Dear my...

E.L.L

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39章

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日記を読んで氷野さんと出かけた場所がどこだったのか分かるところは全部調べてみた

照史先輩に相談した

「あの…俺、氷野さんに何かしてしまったかも…しれないんです…」

「は?」

「いえ、その…付き合っていたっていうのは…分かったんですけど…俺、言いたいこととか、伝えるの…苦手なんで、そういう所がもう…」

「あー…」

照史先輩は俺から目を逸らしてため息をついた

「英司さー」

「あ、はい…」

「俺さ、お前のこと結構優柔不断なやつだと思っていたのよ」

それは間違っていない

「でも俺はお前が結子ちゃんと付き合った時も、あの指輪を作る時も寝耳に水というか青天の霹靂というかね、とにかく驚いたわけよ
毎回事後報告みたいなもんだと思ったわけよ」

「すみません…」

照史先輩はくすくす笑った

「いや、お前の中で俺に相談してくれた事をめちゃくちゃ考えて出した結論だったんだと思うよ、どっちもさ
ただ、俺の中では英司がどうしてそうするって決めたのかわかんなかった訳
話を通してしかそういう話しなかったからな
―あ、これは怒ってるんじゃねぇぞ
でも結子ちゃんがさお前の事を前話してた時、英司は言葉以外でも色々伝えてくれてるって言ってたんだよ」

照史先輩は一旦そこで話を切って伸びをした

「んー確かに人につたえるの難しいな
俺も人のこと言えないわ」

それから真っ直ぐ俺の事を見た

「英司、お前どうしたいんだよ」

「俺は…氷野さんを苦しめたくない、です」

「それから?」

「…俺に出来ることがあるなら、何かしたい…」

「結子ちゃんの為っていうのとっぱらったら?」

俺はデータから現像した氷野結子の写真を見つめた
照史先輩は辛抱強く待ってくれている

「俺は、まだ氷野さんといたい…です」

「それを結子ちゃんに伝えろ」

「で、でも俺は…」

それも嫌になった原因、だったよな?

「お前には言葉以外にも伝える方法があるだろ」

先輩はにっと笑った
あ、さっきの氷野さんの言ってたっていう…
母さんは確か…

「ありがとうございます、照史先輩」

「照史さんって呼んでたよ」

「え?」

「俺のスタジオで働くようになってからは」

「あ…はい…」

「記憶、頑張って取り戻すんだろ?
俺も協力してやるからさ」

照史さんはまたにっと笑った
照史さんが笑うと本当にそうなりそうな気がする
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