霊能者のお仕事

津嶋朋靖(つしまともやす)

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事故物件2

カッコいいイメージが崩れていくなあ

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 魔道書をよく見ると、どこか外国の文字で書かれていた。

「これ、何語かな?」
「サンスクリット語でちゅ」

 梵字だったのか。

「読めるの?」
「ヒョー様なら読めるでちゅ。だから、あたしの目を通じて読んでもらえれば……でも、今は運転中なので無理でちゅ」
「運転中? どっかへ出かけているの?」
「ヒョー様なら、こっちへ……ああ! なんでもないでちゅ!」

 ネズ子は何を慌てているのだ?

 ああ、そうか。ヒョーは殺し屋だから、仕事でどっかへ向かう途中なのだけど、その事は人には話せないのだな。

 僕も聞かない方がいい。殺し屋の事情なんか迂闊に聞いて、口封じされちゃかなわない。

 本棚には、他にもオカルト関係の本が多数あった。

 ほとんどは日本語の本だが、英語、ドイツ語、ヘブライ語、ペルシャ語、中国語の本もいくつか。

 北条菖蒲という人は、これだけ多数の言語を理解していたのか? 

 それだけ才能があるのに、引きこもっていたなんて…… 

 ん? 分厚いオカルト本の後に、薄い本が……

 これは同人誌?

 ページを開くと……いきなり半ズボンの男の子が、触手の化け物に襲われているシーンが描かれていた。

 これって……ショタエロ漫画?

「なるほど、北条菖蒲とは、そういう趣味の人だったのでちゅね。優樹君を狙うわけでちゅ」
「いや……奴の狙いは、タンハーのスマホでは?」
「ち、ち、ち。優樹君は、変態というものが分かっていないでちゅね」
「どういう事?」
「スマホを取り返したいのはタンハーでちゅ。だから、タンハーは悪霊化した北条菖蒲に命じてそれをやらせているわけでちゅ。だけど、方法は任せてあるのでちゅ。だから、北条菖蒲はスマホを取り返す過程で、優樹君を捕まえて、あんな事やこんな事をやって欲望を満たそうとするはずでちゅ」
「なんでネズ子さん、そんな事が分かるの?」
「ヒョー様に十年以上も仕えていれば、変態の行動パターンなんて分かるでちゅ」

 という事は、ヒョーも仕事の過程でそういう事をよくやっているのか。

 呪殺師のカッコいいイメージが、どんどん崩れていくなあ。

「可愛い坊や。私の部屋で、何をしているの?」

 今の、魔入さん……いや悪霊の声? どこから?
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