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嫌悪の魔神
社家のモーニングタイム
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『……横転した電車は回送でしたため、乗客は居ませんでしたが、運転士と付近住民の……』
朝食のベーコンエッグを頬張りながらテレビをつけると、昨日多摩線で起きた電車事故のニュースが流れてくる。
昨日からスマホで何度も見ていたから驚いてはいないけど、多摩線を使っている知人が心配だった。
どうやら今朝のニュースによると、回送電車だったのでお亡くなりになったのは運転者と現場近辺の住民と通行人だったらしい。
まあ、知らない人だから良いというわけじゃないけど……
場合によっては、不成仏霊が出たりして僕らの仕事が増えるかもしれない。
「悲しいニュースだな」
トーストを片手に父さんが呟く。
「久しぶりに、マアちゃんとの朝食タイムだというのに、こんな悲しいニュースを見ることになるとは」
確かに多忙な父さんは、滅多に僕と朝食を一緒にできない。
前に朝食をともにしたのは半年前。
それはいいのだが……
「父さん」
「ん?」
「そのさ……僕はもう高校生なんだから、マアちゃんという呼び方は……」
「ん? おまえ、もう高校生だったか?」
息子の歳ぐらい覚えとけ!
「しかし、その背丈では小学生にしか見えんな」
「くくく……いったい誰のせいで……」
「言っておくが、俺は百七十五あるから、俺の遺伝のせいではないぞ」
「べ……別に父さんのせいだなんて……」
「マアちゃんは母さんと顔が似ているからな、母さんの遺伝だな」
「母さんだって、僕より背が高いし……」
「亡くなった義父さんからの隔世遺伝だろう」
「え? お爺ちゃんって、背が低かったの?」
「うむ。仏壇には顔写真しかないから分からないと思うが、背丈はマアちゃんと変わらんかったな」
そうか。お爺ちゃんのせいだったのか。
「だからと言って、くれぐれも義父さんを降霊術で呼び出して文句を言ったりしちゃいかんぞ」
「しないよ。そんな事」
「そうか。それにしても……多摩線か……」
父さんは何か考え込んだ。
どうしたんだろ?
「先日、マアちゃんのことで同僚に礼を言われたのだが……」
「何が?」
はて? 礼を言われるような事なんて……
「何でも最近、多摩線での痴漢被害が激減したそうなのだが、それにマアちゃんが関わっているような話を聞いたが、心当たりはあるのか?」
ブホっ!
いけない。コーヒーを吹き出してしまった。
「な……なんの事? 僕知らないなあ」
「まあ、マアちゃんの事だから、霊能者協会の仕事と関わりがあることだと思うが……」
だめだ。誤魔化しが利かない。
だって、父さんの仕事は……刑事なんだから……
「あのさ……実は……」
とりあえず、その時の事を話してみた。ただし、女装の件は除く。
「なるほど。痴漢を捕まえていたわけか」
「一応、警察は黙認してくれる事になっていたけど……」
「うむ。霊能者協会の仕事のついででやったのは分かる。だが、そういう私人逮捕のような事は控えた方がいいな」
「やっぱり、良くなかったかな?」
「悪いことではないが、私人逮捕は非常に危険だ」
「分かっているよ。こっちが怪我するかもしれないって事ぐらい」
「そういう事を言っているのではない」
「え? じゃあ何を?」
「犯人を逮捕する時に、一番怖いのはなんだと思う?」
「犯人から反撃される事?」
父さんは首を横にふる。
「冤罪だよ。これやってしまった警察官は、下手をするとそれで人生が終わりかねない。だから、逮捕は慎重に行う。シロートが軽々しく私人逮捕などやっていたら、下手をすると自分が逮捕されかねない」
そういえば、最近私人逮捕系ユーチューバーが逮捕されていたな。
「今回は運が良かったかもしれないが、下手をするとマアちゃんが名誉毀損で訴えられるかもしれなかったのだぞ」
マジか! かなり危ない事やっていたんだな。
「分かったよ。もうやらない」
玄関のチャイムが鳴ったのはその時だった。
こんな朝早くに来客?
朝食のベーコンエッグを頬張りながらテレビをつけると、昨日多摩線で起きた電車事故のニュースが流れてくる。
昨日からスマホで何度も見ていたから驚いてはいないけど、多摩線を使っている知人が心配だった。
どうやら今朝のニュースによると、回送電車だったのでお亡くなりになったのは運転者と現場近辺の住民と通行人だったらしい。
まあ、知らない人だから良いというわけじゃないけど……
場合によっては、不成仏霊が出たりして僕らの仕事が増えるかもしれない。
「悲しいニュースだな」
トーストを片手に父さんが呟く。
「久しぶりに、マアちゃんとの朝食タイムだというのに、こんな悲しいニュースを見ることになるとは」
確かに多忙な父さんは、滅多に僕と朝食を一緒にできない。
前に朝食をともにしたのは半年前。
それはいいのだが……
「父さん」
「ん?」
「そのさ……僕はもう高校生なんだから、マアちゃんという呼び方は……」
「ん? おまえ、もう高校生だったか?」
息子の歳ぐらい覚えとけ!
「しかし、その背丈では小学生にしか見えんな」
「くくく……いったい誰のせいで……」
「言っておくが、俺は百七十五あるから、俺の遺伝のせいではないぞ」
「べ……別に父さんのせいだなんて……」
「マアちゃんは母さんと顔が似ているからな、母さんの遺伝だな」
「母さんだって、僕より背が高いし……」
「亡くなった義父さんからの隔世遺伝だろう」
「え? お爺ちゃんって、背が低かったの?」
「うむ。仏壇には顔写真しかないから分からないと思うが、背丈はマアちゃんと変わらんかったな」
そうか。お爺ちゃんのせいだったのか。
「だからと言って、くれぐれも義父さんを降霊術で呼び出して文句を言ったりしちゃいかんぞ」
「しないよ。そんな事」
「そうか。それにしても……多摩線か……」
父さんは何か考え込んだ。
どうしたんだろ?
「先日、マアちゃんのことで同僚に礼を言われたのだが……」
「何が?」
はて? 礼を言われるような事なんて……
「何でも最近、多摩線での痴漢被害が激減したそうなのだが、それにマアちゃんが関わっているような話を聞いたが、心当たりはあるのか?」
ブホっ!
いけない。コーヒーを吹き出してしまった。
「な……なんの事? 僕知らないなあ」
「まあ、マアちゃんの事だから、霊能者協会の仕事と関わりがあることだと思うが……」
だめだ。誤魔化しが利かない。
だって、父さんの仕事は……刑事なんだから……
「あのさ……実は……」
とりあえず、その時の事を話してみた。ただし、女装の件は除く。
「なるほど。痴漢を捕まえていたわけか」
「一応、警察は黙認してくれる事になっていたけど……」
「うむ。霊能者協会の仕事のついででやったのは分かる。だが、そういう私人逮捕のような事は控えた方がいいな」
「やっぱり、良くなかったかな?」
「悪いことではないが、私人逮捕は非常に危険だ」
「分かっているよ。こっちが怪我するかもしれないって事ぐらい」
「そういう事を言っているのではない」
「え? じゃあ何を?」
「犯人を逮捕する時に、一番怖いのはなんだと思う?」
「犯人から反撃される事?」
父さんは首を横にふる。
「冤罪だよ。これやってしまった警察官は、下手をするとそれで人生が終わりかねない。だから、逮捕は慎重に行う。シロートが軽々しく私人逮捕などやっていたら、下手をすると自分が逮捕されかねない」
そういえば、最近私人逮捕系ユーチューバーが逮捕されていたな。
「今回は運が良かったかもしれないが、下手をするとマアちゃんが名誉毀損で訴えられるかもしれなかったのだぞ」
マジか! かなり危ない事やっていたんだな。
「分かったよ。もうやらない」
玄関のチャイムが鳴ったのはその時だった。
こんな朝早くに来客?
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