」
「…はい…」
やっぱり英司は察しがいい
私は大きく息を吸った
「私、もうそんなに永くないんです」
「…」
「忘れた記憶を…思い出すのは負担になるって聞きました
仮に櫻野、さんが私のことを思い出してもその時私はもういないかもしれない
いたとしてもだんだん弱っていくんです
そんな私を見られたくありませんでした
だから、私のことを忘れて欲しいと思いました
だから、やっぱりもう会いには来ないでください」
英司の目が見開かれた
「私は、櫻野さんが記憶を無くす前から永くないことを知っててあなたに黙っていました
私が風邪をひいただけで会社を慌てて休もうとするくらいだもの
知ったらそれこそカメラを撮るのをやめかねませんよね?
大切な写真を撮る時間の邪魔はしたくありません」
「待っ…」
「私は櫻野さんに幸せになって欲しいの」
「待ってよ!」
英司が少し声を荒らげる
「またそうやって俺が氷野さんのそばにいない選択をするように話を進めようとしないでください
俺の幸せをって言ったら俺が諦めると思ってるんでしょ?!」
小笠原先輩はさわやかに病室を出ていってしまった
「…」
英司が俯いている
私も何を言ったらいいのか分からなくて目を逸らした
「会いたい…」
「え?」
「あの…会いたいって…思ってくれてるって…」
「あ…はい…」
「俺の事…嫌になったっていうのは…」
「…嘘…です…」
英司は大きく息を吐いて顔を手で覆った
「よかった… 俺…氷野さんに何かしたかと…」
「あの…!傷つけるようなこと、たくさん言っちゃってごめんなさい
…でも、やっぱりもう会いにはこないでください」
「…それは、この入院と…関係ありますか?」
「…はい…」
やっぱり英司は察しがいい
私は大きく息を吸った
「私、もうそんなに永くないんです」
「…」
「忘れた記憶を…思い出すのは負担になるって聞きました
仮に櫻野、さんが私のことを思い出してもその時私はもういないかもしれない
いたとしてもだんだん弱っていくんです
そんな私を見られたくありませんでした
だから、私のことを忘れて欲しいと思いました
だから、やっぱりもう会いには来ないでください」
英司の目が見開かれた
「私は、櫻野さんが記憶を無くす前から永くないことを知っててあなたに黙っていました
私が風邪をひいただけで会社を慌てて休もうとするくらいだもの
知ったらそれこそカメラを撮るのをやめかねませんよね?
大切な写真を撮る時間の邪魔はしたくありません」
「待っ…」
「私は櫻野さんに幸せになって欲しいの」
「待ってよ!」
英司が少し声を荒らげる
「またそうやって俺が氷野さんのそばにいない選択をするように話を進めようとしないでください
俺の幸せをって言ったら俺が諦めると思ってるんでしょ?!」
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