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事故物件2
ひょっとしなくも、お前の事だ!
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ウイリー走行のまま、タンハーの乗ったバイクは僕の傍らを通り過ぎた。
そのまま、よりによって悪霊物件の中へと突っ込んで行く。
タンハーのバイクは門を通りすぎ、雑草生い茂る庭を突き進んだ後……
ドンガラガッシャーン!
壁にぶつかって止まった。
「大変!」「救助しないと」
と、婦警さん達は慌てるが、恐らく救助の必要はないだろう。
僕は見ていた。
バイクが衝突する寸前、タンハーが身体を霊体化するところを……
は! いかん!
婦警さん達が、悪霊物件の敷地内に駆け込んでいく。
「待って下さい! この家は危険です」
婦警さん達の後を追って、僕も家の敷地内に入っていった。
敷地に踏み込む前から分かっていたが、この家からは昼間に来たときと同じくらい強い禍々しい波動が発生している。
樒の九字切りの効果はもう無くなっているようだ。
「あら? 運転手がいないわ」「どこに行ったのかしら?」
事故を起こしたバイクの周囲を、二人の婦警さんが懐中電灯片手に探し回っていた。
「お巡りさん!」
婦警さん達がこっちを振り向く。
「逃げて下さい! この家は危険です!」
「危険? 何を言っているの? 君」
「待って。ひょっとして幽霊の出る家って……?」
「ここです! すぐに逃げて下さい! ここの悪霊はガチで危険です」
「だけど、バイクの運転手を救助しないと……」
「必要ありません。あいつも化け物ですから」
「化け物?」「いや、小さな女の子に見えたけど……」
だから、あいつは幼女の皮を被った化け物なんだって……
「こら! 誰が化け物じゃあ!」
化け物の声は、頭上から聞こえた。
見上げると、タンハーは空中に浮いているのだが……これはちょっと……よろしくないな。
「コラ! なんでわらわから目を反らす! こっちを見ろ」
「タンハー。君も女の子だろ」
「そうじゃ。わらわは可愛い幼女じゃ」
「女の子が、スカートを穿いたまま、空中浮揚するんじゃありません」
「え? うわわ! 見るな! エッチ!」
だから、視線を反らしているだろう。
一方、婦警さん達にはタンハーの姿が見えないようで、空中に向かって叫んでいる僕を不思議そうに見ている。
「君、さっきから、誰と話しているの?」「まさか……悪霊?」
「いいえ」
僕は倒れているバイクを指さした。
「あのバイクを運転していた化け物です」
「こら!」
タンハーはすでに地上に降りて、スカートを押さえつけていた。
「こんな可愛い幼女を捕まえて、化け物とは失礼にもほどがあるじゃろ!」
いや、実際化け物だし……
「それより、この卑怯者め。警官なんか連れてきおって」
はあ? 何を言っているんだ。こいつ……
「タンハー。何でお巡りさんが、ここにいると思っているんだ?」
「ん? おまえが呼んだのじゃろ?」
僕は首を横にふった。
「違うのか? ではなぜ?」
「この近くで、バカな小学生がバイクを盗んで走り回っているという通報があったのさ。それでお巡りさんは出動してきたそうだ」
「ほう。それは悪い小学生じゃな」
「そして、僕はさっき犯人と間違えられそうになったんだ」
「それは災難じゃったのう……ん?」
タンハーはしばし考え込んだ。
「も……もしかして、その小学生って、ひょっとして……」
「ひょっとしなくても、おまえの事だ!」
そのまま、よりによって悪霊物件の中へと突っ込んで行く。
タンハーのバイクは門を通りすぎ、雑草生い茂る庭を突き進んだ後……
ドンガラガッシャーン!
壁にぶつかって止まった。
「大変!」「救助しないと」
と、婦警さん達は慌てるが、恐らく救助の必要はないだろう。
僕は見ていた。
バイクが衝突する寸前、タンハーが身体を霊体化するところを……
は! いかん!
婦警さん達が、悪霊物件の敷地内に駆け込んでいく。
「待って下さい! この家は危険です」
婦警さん達の後を追って、僕も家の敷地内に入っていった。
敷地に踏み込む前から分かっていたが、この家からは昼間に来たときと同じくらい強い禍々しい波動が発生している。
樒の九字切りの効果はもう無くなっているようだ。
「あら? 運転手がいないわ」「どこに行ったのかしら?」
事故を起こしたバイクの周囲を、二人の婦警さんが懐中電灯片手に探し回っていた。
「お巡りさん!」
婦警さん達がこっちを振り向く。
「逃げて下さい! この家は危険です!」
「危険? 何を言っているの? 君」
「待って。ひょっとして幽霊の出る家って……?」
「ここです! すぐに逃げて下さい! ここの悪霊はガチで危険です」
「だけど、バイクの運転手を救助しないと……」
「必要ありません。あいつも化け物ですから」
「化け物?」「いや、小さな女の子に見えたけど……」
だから、あいつは幼女の皮を被った化け物なんだって……
「こら! 誰が化け物じゃあ!」
化け物の声は、頭上から聞こえた。
見上げると、タンハーは空中に浮いているのだが……これはちょっと……よろしくないな。
「コラ! なんでわらわから目を反らす! こっちを見ろ」
「タンハー。君も女の子だろ」
「そうじゃ。わらわは可愛い幼女じゃ」
「女の子が、スカートを穿いたまま、空中浮揚するんじゃありません」
「え? うわわ! 見るな! エッチ!」
だから、視線を反らしているだろう。
一方、婦警さん達にはタンハーの姿が見えないようで、空中に向かって叫んでいる僕を不思議そうに見ている。
「君、さっきから、誰と話しているの?」「まさか……悪霊?」
「いいえ」
僕は倒れているバイクを指さした。
「あのバイクを運転していた化け物です」
「こら!」
タンハーはすでに地上に降りて、スカートを押さえつけていた。
「こんな可愛い幼女を捕まえて、化け物とは失礼にもほどがあるじゃろ!」
いや、実際化け物だし……
「それより、この卑怯者め。警官なんか連れてきおって」
はあ? 何を言っているんだ。こいつ……
「タンハー。何でお巡りさんが、ここにいると思っているんだ?」
「ん? おまえが呼んだのじゃろ?」
僕は首を横にふった。
「違うのか? ではなぜ?」
「この近くで、バカな小学生がバイクを盗んで走り回っているという通報があったのさ。それでお巡りさんは出動してきたそうだ」
「ほう。それは悪い小学生じゃな」
「そして、僕はさっき犯人と間違えられそうになったんだ」
「それは災難じゃったのう……ん?」
タンハーはしばし考え込んだ。
「も……もしかして、その小学生って、ひょっとして……」
「ひょっとしなくても、おまえの事だ!」
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