47 / 51
46
しおりを挟む
「こっちだ」
「え?」
きょとんとしているのは初めて見た
いや、可愛―
おっと、そんな場合じゃない
人混みからとりあえず離脱して俺は緊急時にとある人物と落ち合うための場所に女を引っ張った
「…相変わらず優秀だな
いや、ですね…?」
「光栄です」
不敵に笑っているのは美魔女の俺たちの母、もとい秘書だった
「でも、こんなことしたらあの…あなたの立場が…」
「ここまで大きく市民が動いているのですから、下手したら権力がひっくり返るでしょうね
その場合、このままポリスに尽くしているのは得策ではありません」
…もしかして、俺が有能な捜査官だったのって秘書のおかげなのか?
いや、そんなことは無い!
…無いはずだ…
…無い…よな?
「まぁせっかく不肖の息子が頑張ったんですから、私もお力添えせずにはいられませんよ
だから、早くあの子を幸せにしてあげてください」
「はい…」
「こんな奴にできる訳ありませんよ!」
突然聞き慣れたくなかったけれども、慣れてしまった声が聞こえてきた
「だから、俺がっ―ゴフッ…」
胡散臭い男が秘書に首根っこ掴まれて地面に引き倒されている
目の錯覚でなければ、秘書は片腕で男を一回転して地面にたたきつけている
「お黙りなさい
まだやることは沢山あるのよ」
「あの…」
「さすがに私一人ではオーバーワークですし、今後は便利な手あ―いえ、あなたもいないので」
…
便利な手足って言いかけたよね?
俺、昔あなたの息子だったことあるんだよね?
確かに君ほど優秀ではなかった可能性もあるけど、今世では共にいくつもの修羅場を乗り越えた仲間、だよね?
そして、後ろの君
掴んでいる腕が震えてるんだよ
見なくても伝わってるぞ
笑いやがって
「さ、馬に蹴られる前に行きますよ」
ヒラリと手を振って秘書は胡散臭い男を引きずって踵を返す
かっこいい
あんな背中になりたい
胡散臭い男が最後のあがきとでも言うようにジタバタする
「フッ
今世では譲ってやるが、願いを叶えたら来世からはもう出会えないんだからなっ―ガッ…」
諦めろ
そのお方には誰も叶わない
さて、俺は俺でやらなければならないことがある
俺は彼女の方に向き直ると腕をそっと離した
「あ、あのさ」
「え?」
きょとんとしているのは初めて見た
いや、可愛―
おっと、そんな場合じゃない
人混みからとりあえず離脱して俺は緊急時にとある人物と落ち合うための場所に女を引っ張った
「…相変わらず優秀だな
いや、ですね…?」
「光栄です」
不敵に笑っているのは美魔女の俺たちの母、もとい秘書だった
「でも、こんなことしたらあの…あなたの立場が…」
「ここまで大きく市民が動いているのですから、下手したら権力がひっくり返るでしょうね
その場合、このままポリスに尽くしているのは得策ではありません」
…もしかして、俺が有能な捜査官だったのって秘書のおかげなのか?
いや、そんなことは無い!
…無いはずだ…
…無い…よな?
「まぁせっかく不肖の息子が頑張ったんですから、私もお力添えせずにはいられませんよ
だから、早くあの子を幸せにしてあげてください」
「はい…」
「こんな奴にできる訳ありませんよ!」
突然聞き慣れたくなかったけれども、慣れてしまった声が聞こえてきた
「だから、俺がっ―ゴフッ…」
胡散臭い男が秘書に首根っこ掴まれて地面に引き倒されている
目の錯覚でなければ、秘書は片腕で男を一回転して地面にたたきつけている
「お黙りなさい
まだやることは沢山あるのよ」
「あの…」
「さすがに私一人ではオーバーワークですし、今後は便利な手あ―いえ、あなたもいないので」
…
便利な手足って言いかけたよね?
俺、昔あなたの息子だったことあるんだよね?
確かに君ほど優秀ではなかった可能性もあるけど、今世では共にいくつもの修羅場を乗り越えた仲間、だよね?
そして、後ろの君
掴んでいる腕が震えてるんだよ
見なくても伝わってるぞ
笑いやがって
「さ、馬に蹴られる前に行きますよ」
ヒラリと手を振って秘書は胡散臭い男を引きずって踵を返す
かっこいい
あんな背中になりたい
胡散臭い男が最後のあがきとでも言うようにジタバタする
「フッ
今世では譲ってやるが、願いを叶えたら来世からはもう出会えないんだからなっ―ガッ…」
諦めろ
そのお方には誰も叶わない
さて、俺は俺でやらなければならないことがある
俺は彼女の方に向き直ると腕をそっと離した
「あ、あのさ」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる