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狩猟許可証

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「で、なんで、あんたまでついて来る?」

 翌日、狩猟許可証を持って訪れた私に、朝霞は冷たい視線を浴びせてきた。

「なぜって、それが条件だからです」

 昨日、情報省に戻った私は、必要な書類を環境省に提出した。

 狩猟許可証はその日のうちに下りたが、それには条件が付けられていた。

 その条件とは情報省の職員……つまり私が朝霞を監視する事。

 それを聞いて朝霞は顔をしかめる。

「環境省の奴ら……そういう嫌がらせを……」

 嫌がらせ?

「私こそ聞きたいです。朝霞さんの狩猟許可が今まで下りなかったのは、過去の狩猟で不適正事案があったというからじゃないですか。なんでも、以前に鹿猟の申請をして自然保護区に入ったのに、鹿以外の動物を撃ったとか……」
「イノシシを撃ったのだよ。こっちが襲われそうになって仕方なく……」
「でも、その後イノシシを料理したそうですね」
「料理しないと、もったいないだろ」
「でも、朝霞さんは以前からイノシシ猟も申請していたけど、認められなかったそうじゃないですか」
「ああそうだ。豚肉とどう違うと言われてね。だから、襲われたというのは嘘で、最初から狩る目的だったのではないかと疑われた。だがドローンの映像で、俺がイノシシに襲われかけた事は証明された。これに関しては何も問題はないはずだ。それなのに環境省の奴らは、それ以降の狩猟に許可を出さなかった」
「でも、正当な理由なしに申請を却下できないはずでは……」
「過去に問題があった者を自然保護区に入れるには、監視役が必要になる。つまり、環境省の職員が俺に同行しなければならないわけだが『今は人員がいないから待て』と言ってずっと出さなかったのだよ」
「本当に人がいなかったのでは?」
「そんなはずはない。奴らは環境保護団体に騒がれたら面倒だから、狩猟許可なんて出したがらないんだ。ところが、今回は情報省からの仕事。無碍むげに断れない。かと言っていきなり人員を出せば、今まで出し渋っていたのかと言われると思ったのだろう。もちろん、俺はそんなクレームなど付ける気はないが」
「でも私は情報省の職員ですよ。いいのですか?」
「知らん。環境省が認めたからいいのだろう」

 いいのかな? 
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