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なんで、あんたがここにいる?
戦闘終了
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「頭。タキオンが急に止まりました」
「なに! 気付かれたか? それとも、自然に止まったのか?」
考えてる余裕はなかった。
「左舷後法からレーダー波が」
「レーダー波ぐらいでうろたえ……何!? 後方からだと」
超光速船の後方から、電磁波が追いつけるはずがない。
「時間圧縮フィールドに歪みが」
「なんだと!?」
海賊船の左舷後方、わずか三百メートルに〈ネフェリット〉がいた。それぞれの船のフィールドは、船体から二百メートルの範囲に及んでいる。
すでに二つの船のフィールド境界面は触れ合っていた。触れ合った部分に穴が空き、その穴を中心にフィールドは一気に融合する。「うわわ!?」
突然、目の前に現れた〈ネフェリット〉に海賊達は肝を潰す。
「何をしている攻撃しろ!!」
何とか驚きから立ち直ったものの、その時にはすでに手遅れであった。〈ネフェリット〉の放ったレーザーはまず海賊船の武装を破壊した。続いてエンジンを止める。
ただし、爆発を避けるため、推進剤パイプを狙う。推進剤の供給が止まると、対消滅エンジンは自動的に停止した。
「お……おのれ。かくなる上は自爆して……」
「頭! それだけは勘弁を」「生きていれば、きっと良い事あります」
「ええい! 止めるな!! ここで、残りの陽電子を一気に対消滅させれば、奴を巻き込める」「やめて下さい!」「殿中でござる!!」
その時〈ネフェリット〉からチューブのような物が飛び出し、海賊船に突き刺さった。さらにレーザーが海賊船の装甲の一部を吹き飛ばす。
その穴にもう一本チューブが飛び込む。チューブの先にはマニピュレーターが付いていた。
「時間圧縮フィールドが消滅します」「コイルの中の陽電子が急速に減って行きます!」
「何があったんだ?」
そこへ、通信が入った。
『やっほー・元気にしとったか? くそぢぢい』
ディスプレーにミルのアップが現れる。
「貴様! わしの船に何をした!?」
『いや、なに、爺さんが妙な気を起こすんやないかと思ってな、陽電子を抜き取らせてもろたで』
「なんだとう!!」
「いやあ、すみませんねえ。実は妙な気、起こし掛けていたんですよ。うちの頭」
鬼頭の背後から、オペレーターの一人が言った。
「よけいな事、言うな!!」
鬼頭はオペレーターを蹴り飛ばした。
『ついでにこれも、もろといたでえ』
ディスプレーには、ミルに変わって、別の映像が映る。水晶球のような物体をマニピュレーターが掴んでいる様子であった。
「あれは……サンジャニカ水晶!?」
時間圧縮フィールド・ジュネレーターに欠かせないオーパーツの一つであった。
『これで、時間圧縮フィールドは使えんやろう。爺さんにこんな超技術は、なんとかに刃物やしな』
「こらあ! 返せ! このドロボーめ!!」
『ドロボー? 今さら、なに言うてはりまんねん。うちを誰や思てんのや? 華麗なる天下の大怪盗ミルフィーユたあ、うちのこっちゃでえ。あはっはっはっはっはっ! ほな、さいなら』
通信は切れた。
続いて〈ネフェリット〉も、時間圧縮フィールドに包まれ何処かへと姿を消す。
「こらあ!! 返せえ! わしの宝。この盗人めが!!」
とっくに真っ黒になったディスプレーに向かって叫びまくる鬼頭の背後で、二人の部下がささやきあってた。
「取り敢えず、自爆させられなくてよかったな」
「ああ、さっさと救援を呼んでおこうぜ」
「なに! 気付かれたか? それとも、自然に止まったのか?」
考えてる余裕はなかった。
「左舷後法からレーダー波が」
「レーダー波ぐらいでうろたえ……何!? 後方からだと」
超光速船の後方から、電磁波が追いつけるはずがない。
「時間圧縮フィールドに歪みが」
「なんだと!?」
海賊船の左舷後方、わずか三百メートルに〈ネフェリット〉がいた。それぞれの船のフィールドは、船体から二百メートルの範囲に及んでいる。
すでに二つの船のフィールド境界面は触れ合っていた。触れ合った部分に穴が空き、その穴を中心にフィールドは一気に融合する。「うわわ!?」
突然、目の前に現れた〈ネフェリット〉に海賊達は肝を潰す。
「何をしている攻撃しろ!!」
何とか驚きから立ち直ったものの、その時にはすでに手遅れであった。〈ネフェリット〉の放ったレーザーはまず海賊船の武装を破壊した。続いてエンジンを止める。
ただし、爆発を避けるため、推進剤パイプを狙う。推進剤の供給が止まると、対消滅エンジンは自動的に停止した。
「お……おのれ。かくなる上は自爆して……」
「頭! それだけは勘弁を」「生きていれば、きっと良い事あります」
「ええい! 止めるな!! ここで、残りの陽電子を一気に対消滅させれば、奴を巻き込める」「やめて下さい!」「殿中でござる!!」
その時〈ネフェリット〉からチューブのような物が飛び出し、海賊船に突き刺さった。さらにレーザーが海賊船の装甲の一部を吹き飛ばす。
その穴にもう一本チューブが飛び込む。チューブの先にはマニピュレーターが付いていた。
「時間圧縮フィールドが消滅します」「コイルの中の陽電子が急速に減って行きます!」
「何があったんだ?」
そこへ、通信が入った。
『やっほー・元気にしとったか? くそぢぢい』
ディスプレーにミルのアップが現れる。
「貴様! わしの船に何をした!?」
『いや、なに、爺さんが妙な気を起こすんやないかと思ってな、陽電子を抜き取らせてもろたで』
「なんだとう!!」
「いやあ、すみませんねえ。実は妙な気、起こし掛けていたんですよ。うちの頭」
鬼頭の背後から、オペレーターの一人が言った。
「よけいな事、言うな!!」
鬼頭はオペレーターを蹴り飛ばした。
『ついでにこれも、もろといたでえ』
ディスプレーには、ミルに変わって、別の映像が映る。水晶球のような物体をマニピュレーターが掴んでいる様子であった。
「あれは……サンジャニカ水晶!?」
時間圧縮フィールド・ジュネレーターに欠かせないオーパーツの一つであった。
『これで、時間圧縮フィールドは使えんやろう。爺さんにこんな超技術は、なんとかに刃物やしな』
「こらあ! 返せ! このドロボーめ!!」
『ドロボー? 今さら、なに言うてはりまんねん。うちを誰や思てんのや? 華麗なる天下の大怪盗ミルフィーユたあ、うちのこっちゃでえ。あはっはっはっはっはっ! ほな、さいなら』
通信は切れた。
続いて〈ネフェリット〉も、時間圧縮フィールドに包まれ何処かへと姿を消す。
「こらあ!! 返せえ! わしの宝。この盗人めが!!」
とっくに真っ黒になったディスプレーに向かって叫びまくる鬼頭の背後で、二人の部下がささやきあってた。
「取り敢えず、自爆させられなくてよかったな」
「ああ、さっさと救援を呼んでおこうぜ」
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