120 / 269
呪殺師は可愛い男の子が好き
呪殺師ヒョー8
しおりを挟む
私は先に部室を出て駐車場に向かった。
神森樒は、優樹キュンの代わりに、霊子ちゃんの憑代を引き受ける事になったので、それが済んでから私の車をバイクで先導してくれる事になっている。
スマホの呼び出し音が鳴ったのは、駐車場に入った時の事。
相手は国税局のエージェント。
『今、電話して大丈夫かしら?』
聞こえてきたのは女の声。今朝、権堂屋敷に入って来た女だな。
「少しの間なら、大丈夫だ」
『そうですか。では手短に済ませます。先ほど、今回の報酬をあなたの口座に振り込みました。ただし、かなり減額してあります』
「なぜだ?」
『違約金が、発生したのですよ』
「違約金? 何か問題があったのか?」
『無かったと、思っているのですか?』
はて? なんかあったかな?
『今回の件、霊能者協会の上層部とは、協力の見返りとして助成金を増やすという事で話が付いていました』
「なら、問題はないだろう」
『協会側は『霊能者には、危害を加えてはならない』という条件を出していた事は、覚えていますね?』
「もちろん覚えているが、怪我はさせていないだろう?」
『未成年の霊能者に、キスを強要しましたね?』
「え? いや、あれは……危害になるのか?」
『なります。立派なセクハラです。むしろ、なぜあれが危害にならないと思ったのですか?』
「いや……男の子なら、むしろ気持ちいい思いができて、よかったと思うのではないかと……」
『なんですか? それは! OLにセクハラをやった上司の言い訳と、同じではないですか』
う! 言われてみれば……
実際あの時、優樹キュンは涙を流していた。
エアガンを捨てられたせいだと言っていたが……やはり、嫌がられていたのだろうか?
『まあ、相手が高校生ぐらいなら、その言い訳も通用しますが』
そうだろう。優樹キュンは高校生だから大丈夫だな。
『先ほど、私も現場で被害者の男の子を見かけましたが、あれは完全にアウトです』
え?
『小学生の男の子に、手を出すなんて』
「いや待て! 彼は一見小学生に見えるが、本当は高校生なんだ」
『はあ? あれが高校生?』
「本当だ! 信じてくれ」
『まあ、あなたはそんな下手な嘘をつくような人ではないし、事実なのでしょう』
「事実だ」
『しかし、キスだけならまだしも、ワイシャツにキスマークを残しましたね』
「いや、それは私では……」
『男の子は、学校で女性教師にそれを見られたショックで、泣いて家に帰ったそうです。母親はワイシャツを見て、激怒しているそうですよ。あなたを捕まえて、強制修行場に送れと息巻いています』
それはマズイ……
『今回は慰謝料を払うという事で、母親には怒りを収めてもらう事になりました。その慰謝料は、あなたの報酬から引いた違約金で賄いますが、納得していただけますか?』
「納得した」
『そうですか。それにしても、キスマークさえ残さなければ、ここまで大事にならなかったのですけどね』
そうか。キスマークがなければ……
という事は……
闇子ぉぉぉ! おまえのせいだ!
絶対呪う!
(「呪殺師は可愛い男の子が好き」終了)
その後、闇子は原因不明の高熱により、一週間生死の境を彷徨うことに……
神森樒は、優樹キュンの代わりに、霊子ちゃんの憑代を引き受ける事になったので、それが済んでから私の車をバイクで先導してくれる事になっている。
スマホの呼び出し音が鳴ったのは、駐車場に入った時の事。
相手は国税局のエージェント。
『今、電話して大丈夫かしら?』
聞こえてきたのは女の声。今朝、権堂屋敷に入って来た女だな。
「少しの間なら、大丈夫だ」
『そうですか。では手短に済ませます。先ほど、今回の報酬をあなたの口座に振り込みました。ただし、かなり減額してあります』
「なぜだ?」
『違約金が、発生したのですよ』
「違約金? 何か問題があったのか?」
『無かったと、思っているのですか?』
はて? なんかあったかな?
『今回の件、霊能者協会の上層部とは、協力の見返りとして助成金を増やすという事で話が付いていました』
「なら、問題はないだろう」
『協会側は『霊能者には、危害を加えてはならない』という条件を出していた事は、覚えていますね?』
「もちろん覚えているが、怪我はさせていないだろう?」
『未成年の霊能者に、キスを強要しましたね?』
「え? いや、あれは……危害になるのか?」
『なります。立派なセクハラです。むしろ、なぜあれが危害にならないと思ったのですか?』
「いや……男の子なら、むしろ気持ちいい思いができて、よかったと思うのではないかと……」
『なんですか? それは! OLにセクハラをやった上司の言い訳と、同じではないですか』
う! 言われてみれば……
実際あの時、優樹キュンは涙を流していた。
エアガンを捨てられたせいだと言っていたが……やはり、嫌がられていたのだろうか?
『まあ、相手が高校生ぐらいなら、その言い訳も通用しますが』
そうだろう。優樹キュンは高校生だから大丈夫だな。
『先ほど、私も現場で被害者の男の子を見かけましたが、あれは完全にアウトです』
え?
『小学生の男の子に、手を出すなんて』
「いや待て! 彼は一見小学生に見えるが、本当は高校生なんだ」
『はあ? あれが高校生?』
「本当だ! 信じてくれ」
『まあ、あなたはそんな下手な嘘をつくような人ではないし、事実なのでしょう』
「事実だ」
『しかし、キスだけならまだしも、ワイシャツにキスマークを残しましたね』
「いや、それは私では……」
『男の子は、学校で女性教師にそれを見られたショックで、泣いて家に帰ったそうです。母親はワイシャツを見て、激怒しているそうですよ。あなたを捕まえて、強制修行場に送れと息巻いています』
それはマズイ……
『今回は慰謝料を払うという事で、母親には怒りを収めてもらう事になりました。その慰謝料は、あなたの報酬から引いた違約金で賄いますが、納得していただけますか?』
「納得した」
『そうですか。それにしても、キスマークさえ残さなければ、ここまで大事にならなかったのですけどね』
そうか。キスマークがなければ……
という事は……
闇子ぉぉぉ! おまえのせいだ!
絶対呪う!
(「呪殺師は可愛い男の子が好き」終了)
その後、闇子は原因不明の高熱により、一週間生死の境を彷徨うことに……
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる