33 / 68
32章
しおりを挟む
何で英司がいるの?
いるはずない
夢?
「あ、あの…」
英司が何かを言おうとする
ダメだ
ここにいちゃ
私は急いで踵を返そうとしたが、腕を掴まれた
「ま、待ってください!」
「何で?なんでここにいるの?!」
腕を振り払おうとするけど、しっかり掴んでいて離れない
「氷野さん、落ち着いて!」
結子、じゃない
記憶は戻っていない
「びっくりさせて本当にごめん!でも話が!!」
「私は…」
「あのね!俺、優柔不断で自信もなくて!でも、ストラップが…」
一気に色々言おうとして一生懸命まくし立てくる英司を見ていたら、少し落ち着いてきた
普通の口調になるくらい取り乱してる
「あの、手を、放してくださ―」
「嫌です!」
英司が食い気味に拒否する
拒否するのも、言葉をかぶせてくるのも凄く珍しい
「分かりました
お話、しましょう
でも、あの、ここ玄関なので中で…」
私が静かに言うとパッと手を離した
耳が赤くなっている
「あ…すみません……あの…痛かった、ですか?」
「大丈夫ですよ」
優しいところは本当に変わっていない
思わず顔が緩む
でも、ここに英司がいるということは私との関係を知っているってことだ
でも
氷野さん―
彼の口から私の名が呼ばれることはなかった
それに、私はもう彼の隣には…
目頭が熱くなりかける
「お茶、でいいですか?」
英司がマグカップを取り出す
「…あの…ケトルとか、ありますか?」
場所分からないんだ
「ありますよ
あ、私がいれます」
私は棚からケトルを取り出すとお湯を沸かした
隣で英司がじっと見ている
昔から私が何かをしている時たまにじっと見てくる癖があった
久しぶりで恥ずかしい
「あ、あの…」
「!
すみません…」
英司はちょっと慌ててテーブルの方に行くとちょこんと座った
なんて言えばいいんだろう
本当のことを今更話す?
それとも誤魔化す?
英司はどこまで知っているの?
いるはずない
夢?
「あ、あの…」
英司が何かを言おうとする
ダメだ
ここにいちゃ
私は急いで踵を返そうとしたが、腕を掴まれた
「ま、待ってください!」
「何で?なんでここにいるの?!」
腕を振り払おうとするけど、しっかり掴んでいて離れない
「氷野さん、落ち着いて!」
結子、じゃない
記憶は戻っていない
「びっくりさせて本当にごめん!でも話が!!」
「私は…」
「あのね!俺、優柔不断で自信もなくて!でも、ストラップが…」
一気に色々言おうとして一生懸命まくし立てくる英司を見ていたら、少し落ち着いてきた
普通の口調になるくらい取り乱してる
「あの、手を、放してくださ―」
「嫌です!」
英司が食い気味に拒否する
拒否するのも、言葉をかぶせてくるのも凄く珍しい
「分かりました
お話、しましょう
でも、あの、ここ玄関なので中で…」
私が静かに言うとパッと手を離した
耳が赤くなっている
「あ…すみません……あの…痛かった、ですか?」
「大丈夫ですよ」
優しいところは本当に変わっていない
思わず顔が緩む
でも、ここに英司がいるということは私との関係を知っているってことだ
でも
氷野さん―
彼の口から私の名が呼ばれることはなかった
それに、私はもう彼の隣には…
目頭が熱くなりかける
「お茶、でいいですか?」
英司がマグカップを取り出す
「…あの…ケトルとか、ありますか?」
場所分からないんだ
「ありますよ
あ、私がいれます」
私は棚からケトルを取り出すとお湯を沸かした
隣で英司がじっと見ている
昔から私が何かをしている時たまにじっと見てくる癖があった
久しぶりで恥ずかしい
「あ、あの…」
「!
すみません…」
英司はちょっと慌ててテーブルの方に行くとちょこんと座った
なんて言えばいいんだろう
本当のことを今更話す?
それとも誤魔化す?
英司はどこまで知っているの?
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
王太子殿下の執着が怖いので、とりあえず寝ます。【完結】
霙アルカ。
恋愛
王太子殿下がところ構わず愛を囁いてくるので困ってます。
辞めてと言っても辞めてくれないので、とりあえず寝ます。
王太子アスランは愛しいルディリアナに執着し、彼女を部屋に閉じ込めるが、アスランには他の女がいて、ルディリアナの心は壊れていく。
8月4日
完結しました。
7歳の侯爵夫人
凛江
恋愛
ある日7歳の公爵令嬢コンスタンスが目覚めると、世界は全く変わっていたー。
自分は現在19歳の侯爵夫人で、23歳の夫がいるというのだ。
どうやら彼女は事故に遭って12年分の記憶を失っているらしい。
目覚める前日、たしかに自分は王太子と婚約したはずだった。
王太子妃になるはずだった自分が何故侯爵夫人になっているのかー?
見知らぬ夫に戸惑う妻(中身は幼女)と、突然幼女になってしまった妻に戸惑う夫。
23歳の夫と7歳の妻の奇妙な関係が始まるー。
彼女があなたを思い出したから
MOMO-tank
恋愛
夫である国王エリオット様の元婚約者、フランチェスカ様が馬車の事故に遭った。
フランチェスカ様の夫である侯爵は亡くなり、彼女は記憶を取り戻した。
無くしていたあなたの記憶を・・・・・・。
エリオット様と結婚して三年目の出来事だった。
※設定はゆるいです。
※タグ追加しました。[離婚][ある意味ざまぁ]
※胸糞展開有ります。
ご注意下さい。
※ 作者の想像上のお話となります。
【完結】記憶を失くした旦那さま
山葵
恋愛
副騎士団長として働く旦那さまが部下を庇い頭を打ってしまう。
目が覚めた時には、私との結婚生活も全て忘れていた。
彼は愛しているのはリターナだと言った。
そんな時、離縁したリターナさんが戻って来たと知らせが来る…。
愛する義兄に憎まれています
ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。
義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。
許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。
2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。
ふわっと設定でサクっと終わります。
他サイトにも投稿。
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる