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冥婚
挑発
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幼女……これからは、ハーちゃんと呼ぶ事にしよう。
ハーちゃんの輝きは、すぐに収まった。
だが……
「どうじゃ? これでもまだ、わらわを殴れるか?」
ハーちゃんは、どや顔でそんな事を言っているが、輝きが収まっても相変わらず幼女の姿。
特に変わった様子は無い。
しかし、何か違和感がある。
なんだろう?
「おい。そこの大女。さっきは、よくもわらわをポカポカ殴ってくれたな」
「だから何よ?」
「わらわは人間でないから、殴ってもいいと思っているのだろう?」
「そうよ。だからどうしたって言うの? 神罰を下したかったどうぞ」
低級神の神罰や呪いの類いだったら、樒が普段持ち歩いているお札や神具で防げると以前聞いていた。
だから樒は、こんなに余裕でいるのだろうな。
「おまえ、強力な神具を身に着けているな」
「あら、分かるの?」
「分かるとも。だが、そんな物で、わらわがこれからやる攻撃を防げるかな?」
何をする気だ?
だが、ハーちゃんは特に攻撃らしい事はせず、邪悪な笑みを浮かべて話を続けた。
「おまえ、本当はわらわが羨ましいのだろう?」
「はあ? なんで、私があんたを?」
「わらわが可愛いから、羨ましいのだろう。だから、ポカポカ殴ったのだろう」
「はあ? 別に羨ましくないし、殴ったのはあんたがバカな事を言うからよ」
「おまえ、ずいぶん身体が大きいな。さぞかし、男からは避けられているだろう」
樒の顔が、さっと青ざめる。
もしかして、樒……背が高い事、気にしていたのか?
しかし、ハーちゃんはなんのつもりだ?
樒を挑発したりして……
「あんた、何を言っているのよ?」
「くくく……おまえ、本当はこんなに背を伸ばしたくは無かったのだろう。小さい可愛い姿のままでいたかったのだろう」
……樒が動揺している。
やはり樒……高い身長にコンプレックスを持っていたのか?
僕が低い背丈にコンプレックスを持っているみたいに……
そういえば、今まで樒は僕を羨ましいと言っていたけど、それは僕に対するイヤミだと思っていた。
もしかして、イヤミなんかではなく本音?
樒は、自分の高身長がイヤだったのか?
「どうした大女?」
「うっさい! 大女って言うな!」
樒が本気で怒っている。
しかし、なんのつもりで樒を挑発しているのだ?
また殴られるぞ。
いや、これは殴らせようとしているのでは?
何のために?
ん? 影!? ハーちゃんに影がある! さっきまで、影なんて無かったのに……
まさか!?
周囲を見回すと、通行人がこっちを見ていた。
「うっさい! うっさい! うっさい! あんたなんかに、何が分かるのよ!」
樒は、ハーちゃんに殴りかかった。
「よせ! 樒! 罠だ!」
「え?」
遅かった!
樒の拳は、ハーちゃんの頭に当たる。
ハーちゃんは苦痛に顔を歪めるが、その直後に邪悪な笑みを一瞬浮かべた。
そして……
「ふぎゃああああ! お姉ちゃんがぶったあ!」
火がついたように、ハーちゃんは泣き出す。
「え?」
呆気にとられている樒の腕を、僕は掴んだ。
「樒! 逃げるぞ!」
「どうして?」
「説明は後だ。このままだとヤバい」
僕は樒を引っ張って、脱兎のごとくその場を離れた。
ハーちゃんの輝きは、すぐに収まった。
だが……
「どうじゃ? これでもまだ、わらわを殴れるか?」
ハーちゃんは、どや顔でそんな事を言っているが、輝きが収まっても相変わらず幼女の姿。
特に変わった様子は無い。
しかし、何か違和感がある。
なんだろう?
「おい。そこの大女。さっきは、よくもわらわをポカポカ殴ってくれたな」
「だから何よ?」
「わらわは人間でないから、殴ってもいいと思っているのだろう?」
「そうよ。だからどうしたって言うの? 神罰を下したかったどうぞ」
低級神の神罰や呪いの類いだったら、樒が普段持ち歩いているお札や神具で防げると以前聞いていた。
だから樒は、こんなに余裕でいるのだろうな。
「おまえ、強力な神具を身に着けているな」
「あら、分かるの?」
「分かるとも。だが、そんな物で、わらわがこれからやる攻撃を防げるかな?」
何をする気だ?
だが、ハーちゃんは特に攻撃らしい事はせず、邪悪な笑みを浮かべて話を続けた。
「おまえ、本当はわらわが羨ましいのだろう?」
「はあ? なんで、私があんたを?」
「わらわが可愛いから、羨ましいのだろう。だから、ポカポカ殴ったのだろう」
「はあ? 別に羨ましくないし、殴ったのはあんたがバカな事を言うからよ」
「おまえ、ずいぶん身体が大きいな。さぞかし、男からは避けられているだろう」
樒の顔が、さっと青ざめる。
もしかして、樒……背が高い事、気にしていたのか?
しかし、ハーちゃんはなんのつもりだ?
樒を挑発したりして……
「あんた、何を言っているのよ?」
「くくく……おまえ、本当はこんなに背を伸ばしたくは無かったのだろう。小さい可愛い姿のままでいたかったのだろう」
……樒が動揺している。
やはり樒……高い身長にコンプレックスを持っていたのか?
僕が低い背丈にコンプレックスを持っているみたいに……
そういえば、今まで樒は僕を羨ましいと言っていたけど、それは僕に対するイヤミだと思っていた。
もしかして、イヤミなんかではなく本音?
樒は、自分の高身長がイヤだったのか?
「どうした大女?」
「うっさい! 大女って言うな!」
樒が本気で怒っている。
しかし、なんのつもりで樒を挑発しているのだ?
また殴られるぞ。
いや、これは殴らせようとしているのでは?
何のために?
ん? 影!? ハーちゃんに影がある! さっきまで、影なんて無かったのに……
まさか!?
周囲を見回すと、通行人がこっちを見ていた。
「うっさい! うっさい! うっさい! あんたなんかに、何が分かるのよ!」
樒は、ハーちゃんに殴りかかった。
「よせ! 樒! 罠だ!」
「え?」
遅かった!
樒の拳は、ハーちゃんの頭に当たる。
ハーちゃんは苦痛に顔を歪めるが、その直後に邪悪な笑みを一瞬浮かべた。
そして……
「ふぎゃああああ! お姉ちゃんがぶったあ!」
火がついたように、ハーちゃんは泣き出す。
「え?」
呆気にとられている樒の腕を、僕は掴んだ。
「樒! 逃げるぞ!」
「どうして?」
「説明は後だ。このままだとヤバい」
僕は樒を引っ張って、脱兎のごとくその場を離れた。
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